疲労学
毎日がんばるあなたのための
疲労学
疲労学
出版社
東洋経済新報社

出版社ページへ

出版日
2025年09月11日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

「何をしてもすぐ疲れてしまう」「100%元気だと言い切れる日がほとんどない」――そんな人に手に取ってほしいのが本書である。

著者の片野秀樹氏は医学博士であり、日本リカバリー協会の代表理事を務める人物だ。理化学研究所や日本体育大学などで疲労と回復のメカニズムを研究してきた、休養学の第一人者である。前著『休養学』では、体を効果的に休ませる「攻めの休養」を提案し、書店やSNSで大きな反響を呼んだ。

続く本書は、疲れにくい体をつくる方法が示された一冊だ。「抑疲労」をキーワードに、疲労を溜めないための行動・思考・食事法が整理されている。

たとえば「抑疲労思考」の章では、スマホやパソコンをオフにし、意識的にぼんやりする習慣が提案される。さらに、服の組み合わせをパターン化したり、献立を固定化したりする方法も印象的だ。これらの工夫により、脳を「デフォルトモード」へと切り替えられて、思考の負担を軽減できるという。こうした、すぐ取り入れられる小さな習慣が多く紹介されている点こそ、本書の大きな魅力である。

仕事・学業・家事・育児・介護などで忙しい毎日を送っている人や、最近頑張りがきかなくなってきた自覚のある人に、ぜひ一読を勧めたい。読めば、自分のエネルギーを守る方法がわかり、疲労をマネジメントできるようになるだろう。

著者

片野秀樹(かたの ひでき)
博士(医学)、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。株式会社ベネクス執行役員。
東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)、一般社団法人日本疲労学会評議員も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指した啓発活動や、休養士の育成活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)、著書に『休養学:あなたを疲れから救う』(東洋経済新報社)、『寝てもとれない疲れが消える マンガでわかる休養学 最高のパフォーマンスを生む休み方』(KADOKAWA)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    私たちの生活サイクルは「活動→疲労→休養」という三角形で捉えられる。ここに「活力を高める活動」を加えて「活力→活動→疲労→休養」の四角形サイクルにすることで、自分の「バッテリー」を効率的に回復できる。活力を高めるには、あえて軽い肉体的・精神的負荷をかけることが有効だ。
  • 要点
    2
    「攻めの休養」で効果的に回復し、「抑疲労」で体力の消耗を抑えることで、より安定したコンディションを維持できる。抑疲労には、疲れを抑える行動、疲労を少なくする思考法、そして疲れにくい体をつくる食事法という3つのアプローチがある。

要約

【必読ポイント!】 「抑疲労」という考え方

陥りがちな「負の三角形サイクル」
東洋経済新報社提供

疲労の視点からいうと、私たちの生活サイクルは次のように整理できる。

仕事や勉強、家事、介護、育児などの行動をする(1:活動)。これらの活動により、活動能力が低下し、疲れる(2:疲労)。疲れを感じたら休む(3:休養)。そして翌日、再び活動へ戻る――「活動→疲労→休養」という三角形のサイクルだ。

活動して疲労が進むにつれ、私たちの電池の残量は減少する。ハードワークだった日には、0%近くまで減ることもあるだろう。それが休養によって100%まで充電され、翌朝再び活動に戻れるなら、三角形のサイクルは健全に機能している。これが“正の三角形サイクル”だ。

ところが多くの人は、電池を十分に充電しないまま次の活動に入ってしまっている。結果として、どんどん疲労が積み重なる“負の三角形サイクル”にはまり込んでいく。

フル充電するには「活力」が不可欠
東洋経済新報社提供

どうすれば私たちの電池をフル充電状態にもっていけるのだろうか。著者が研究する「休養学」では、つぎの活動に移る前に、疲労を打ち消す要素である「活力」を取り入れることを提案する。

つまり、仮に休養だけで50%程度しか充電できなくても、活力を加えることでフル充電に近づけていくイメージだ。そのとき、サイクルは三角形ではなく四角形となる。

活力を高めるには、あえて軽い負荷を自らに与えることが有効だ。

まずは、疲労をゼロに近づけるようしっかり休もう。そして、楽になったと感じたら、軽い負荷をかけてみる。その際の負荷は、「自分で決めた」「仕事と無関係」「挑戦によって成長を感じられる」「楽しむ余裕がある」という4つの条件を満たすものでなければならない。

さらに望ましいのは、肉体的負荷と精神的負荷の両方を取り入れることだ。肉体的負荷はウォーキング、ヨガ、ストレッチ、犬の散歩など、自分のペースでできる軽い運動が最適である。一方、精神的負荷は、少し難しい試験に挑戦したり、趣味の分野でコンテストに応募したりといった、ポジティブな負荷がよい。

このように、活力の増強を意識し、積極的かつ主体的に休む休み方を著者は「攻めの休養」と呼ぶ。これはだらだら過ごす「守りの休養」の対極にあるものだ。

活力増強に効く「VATRの法則」

四角形のサイクルは、活動から始まり、疲労し→休養して→活力をあげて→つぎの活動へ、という自然な流れで構成されている。

著者が勧めるのは、この順番を変え、4つ目の「活力」からスタートすることだ。つまり、仕事を終えた瞬間から、翌日に向けて活力を高めるモードへ切り替えるのだ。そうして充電されたバッテリーを、翌日の「活動」で使うイメージである。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3142/4259文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.11.26
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
リーダーの否定しない習慣
リーダーの否定しない習慣
林健太郎
「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか
「話が面白い人」は何をどう読んでいるのか
三宅香帆
カスハラの正体
カスハラの正体
関根眞一
心の中のネガティブさんと上手につきあう方法
心の中のネガティブさんと上手につきあう方法
精神科医Tomy
一流のバーテンダーは2杯目のグラスをどこに置くのか
一流のバーテンダーは2杯目のグラスをどこに置くのか
西沢泰生
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
なぜか機嫌がいい人がやっている100の習慣
藤本梨恵子
究極の筋トレ休息法
究極の筋トレ休息法
岡田隆
ADHDの僕が苦手とされる事務にとことん向き合ってみた。
ADHDの僕が苦手とされる事務にとことん向き合ってみた。
小鳥遊