経営12カ条

経営者として貫くべきこと
未読
経営12カ条
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経営者として貫くべきこと
未読
経営12カ条
出版社
日本経済新聞出版

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定価
1,870円(税込)
出版日
2022年09月07日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

京セラ創業者、第二電電(現KDDI)創業者、日本航空再建に辣腕を振るった「平成の経営の神様」――。

2022年8月、稲盛和夫氏の訃報は悲しみとともに大きな衝撃をもって各界を駆け巡った。日本にとどまらず中国など世界中で悼む声が聞かれた。各地の書店では稲盛氏の著書が平積みにされた。特設コーナーが相次いで設けられるなど、故人の功績の大きさを物語っている。

「アメーバ経営」や「ど真剣」など、数多くの独創的な言葉や考えを遺した稲盛氏。本書は氏の経営哲学のど真ん中を紹介している。すなわち、経営12カ条は「稲盛氏が経営に携わる中で自ら体得した実践的な経営の原理原則」をまとめた内容とされ、経営に臨む気概が綴られている。

本書は12カ条の理念とそれにまつわるエピソードが順序立てて語られている。条ごとに用意された「要点」は、12カ条に沿って行動できているかセルフチェックできるような問答形式を取っている。要約では各条のエッセンスを伝えつつ、要点を掲載した。

12カ条の要点の問いの答えを考えるとき、ついドキッとしてしまうような、ある意味耳の痛い至言に満ちている。痛いが、痛快の類だ。経営者向けのメッセージでありながら、働く者の心構えや生きるうえでの姿勢を問い、普遍的な真理に近いものを感じる。

版元によると、「会計」の原理原則を説いた『稲盛和夫の実学』、独創的な管理会計手法を詳らかにした『アメーバ経営』に続き、本書の刊行で「“稲盛経営3部作”がついに完結」したという。逝去が報じられて1カ月としないうちに、時あたかも出版されることになった。

本書のまえがきには本書に込められた稲盛氏の思いがしたためられている。8月、まさに亡くなられる直前まで思いを書き連ね、筆を擱いたのだろう。最期のその時まで燦然と輝き続けた巨星の遺志は広く、末永く受け継がれていくだろう。ご冥福をお祈りする。

著者

稲盛和夫(いなもり かずお)
1932年、鹿児島県生まれ。鹿児島大学工学部卒業。59年、京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立。社長、会長を経て、97年より名誉会長。84年に第二電電(現KDDI)を設立し、会長に就任。2001年より最高顧問。2010年には日本航空会長に就任。代表取締役会長、名誉会長を経て、15年より名誉顧問。1984年には稲盛財団を設立し、「京都賞」を創設。毎年、人類社会の進歩発展に功績のあった人々を顕彰している。著書に『稲盛和夫の実学』『アメーバ経営』『稲盛和夫のガキの自叙伝』『高収益企業のつくり方』『人を生かす』『従業員をやる気にさせる7つのカギ』(いずれも日本経済新聞出版)、『成功への情熱』(PHP研究所)、『生き方』(サンマーク出版)など多数。
https://www.kyocera.co.jp/inamori/

本書の要点

  • 要点
    1
    経営者はまず、事業の「目的」や「意義」を明確にしなければならない。
  • 要点
    2
    「何としても達成したい」との願望を強く持つことが成功のカギだ。
  • 要点
    3
    経営者はどんな逆境下にあっても、常に明るく前向きであろう。

要約

【必読ポイント!】 経営12カ条

第1条 事業の目的、意義を明確にする
Artem Peretiatko/gettyimages

・なぜこの事業を行うのか、目的を明確に示せているか

・事業の目的には「大義名分」があるか、それは公明正大か

・「従業員の幸せを実現する」という揺るぎない信念があるか

・全社員が使命感を抱き、やりがいをもって仕事に邁進しているか

経営者はまず、事業の「目的」や「意義」を明確にせねばならない。それらは次元が高く、公明正大であるべきだ。そして、従業員が「自分はこの崇高な目的のために働く」と邁進できる「大義名分」がなければならない。

著者もかつて、「事業の目的は何か」という問題に直面した。京セラ創業3年目、若い従業員らが昇給やボーナスなどの待遇保証を掲げて団交を求めてきた。連日連夜話し合いを重ね、「私利私欲のために働くようなことがあったなら、私を殺してもいい」とまで語る著者を前に、従業員らはついに要求を撤回、以前にも増して精励恪勤してくれるようになったという。

それまで、京セラを「自分のファインセラミックス技術で製品開発をし、それを世に問う場」と位置づけていた著者は、団交の一件で初めて「企業経営の真の目的は、技術者の夢の実現ではない。現在、そして将来にわたり従業員とその家族の生活を守っていくこと」と気づいた。

「全従業員の物心両面の幸福を追求すること」を筆頭に掲げ、さらに社会の公器の責務として「人類、社会の進歩発展に貢献すること」を加えた京セラの経営理念が、このとき定まった。

第2条 具体的な目標を立てる

・ビジョンを掲げ、具体的な「目標」として指し示しているか

・未来への展望を描き、実現に至る具体的な「方策」を示しているか

・目標を個々の従業員の目標、月次や日次の目標にまで落とし込めているか

・中長期計画ではなく「1年ごとの計画」を立て、遂行できているか

経営者は、「この組織は何を目指すのか」というビジョンや目標を高く掲げ、集団に示していかなければならない。特に、経営環境が激変し、先行き不透明な混迷の時代にあっては、ビジョンや目標が不可欠だ。

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要約公開日 2022.09.20
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