仕事は自分ひとりでやらない

未読
仕事は自分ひとりでやらない
仕事は自分ひとりでやらない
未読
仕事は自分ひとりでやらない
出版社
フォレスト出版

出版社ページへ

出版日
2022年05月05日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.0
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

仕事中に「お子さんが熱を出したから迎えに来てください」と保育園から突然の電話。今日中に作成しなければならない資料があり、明日の会議の準備も残っている。こんなとき、あなたはどう対応するだろう?

急なことに頭は真っ白。仕事は今さら引き継げないし、上司に「できません」とも言いづらい。「徹夜で資料を仕上げて、明日早めに出社して会議の準備をしよう」となんとか気持ちを立て直し、平謝りしながら会社を出る――。おそらくこんな具合だろう。

さて、この仕事のやり方は「持続可能」だろうか。人生100年時代、仕事をしながら歩む期間は長ければ50年近くに及ぶ。その間にはさまざまなライフイベントがあるだろうし、自分の健康状態が万全でないこともあるだろう。そんなに長い間、気力・根性・長時間労働に頼って働くのは危険だし、成果も上がりにくいはずだ。

本書で紹介される「ヘルプシーキング」は、「ひとりで抱え込まず、周囲に助けを求める技術・考え方」というビジネススキルである。ヘルプシーキングを実践すると、自分のため以上にチームのためになり、チームとしてのパフォーマンスが劇的に上がるという。本書では、ヘルプシーキングの重要性から実践法、メンバーを助けるコツまで、幅広く語られている。

とはいえ、「できないと思われたくない」「迷惑をかけたくない」などと、助けを求めることに抵抗感を持つ人も少なくないだろう。本書は、その考えを変えてくれるはずだ。ぜひ、自分も周りもハッピーになるヘルプシーキングを学び、実践してほしい。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

小田木朝子(おだぎ ともこ)
株式会社NOKIOO 取締役/経営学修士
ウェブマーケティングの法人営業などを経て、NOKIOO創業メンバーとして参画。
企業の人材育成・組織開発支援を担うHR事業を立ち上げ、ヘルプシーキングを含む多数の人材育成カリキュラムの開発・講師および講師育成を手掛ける。2020年、オンライン教育サービス『育休スクラ』をリリース。 経験学習とオンラインを活用したアクティブラーニングを法人・個人向けに提供。グロービス経営大学院修了。音声メディアVoicyで、毎日10分「今日のワタシに効く両立サプリ」を配信中。
▶︎Voicy
https://voicy.jp/channel/1240
▶︎note
https://note.com/odagitomoko

本書の要点

  • 要点
    1
    仕事をひとりで抱え込むと、チームの仕事を停滞させかねない。「仕事ができる人こそ、ひとりで抱え込まない」という考え方にシフトしよう。
  • 要点
    2
    ヘルプシーキングは、自分以上に、チームのためになる。周囲との連携や協力によって、ひとりでやる以上の成果が期待でき、自分もチームも成長できる。
  • 要点
    3
    難易度の高い「考えながら進める企画系業務」は、ひとりで進めてはならない。作成途中の企画書を見てもらう、壁打ち相手になってもらうなどして、周囲の助けを借りよう。

要約

仕事をひとりで抱え込んでいないか?

「全部ひとりでやらなきゃ」という病

仕事好きの著者が仕事を嫌いになり、自信をなくしたのは、はじめての育休から復職した後のことだ。これまでと同じように頑張りたいと意欲を燃やしていたところ、大きな壁にぶつかった。

残業はできない。今までと同じ結果を出そうとすると時間が足りず、限られた時間の中でやりくりしようとすると、これまでのような結果が出せない――。そんな状況でも苦しいと言えず、心も体も疲弊していった。そしてあるとき、ぷつりと感情の線が切れ、上司に「もうこれ以上できません」と訴えることとなったのだった。

課題を認識していたのに、なぜ状況を打開できなかったのか。それは、ひとりで抱え込み、時間をかけて仕事をこなすやり方を変えなかったからである。この「『全部ひとりでやらなきゃ』という病」は、誰もが罹る可能性のある、風邪のような病だ。症状が軽いうちに手を打つことも、原因を理解して予防することも可能である。

仕事をしながら歩む人生は長い。持続可能な「仕事のやり方」を身につけることで、ライフステージやキャリアが変わっていっても、「仕事を続けていける(続けたい)」と思えるはずだ。

「助けを求めること」を肯定する
jacoblund/gettyimages

周りに適切に助けを求めるための第一歩は、助けを求める行動を肯定することだ。ヘルプシーキングは、甘えでも逃げでもない。相互信頼の上に成り立つ「適切な頼り合い」だと心得よう。

何より、ひとりで考えてもがく時間は無駄だ。助けを求めるという迅速な判断と行動は、あなたのためだけでなく、チームのためにもなる。

チームで仕事をする上で重要なことは、仕事が期限通りに正しく終わることだ。「誰が終わらせるか」ではなく「チームとして終わっているか」、「誰の成果か」ではなく「チームとして成果を最大化できたか」のほうが重要なのだ。そのことを理解せず、仕事をひとりで抱え込むと、チームの仕事を停滞させかねない。

これからは「仕事ができる人こそ、ひとりで抱え込まない」という考え方にシフトしよう。仕事を抱え込む人は、チームの成果という観点が欠如し、判断力に乏しく、仲間と連携して仕事をすることが苦手と見なされることさえある。「助けを求めること=自分の駄目さの露呈」と決めつけず、成果のために思い込みを手放そう。

自分にもチームにもメリットをもたらす「ヘルプシーキング」

ヘルプシーキングは「ビジネススキル」

ヘルプシーキングとは、ひとりで抱え込まず、周囲に助けを求めるビジネススキルだ。困ったときに適切に助けを求め、周囲と連携して、ひとりで対応する以上の成果を上げる考え方と技術を指す。ヘルプシーキングを実践することで、仕事を長く、楽しく続けられるようになるだろう。

ヘルプシーキングが会社やチーム全体に浸透すると、効果は増大する。みんなで実践したほうが、成果への影響が大きく、効果的・効率的に助け合えるようになるからだ。「個人スキル」「仕組み」「文化」の3つの要素に目を向けて、ヘルプシーキングが上手なチームを目指そう。

ヘルプシーキングのメリット

ヘルプシーキングには3つのメリットがある。

もっと見る
この続きを見るには...
残り2211/3506文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2022.08.09
Copyright © 2024 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
部下 後輩 年下との話し方
部下 後輩 年下との話し方
五百田達成
未読
大人に必要な読解力が正しく身につく本
大人に必要な読解力が正しく身につく本
吉田裕子
未読
因数分解思考
因数分解思考
深沢真太郎
未読
やわらかく、考える。
やわらかく、考える。
外山滋比古
未読
ERROR FREE
ERROR FREE
邱強牧髙光里 (訳)
未読
医者が教える 感情的にならない気持ちの整理術 特装版
医者が教える 感情的にならない気持ちの整理術 特装版
和田秀樹
未読
無駄ゼロ、生産性を3倍にする 最速で仕事が終わる人の時短のワザ
無駄ゼロ、生産性を3倍にする 最速で仕事が終わる人の時短のワザ
伊庭正康
未読
人間関係を半分降りる
人間関係を半分降りる
鶴見済
未読