

いつの時代も、若者論は世間を盛り上げる「鉄板コンテンツ」だ。だが、それらは単なるイメージや思い込みであることも多い。「本当の若者像」にたどり着くには、長期的な変化を検証できるデータの分析が不可欠だ。
博報堂生活総合研究所では、1994年と、その30年後である2024年に大規模な「若者調査」を実施した。対象はいずれも19~22歳の未婚男女で、家族関係や交友関係、働き方、学び、環境意識など、さまざまな側面から若者の意識・行動の傾向を調査した。両者の結果を比較することによって、時系列の変化を分析できるようになったのだ。
両調査の対象である若者は、世代的に「親子関係」にあたる。今の若者であるZ世代は、親世代が若者であった時代と何が変わり、何が変わっていないのか? まずはその辺を紐解いていこう。

2つの若者調査を比較して浮かび上がったのは、次の3つの「若者像」である。(1)今も昔も変わらない若者像、(2)他の世代にも共通する「だけじゃない」若者像、(3)イメージとは違う「正しくない」若者像。ここでは(2)と(3)の代表例を紹介する。
・「だけじゃない」若者像
「意見が違っても反論しない」「目立つ格好をするのは恥ずかしい」といった「空気を読みすぎる」傾向は、この30年で大幅に上昇している。だがこれは若者に限った話ではなく、親世代も同様であるようだ。
「仕事では気楽な地位にいるほうがいい」「人生の目標がない」「仕事に燃えている女性は素敵だ」なども若い世代に限らず、時代的な傾向だと言える。
・「正しくない」若者像
Z世代がよく言われる言説には、実像と乖離しているものも少なくない。

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