

「頼りたくても頼れない」という人は、周囲のことを気遣う優しい人である。頼ることで周囲に「ネガティブな影響を与える」のではと思うと、なかなか頼れなくなってしまう。
しかし、逆に考えてみよう。頼ることには「ポジティブな影響を与える」という側面もある。実際、会社でも家庭でも、頼り合うことでコミュニティのつながりは強く深くなっているはずだ。「自立」とはひとりでなんでもすることではなく、たくさんの頼る人、頼るものを持つことなのである。
上手に人を頼れるようになると、人生は好転していく。“頼るスキル”を身につけることは、自身の身を守り、成長や成功への鍵となるはずだ。

私たちは、助けられる側が常に得をし、助ける側は損をしていると思いがちである。ゆえに「迷惑をかけてしまうのではないか」と助けを求めるハードルは上がっているし、助けてもらったあとも「なにかお返しをしないといけないのではないか」と思ってしまう。逆に、助けた側からお返しや感謝がないと、「あんなにしてあげたのに」と恩着せがましく感じたりもする。
だが、「頼みごとをすると迷惑をかける」というのは誤解である。人から頼られることほど、気分の上がるものはないからだ。職場で後輩から「仕事を教えてほしい」と頼まれたり、同僚から「プロジェクトチームに加わって」と誘われたり、友人から「相談に乗って」と頼まれたり――。人は頼られると、自分は信頼されている、必要とされていると感じるものである。
相手が喜んでくれたら、それが最高の「お返し」だ。人間の一番の喜びは、なにかを与えてもらうことよりも、「自分がなにかを与えられること」にある。感謝されて自己肯定感が高まれば、承認欲求が満たされるだけでなく、心の健康を取り戻す効果もあるのである。

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