The Leadership Lab
Understanding Leadership in the 21st Century

未 読
The Leadership Lab
ジャンル
著者
Chris Lewis Pippa Malmgren
出版社
出版日
2018年10月03日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
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Understanding Leadership in the 21st Century
著者
Chris Lewis Pippa Malmgren
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出版社
定価
0円(税込)
出版日
2018年10月03日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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レビュー

新しい世紀に向けてカウントダウンした夜から、すでに19年が過ぎた。この間、テロリストによるニューヨークのワールドトレードセンターの破壊、国際金融危機、アメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱を問う国民投票の結果、ポピュリズムの台頭、驚異的に進化するAIなど、人々の想定を超える出来事が次々と起こった。驚きの渦に巻き込まれた年月であったと感じる人も多いだろう。国家や組織を率いるリーダーたちも、その例外ではなかった。急激な変化や予想外の事態に対応できずに、多くのリーダーたちが失態する姿を、私たちは目撃してきた。

本書は、元ジャーナリストで国際的なPRエージェンシーのCEOと、経済学者であり、アメリカ政府の元アドバイザーという2人の共著により出版された。21世紀は、これまでの常識が通用しない時代であり、リーダーシップの在り方を根本的にシフトさせる必要があるというのが、本書のテーマだ。著者らは、自ら考案するモデルを基に、新しい世紀に求められるリーダーシップ像を提示する。

ITの進化に伴って、これまでになく世界が繋がったにもかかわらず、国も人々も孤立している現代。本書は、リーダーシップというテーマのもとに、リーダーだけではなく、21世紀社会の構成員である私たちが学ぶことができる英知を授けてくれる。

佐藤瑞恵

著者

クリス・ルイス
起業家。元ジャーナリスト。1995年、PRエージェンシー「LEWIS」を創設。同エージェンシーの現職CEOとして、25のオフィスに500人のスタッフを統括する。著書にToo Fast to Thinkがある。イギリス出身だが、イギリスとアメリカ合衆国を往復する日々。

ピッパ・マルムグレン
経済学者。起業家。アメリカ大統領元アドバイザー。現在、イギリス政府や、国際的な経済・軍事組織のアドバイザーを務める。2007年の世界金融危機、中国経済の低速化、ブレグジット、アメリカのナショナリズムの台頭などを正しく予測した。著書に経済書、Signalsがある。アメリカ出身だが、イギリスとアメリカ合衆国を往復する日々。

本書の要点

  • 要点
    1
    現代社会は、非常に流動的である。加えて、技術革新によって二極化している。多くの変化は正と負の側面を併せ持ち、しかも、立場によって正負は逆転する。このような状況を俯瞰的に捉え、リーダーシップを発揮するためのモデルが、「リーダーシップ・キティラ」である。
  • 要点
    2
    国際的な地政学の風景は急速に変化している。全てのことは、互いに影響し合い、リアルタイムで再構成されている。包括的なアプローチがますます重要となっている。
  • 要点
    3
    ジェンダー問題は、差別の問題だけではない。効率の問題でもある。思考の違いを融合するバランス感覚が必要だ。

要約

【必読ポイント!】21世紀のリーダーシップへの挑戦

リーダーシップ・スタイルの転換期
Avesun/gettyimages

21世紀は、前世紀にも増して複雑で、多様化している。この25年間、世界のリーダーシップを取り巻く文化基盤は軸ごと大きく転換したといえるだろう。かつてのリーダーシップに求められる性質は、例えば男性中心主義的で論理思考を重んじるということだった。現在は、男性的・女性的な視点を合わせ持ち、二極的かつ予測不可能な状況に対応できるということへ変化している。

現代社会が混沌として見えるということは、状況パターンを見逃してしまっているせいかもしれない。リーダーが直面する多くの問題は互いに関連し合い、さらには視点によっては全く異なった様相を見せる。視点や立場が異なれば、問題の受け取り方は変わる。21世紀という新しい時代にはこれまでとは違う力学が働いており、優先事項や目的も異なる。

新時代のリーダーを務めるには、経験知からの予測のみに頼るだけでは足りない。実際に何が起きているのかを正しく見極め、大局的な見地から、流動的な状況に柔軟に対応する必要がある。

「リーダーシップ・キティラ」

このようなリーダーシップについての考え方を具体化するために、著者らは「リーダーシップ・キティラ」というモデルを考案する。このモデルは、古代ギリシャの精巧な歯車式機械「アンティキティラ」からヒントを得たものだ。アンティキティラは、天体の運行を計算する機械である。西ヨーロッパに天文時計が登場したのが14世紀、機械式計算機が登場したのが16世紀という事実を考えれば、アンティキティラが紀元前約205年に存在したというのは、想像を絶する。想像できないことも実際に起こりえるという意味合いを込めて、二重性や二極的な構造を示す今世紀の諸問題を提示するのが「リーダーシップ・キティラ」だ。

8つの軸

リーダーシップ・キティラは、中に8つの軸がある球体と発想されている。この球体は回転している。テクノロジーの発達スピードが速まれば、回転も速まり、その遠心力で軸の二極化はいっそう強まる。

8つの軸には、それぞれ、現代社会においてますます顕著となる光と影のパラドックスが、次のように「I」を頭文字とする言葉で表現されている。人々の行動を変える「情報化(Information)/情報洪水(Inundation)」。世界経済の状況を映しだす「国際性(Internationalism)/島国性(Insularity)」。インターネットの普及に伴い変化した人々の性質を表す「即時性(Immediacy)/性急さ(Impatience)」。ユートピア、または、ディストピアの思想へと人々を導く「知性 (Intelligence)/暴動(Insurgency) 」、国際的な地政学の理解を促す「インフラ(Infrastructure)/孤立(Isolation)」。社会を変え続けるテクノロジーを表す「イノベーション (Innovation)/脅威 (Intimidation)」。ジェンダー問題を表す「包含性(Inclusivity)/不平等(Inequality) 」。新しい価値観を反映する「インスピレーション (Inspiration)/逆行 (Inversion)」。

8つの軸は中心で重なり合い、それぞれの軸が内包する課題が互いに影響し合う。リーダーは、状況の変化による二極化の様相を理解し、正の側面を享受しつつ、負の側面に対応していかねばならない。また、リーダーシップ・キティラが指し示すのは、過去の事象ではなく、現在と未来の事象に着目する重要性だ。リーダーが心に描く世界が未来を形作ると、著者らは主張する。

本要約では、これら8つの軸の中から、21世紀のリーダーシップを地政学的見地から理解するための「インフラInfrastructure/孤立Isolation」、および、鮮明になりつつあるジェンダー問題を考える「包含性Inclusivity/不平等Inequality 」の軸について取り上げる。

地政学の重要性――「インフラ/孤立」

複雑化する政治風景

1989年のベルリンの壁の崩壊以来、地政学があまり重要視されない時代が続いた。しかし、近年、地政学は再び

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