ブレストの場で「もっと自由に発想して」「遠慮せず意見を出して」と言われても、そう簡単にはできないものだ。そして、多くの人は、「良いアイデアを出せないのは発想力が足りないからだ」「発言をためらってしまう自分が悪い」と思い込んでしまいがちではないだろうか。本書を読むと、その思い込みは覆される。
本書の著者は、独自の発想で数々の企画を生み出してきた面白法人カヤックである。クリエイターが社員の大半を占める組織として、「つくる人を増やす」という経営理念のもと、ユニークな発想を生み出す仕組みを磨き続けてきた。本書では、現場で培われたブレストの思想と実践が惜しみなく明かされている。
とりわけハッとしたのは、ブレストの目的は「良いアイデアを出すこと」ではなく、「人や関係性を変えること」だという考え方である。だからこそカヤックは、発言の「質」よりも「量」を重視し、リアクションによって心理的安全性を育み、「失言を失言にしない」場を設計する。さらに、ブレストは発散して終わりではなく、判断軸を持つ人がアイデアを統合して初めて企画になるという考え方も、非常に説得力があった。
企画に携わる人はもちろん、「自分はブレストが苦手だ」と思い込んでいる人や、チーム運営に悩む人にもおすすめしたい。人が安心して考え、話し、自ら動きたくなる場のつくり方を学べる一冊である。