
「みんな、やっているよ」
この言葉に人は動揺する。私たちはいつも「自分も始めなければ」「乗り遅れたらどうしよう」という焦りに背中を押されている。
近年はとりわけ、投資の領域でその圧力が強い。スマホを見れば「みんながやっている投資信託ランキング」「始めないと手遅れになる」といった広告が途切れなく表示され、気づけば焦りが膨らんでいく。
焦りを生む空気から抜け出す鍵の一つは、「自分だけのモノサシ」を持つことだ。
たとえば、いつも1000円のメロンジュースがあるとしよう。高くて手が出なかったが、セールで500円になっていたので買った。ところが翌日には300円に下がっていたとする。
このとき、自分は得をしたのか損をしたのか。判断は人それぞれだが、もしそのジュースがおいしくなければ、どんな価格であれ「損した」と感じるだろう。結局のところ、お金の損得より自分の満足感のほうが大事なのだ。

私たちにとっての価値とは「自分が満足感を得られるかどうか」であるはずだ。だが現実には、値段や損得にばかり気を取られてしまう。その背景には社会構造の変化がある。

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