

著者の人生を動かしてきたのは、いつも「友だち」だった。中学生でバスケ部に入ったのも、ファッションに目覚めたのも、高校で原宿に通ったりアカペラに熱中したりしたのも、すべて友だちの影響による。友だちと夢中で楽しんでいるうち、気づけば新しい道が開けていく――それが人生の共通パターンである。
たったひとりで物事を始め、未知の扉を押し開けるのは容易ではない。それより、友だちと楽しみながら進むほうが、どんなことでも続けやすい。負けず嫌いな性分でもあるから、友だちと競い合い、ともに高め合っていく時間も心地よい。
「好きな人」同士が集まり、「好きなこと」を自然に共有する。そのときに生まれる心地よさやナチュラルな感覚こそ、著者とyutoriの軸になっている。

大学卒業後は株式会社アカツキへ入社したが、1年目にして早くも挫折を味わうことになる。当時の業務は、アウトドアアクティビティの予約サイトを運用しつつ、体験やイベント・施設を手軽に探して予約できる新たなウェブサービスをつくることだった。
当時の定石に従い、まずは関連記事を量産して検索順位を高めていった。しかしその結果、仕事は毎日KPIをこなすだけの単調なものとなり、刺激がなくなってしまった。バックグラウンドの違うメンバーたちとのコミュニケーションにも苦労した。
初めてのひとり暮らしで、しかも朝6時に出社して夜11時に帰宅する日々が続き、次第にうつのような状態へ落ち込んでいった。
2017年12月に「古着女子」を立ち上げたときの手応えをいまでも鮮明に覚えている。アカウント開設初日にフォロワーが500人を超え、1カ月で約3万人まで伸びたのだ。
「古着女子」では、ハッシュタグ「#古着女子と繋がりたい」をつけて投稿してくれた人の中からピックアップして掲載する仕組みをつくった。1回5分ほどの投稿作業と、1日フルに運営しても1時間程度の手間であるにもかかわらず、ハッシュタグをつけた投稿が何千件も集まり、フォロワーは毎日1000人単位で増えていった。
これはチャンスだ。起業モードに切り替えた著者は、すぐ正社員から週3の業務委託契約へ移行し、アカウント運営に力を入れた。2018年2月頃のことだ。

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