【必読ポイント!】 小川哲の創作論(聞き手:渡辺祐真)
「大学教員になりたくない」から始まったキャリア
小川哲は幼少期から百科事典や図鑑に親しみ、知らないことや、親が教えてくれないことが文字で説明されていることに魅了されていた。小学生の頃には、あまりに小説を読まない小川に対して、一冊本を読んで感想を言うたびにお小遣いをもらえる制度が設けられた。しかし小川にとって小説は、そのお金で漫画を買うためのものであった。
転機は高校時代である。父親の本棚にあった筒井康隆作品に出会い、本格的に読書を始めた。筒井作品を通して、小説では世間で禁じられていることを解放できると感じたという。
大学では理系に進み、本格的に本を読むようになる。学部時代には言語哲学や表象文化論に没頭し、大学院ではアラン・チューリングを研究した。
小説を書き始めた動機は、「小説家になりたい」という情熱よりも、「大学教員になりたくない」という消極的なものだった。他人と深く関わらずにやっていける仕事として小説家が見え、『ユートロニカのこちら側』でデビューする。
読者の視点が書き手を成長させる

デビュー後の大きな転機は、『ユートロニカのこちら側』に寄せられた「キャラが薄い」「ありきたり」という反応だった。それまで小川には、キャラクターが濃い・薄いという感覚自体がなかったからである。




















