本書の要点

  • ホセ・アルカディオ・ブエンディアはいとこである妻とともにマコンドという村を開墾し、村にはさまざまな発明品を携えたジプシーがやってきて発展し、ブエンディア一族が増えていくとともに隆盛する。

  • 夫婦の次男、アウレリャノ・ブエンディアは内戦の勃発とともに大佐を名乗り、野党自由党が率いる反乱軍の指揮官となってゲリラ戦に身を投じる。また、国にはアメリカ資本が到来する。

  • ブエンディア一族は徐々に衰退しはじめ、ある予言書に書かれた通りの劇的な最期を迎える。

  • ※要約は前半部分のみですが、今回に限り、名著の物語性を念頭に、書籍全体の要点を記載しています。

1 / 3

【必読ポイント!】 マコンド建設

メルキアデス

ただの小さな村であったマコンドに文明の光をもたらしたのは、錬金術の心得があるジプシーたち、とりわけそのうちの一人であるメルキアデスだった。メルキアデスの話とその技術は、とてつもない空想力を持つ男、ホセ・アルカディオ・ブエンディアと、その子供たちを夢中にさせた。若き指導者であった頃のホセ・アルカディオ・ブエンディアは指導者として精力的に働き、率先して社会に奉仕した。その当初のマコンドは、同規模のほかの村より勤勉で幸せな村になった。しかし、メルキアデスの技術と知識、不思議に魅了された彼は身だしなみさえ気にしない男に変わってしまった。ある時、村にやってきたジプシーが訃報を持ってきた。メルキアデスはシンガポールで死んだという。悲しみに呆然となるホセ・アルカディオ・ブエンディアだったが、メンフィスの学者が発明した氷に初めて触れた途端、その感動でメルキアデスの死など忘れてしまった。

闘鶏と槍

Smitt/gettyimages

それはメルキアデスがマコンドに行き着く前のことだ。新大陸生まれの男の子孫であるホセ・アルカディオ・ブエンディアは、いとこのウルスラとともに山奥の集落で育ち、そのまま婚姻関係を結ぼうとしたが、親戚たちはこぞって反対した。両家は何百年も前から血をまじえており、その末裔による近親相姦は恥ずべき結末をもたらすとされていた。実際、豚のしっぽを持つ子供を産んだという前例があった。それでも、彼はそうした心配をはねのけウルスラと結婚した。この決断に強く抵抗したのがウルスラの母親である。生まれてくる子供にさまざまな不幸が起こると予言し、二人の交わりをウルスラに拒否させた。これは夫の不能の噂として広まり、あの運命の日曜日がやってくる。闘鶏の賭けごとをしている時に、悲劇は起きた。賭けに負けたプルデンシオ・アギラルという男が、夫婦の関係についてホセ・アルカディオ・ブエンディアを侮辱したのである。これに興奮したホセ・アルカディオ・ブエンディアは投げ槍で彼を殺害してしまった。その夜、プルデンシオ・アギラルの通夜が行われている間じゅう、ウルスラとホセ・アルカディオ・ブエンディアはからみ合っていた。

マコンド、建つ

この一件から、ホセ・アルカディオ・ブエンディアに変化が訪れた。プルデンシオ・アギラルの亡霊が見えるようになったのである。いつまで経っても消えない亡霊に、ホセ・アルカディオ・ブエンディアはついに根負けして集落から出ていく決心をした。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3511/4540文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2024.08.25
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

魚ビジネス
魚ビジネス
ながさき一生
科学と資本主義の未来
科学と資本主義の未来
広井良典
美食の教養
美食の教養
浜田岳文
自分とか、ないから。
自分とか、ないから。
しんめいP鎌田東二(監修)
SFマンガで倫理学
SFマンガで倫理学
萬屋博喜
舞姫
舞姫
森鴎外
嫉妬論
嫉妬論
山本圭
わたしが「わたし」を助けに行こう
わたしが「わたし」を助けに行こう
橋本翔太

同じカテゴリーの要約

実はおもしろい古典のはなし
実はおもしろい古典のはなし
三宅香帆谷頭和希
時間・自己・幻想
時間・自己・幻想
マルクス・ガブリエル大野和基(インタビュー・編)月谷真紀(訳)
夢をかなえるゾウ0 文庫版
夢をかなえるゾウ0 文庫版
水野敬也
町の本屋はいかにしてつぶれてきたか
町の本屋はいかにしてつぶれてきたか
飯田一史
君たちはどう生きるか
君たちはどう生きるか
吉野源三郎
なぜ働いていると本が読めなくなるのか
なぜ働いていると本が読めなくなるのか
三宅香帆
西洋近代の罪
西洋近代の罪
大澤真幸
となりの陰謀論
となりの陰謀論
烏谷昌幸
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ブレイディみかこ
サピエンス全史(上)
サピエンス全史(上)
ユヴァル・ノア・ハラリ柴田裕之(訳)