夢よりも、コンセプトを
夢は「目的地」、コンセプトは「道」

「人間は自由の刑に処されている」とは哲学者サルトルの言であるが、現代は選択肢が満ち溢れる時代だ。「選択の苦悩」に直面する私たちが、自分なりの足場を固めるために必要なのが、この本の主役である「コンセプト」だ。
「コンセプト」と言うと、「夢」と何が違うのかと聞かれることがある。だが、著者には特に夢はない。子供の頃にも、夢はなかった。
夢はそもそも持つことが難しいものだ。学校で将来の夢を聞かれて、困った経験がある人は意外と多いのではないだろうか。それなのに、「夢がないとダメだ」という空気があるのはおかしなことだ。
夢がないだけではなく、著者は社会から浮いて生きてきた。幼少期からの海外暮らしでは外国人扱いをされ、日本では帰国子女扱い。新卒で入った広告会社ではパッとしない20代を送り、32歳のときには障害のある息子が生まれて絶望を味わった。
そんな人生は味気ないものだと思われるかもしれないが、実際はその逆だ。何を拠り所に生きてきたかといえば「コンセプト」だ。これは、一言で言えば、「道」のようなものだ。一方で、夢は「目的地」である。先行きが見えない荒野でも、道があれば自然と足が進むし、グイグイと大手を振って歩くことができる。
一生を通して迷いがない人などいない。だからこそ、コンセプトがあれば、人は前に進むことができる。自分の人生を支える、自分の言葉を、自分で考え、自分にプレゼントしよう。迷える時代に進む道があることは、あなたの支えになってくれるはずだ。
社会から浮くということ
ユニークな辛さ
中学一年生でフランスに住んでいた著者は、英語を学べる学校に行きたいと、まったく英語が話せない状態で、パリにあるイギリス人学校に転校した。最初こそ珍しがって同級生が話しかけてくれたが、3日もすると誰も来なくなり、目も合わせてくれなくなった。毎日透明人間のような扱いで、自分の隣だけ誰もいない。そんな状態の著者を救ってくれたのがコンセプトだった。
いつものようにひとりでポツンと席に座っていて、涙が出そうになったとき、「ユニークな辛さ」という言葉が降ってきた。今自分がしている体験はなかなか味わえないものだと思ったら、いつか人生の宝物になるはずだと思った。自分の人生にコンセプトがあれば楽になると、初めて痛感した出来事だ。




















