タイパを追求するほど、自分を見失ってしまう理由
情報過多によって起きていること
タイパを追うほど、望む人生からは遠ざかる――。これには、私たちの「脳」のしくみが関わっている。タイパ的な行動が裏目に出やすいのは、脳内で「バランスの乱れ」が起きているからだ。
脳が情報処理するとき、主に4つの機能が使われていると言われる。それぞれをわかりやすく「擬人化」して紹介したい。
(1)扁桃体
不安な情報に気づいて警報を発令する機能。いわば「心配性のおかん」である。
(2)サリエンス・ネットワーク(SN)
人に例えるなら「注意切り替えの交換手」。数多の情報から「何が重要か」を瞬時に判断し、次のアクション(行動するか内省するか)を決める。
(3)セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)
計画・実行・効率化などを担う「行動担当」。「仕事ができるマネージャー」のような存在だ。
(4)デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
自己理解や他者理解、クリエイティブなことを担う「内省担当」。「自分を紡ぐアーティスト」とも呼べる。
「脳の余白」をつくろう

4人の中で最も酷使されているのは、サリエンス・ネットワークである。現代は情報過多で、マッキンゼーによると2010年からの10年間で、世界のデータ量は約20倍に増えたという。五感から入ってくるあらゆる情報を瞬時にチェックするサリエンス・ネットワークは、疲れきっているのである。
サリエンス・ネットワークが疲弊すると判断力が鈍り、すべてのタスクを「重要だ」と認識してしまう。「やらなきゃ」と感じることが増えて、タイパモードに突入。行動担当のセントラル・エグゼクティブ・ネットワークも疲れてしまい、作業効率が落ちる――。
“やるべき作業”に追われた結果、自分の内面と向き合う余裕がなくなり、自分自身を見失ってしまう。情報過多からタイパ重視になり、ひいては人生そのもののタイパを損なうという最悪の結果に至るのだ。
私たちがすべきことは、脳を適度に休ませること、つまり「脳の余白」をつくることである。脳の余白を使って「脳内の4人」のバランスを整え、自分が歩みたい人生を取り戻すのだ。
次章からは、「脳の余白」をつくる方法を順番にお伝えする。




















