ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?

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ビジネスエリートは、なぜ落語を聴くのか?
出版社
日本能率協会マネジメントセンター

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出版日
2015年05月17日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

日本の名だたる企業の経営者や政治家、文豪に共通する趣味は、「落語」を聴くことだという。雑誌「プレジデント」編集部が年収1000万円以上のビジネスパーソン679人に調査したところ、約半数が「落語が好き」と回答しているのだ。なぜ落語をよく聴く人の中に成功者が多いのか? それは落語から人生に大事なノウハウを数多く学べ、話術や文章力、世渡り力を自然と身につけられるからである。

本書では、元落語家という異色のキャリアを持ち、一部上場企業のトップとなった横山氏と、放送作家として活躍する石田氏が、落語家修行で得た知識や経験を紹介していく。相手の心に届く伝え方、「粋と野暮」、ユーモアのセンス、懐の深さ、人間関係の悩みの解消法、成功の鉄則、そして覚悟の磨き方。こうした一流人が身につけるべき仕事・人生の極意が、落語のストーリーや、一流の落語家の姿勢にぎっしり詰まっている。例えば、落語の「マクラ」や「オチ」、間の取り方から、プレゼンやスピーチにも有効なテクニックを盗むことができる。

落語の良いところは、面倒な予備知識も不要で、ふらっと寄席に足を運び、楽しむことができる点だ。年齢も経験も関係なく始められる「人生の趣味」を見つけ、人としての器を広げたいと考えるビジネスパーソンのみなさま、この本を機に、落語の奥深さをとくと堪能してみてはいかがだろうか。

ライター画像
松尾美里

著者

横山 信治
1982年日本信販(株)(現三菱東京UFJニコス)入社。営業成績全国最下位のダメ営業マンから、全国NO.1営業マンへ。2001年2月ソフトバンクファイナンスに転職し、日本初のモーゲージバンクSBIモーゲージ(株)設立に参加。当初4人でスタートした会社を、従業員250名、店舗数191店舗の上場会社へ成長させる。東証1部上場の金融グループにて役員、社長を経て、2014年4月独立。株式会社オフィス・フォー・ユー代表取締役。小学生の頃、落語家の笑福亭松鶴に入門し、最年少プロ落語家としてテレビ、ラジオ、劇場に多数出演。芸名は笑福亭手遊(おもちゃ)、笑福亭鶴瓶氏の元兄弟子 。
これまで2万人以上のビジネスパーソンと接し、3000人以上の採用面接に立ち会い、のべ1000人以上の部下を指導する中で得た経験を活かし、ビジネスパーソンが成功するコツを伝えるため、講演、執筆活動を行う。現在、東京・大阪で毎月1回「横山塾」を開催中。

石田 章洋
放送作家。1963年12月生まれ、岡山県出身。日本脚本家連盟員・日本放送協会会員。プランナー&ライターズオフィス、株式会社フォーチュンソワーズ代表取締役。日本大学在学中に三遊亭円楽(当時は楽太郎)に弟子入り。落語家になるも数年後、放送作家に転身。以来、25年以上にわたり、各キー局のバラエティ番組・情報番組・クイズ番組・報道番組など、あらゆるジャンルのテレビ番組で企画・構成を担当。手がけた番組の合計視聴率は5万%を超える。特に、構成を手がけた「世界ふしぎ発見!―エディ・タウンゼント青のコーナーの履歴書」は第45回コロンバス国際フィルム&ビデオ・フェスティバルで優秀作品賞を受賞するなど番組の企画・構成に関して高い評価を受けている。

本書の要点

  • 要点
    1
    落語をよく聴く人の中に成功者が多いのは、落語から話術や文章力、世渡り力、懐の深さなどを身につけ、それらをビジネスシーンで活かしているからだ。
  • 要点
    2
    「落語が人の心を動かす原理」を知ればプレゼン、スピーチに応用することができる。例えば、落語の「マクラ」を効果的に使うと、聞き手の緊張をほぐし、相手を聞く気にさせることができる。
  • 要点
    3
    一流の落語家には、どんなことでも自分の芸の肥やしにしようとする「覚悟」がある。ビジネスシーンでも、他の人がトラブルを抱えたときに、自分事として捉えることが大切だ。

要約

なぜ年収1000万円以上のビジネスエリートは、落語を聴くのか

「笑い」は「究極のスキル」
akiyoko/iStock/Thinkstock

雑誌「プレジデント」編集部が年収1000万円以上のビジネスパーソン679人に調査したところ、43.8%という約半数が「落語が好き」と回答している。なぜ落語をよく聴く人の中に成功者が多いのか? ビジネスエリートは「笑い」を大切なスキルとして捉え、落語を聴くことで養ったユーモアのセンスをビジネスにおけるコミュニケーションに活かしているからだ。落語の笑いは「人間を肯定する、上質な笑い」だからこそ、コミュニケーションの武器として応用できるのである。

落語は意外な力を磨いてくれる。例えば、落語を聴いていると、「起承転結」や「序破急」といった文章構成の型が身につき、自然と論理的な文章力が養われる。また、落語には脳を活性化する効果もある。落語家の言葉という聴覚情報から、花見や花火見物と言った江戸の情景や、夫婦のやり取りなどを「想像」することで、自然と脳が鍛えられていくというわけだ。さらに、落語は「スマートさ=粋」を教えてくれる。落語では、困っている家に「ちょっとつくりすぎたから食べて」と食事を差し入れるような「粋なはからい」ができる人が大勢登場するからだ。こうしたスマートさを持った人が信頼され、頭角を現していくのは当たり前だといえよう。

人間の「器」を広げてくれる落語

学校では学べない「生きる知恵」を落語から得ることで、人間としての幅を広げることができる。立川談志師匠は著書のなかで「落語は業(理性によって制御できない心の働き)の肯定」だと述べている。虚栄心や怠け心、意地っ張りなどに突き動かされた登場人物から、「人間とはそんなもんだ」と軽やかに笑い飛ばせるところに、他の芸能にない落語の真髄があるといえる。こうして、ありのままの自分を肯定し、信頼できるようになる。さらには、自分を肯定できるがゆえに、異なる考えの人や要領の悪い人といった多様性を包み込む「懐の深さ」が養われていき、それがビジネスシーンでの成功確率をも高めてくれるのだ。

落語は「人間関係の悩み」に効く!

師匠から学んだ「理想の上司」の条件
Zurijeta/iStock/Thinkstock

落語家修行 は理不尽の連続である。しかし、師匠はどれだけ理不尽な態度をとっても、弟子を一人前にするために力を尽くしてくれる。

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要約公開日 2015.06.24
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