習慣化は自己肯定感が10割
習慣化は自己肯定感が10割
著者
NEW
習慣化は自己肯定感が10割
出版社
出版日
2025年04月05日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「自己肯定感を高めれば、どんな習慣も身につく」――本書で、著者はそう断言する。

著者の中島輝氏は、自己肯定感の第一人者として知られる心理カウンセラーだ。これまでにJリーガーや上場企業の経営者など、1万5000名以上を支援してきた実績があり、予約は常に6カ月待ち。企業研修や講演も多数手がけ、自己肯定感の大切さを広く伝えてきた。

私たちは、新しい習慣を始めるとき、つい意志の力に頼ろうとしてしまう。モチベーションを上げて、気合で乗り切ろうとする人も多いだろう。だが著者は、意志や根性だけで「つらい」「苦しい」行動を続けるのは困難であると語り、そんなときこそ自分を受け入れる「自己肯定感」が必要だという。習慣化を支えてくれるのは、意志の力ではなく自己肯定感なのだ。

本書では、習慣が定着するまでのプロセスを「種まき期」「反発期」「忍耐期」「成長期」「開花期」「達成期」という6つのステップに分け、それぞれに必要な自己肯定感の要素を「6つの感」(自尊感情・自己受容感・自己効力感・自己信頼感・自己決定感・自己有用感)として丁寧に紹介している。たとえば、途中で「なんか面倒くさいな」「今日は忙しいから後回しにしよう」と気持ちがゆらぐ反発期には、そんな自分を責めずに受け入れる「自己受容感」がカギになる。

何度も習慣化に失敗し、自信を失っている人に、本書を手に取ってほしい。これまでと違う視点で、次の一歩が踏み出せるはずだ。

著者

中島輝(なかしま てる)
自己肯定感の第一人者/心理カウンセラー/自己肯定感アカデミー会長/一般財団法人自己肯定感学会代表。30年以上の研究と実践を通じて独自の理論を確立し、Jリーガーや上場企業経営者など15,000名以上を支援。予約待ち6カ月以上の実績を持ち、上場企業研修や講演会も多数実施。『自己肯定感の教科書』『自己肯定感ノート』『繊細すぎる自分の取扱説明書』など著書は累計70万部を突破し、海外翻訳出版も30冊以上。NHK『あさイチ』や日本テレビ、フジテレビの番組の監修をはじめ、『読売新聞』『anan』『PRESIDENT』などメディア掲載1,000件以上。講演会実績450本を超え、毎年6,000名以上の対人支援者を育成。自己肯定感の普及に尽力し、幅広い支持を得ている。インスタグラムフォロワー6.9万人(2025年4月時点)。
・中島輝オフィシャルサイト https://teru-nakashima.info/
・自己肯定感アカデミー https://ac-jikokoutei.com/

本書の要点

  • 要点
    1
    新たな習慣を身につけ、定着させるまでには、6つのステップを踏む必要がある。この6ステップは、自己肯定感を構成する「6つの感」(自尊感情・自己受容感・自己効力感・自己信頼感・自己決定感・自己有用感)と密接に関係している。
  • 要点
    2
    ステップ1の「習慣の種まき期」には「自尊感情」が欠かせない。習慣化のいい種をまくためには、自分自身を冷静に見つめる視点と、そっと背中を押すような優しさが必要だからだ。
  • 要点
    3
    ステップ2の「習慣の反発期」に必要なのは「自己受容感」だ。新習慣への取り組みが一度挫折してしまったときにも、自己受容感が満たされていれば、再び前を向くことができる。

要約

自己肯定感と習慣化の6ステップ

習慣化に失敗するのはなぜ?
ozgurcankaya/gettyimages

新たな習慣を生活に取り入れたいとき、多くの人は「達成したい結果」を思い描き、やる気を高めて行動に移そうとする。ところが実際には、意志の力だけに頼った習慣の多くは、やる気が続かず、定着せずに終わってしまうことが多い。

たとえば、ダイエットを始める場合を考えてみよう。「やせたい」という結果を求めて、新しい食習慣を取り入れるとする。しかし、その食事法がストレスを伴うものであれば、続けること自体が苦痛となり、途中で挫折したり、体重がいったん減っても元の食生活に戻ってリバウンドしてしまったりするものだ。

新たな行動を習慣化したいときには、「その習慣が定着することで、自分の人生はどのように良い方向へ進んでいくのか?」と、自分自身に問いかけてみることが重要である。つまり、「手に入れたい結果」から考えていくのではなく、「自分はなぜそうするのか」「どんな自分になりたいのか」に意識を向けることが習慣化の定着と継続を成功させる秘訣だ。

理想の自分を思い描き、その姿が実現したときの幸福なイメージをより鮮明に思い描くと、自然と自己肯定感が高まっていく。自己肯定感が十分にある状態では、たとえ途中でつまずいたとしても、自分を責めることなく、失敗を前向きに受け入れられる。そして、他人と比較して落ち込むことなく、現在と未来に希望を持ち、自分を信じて一歩を踏み出せるようになる。

自己肯定感を構成する「6つの感」

自己肯定感は「6つの感」によって成り立っている。

・自尊感情:自分には価値があると思える感覚

・自己受容感:ありのままの自分を認める感覚

・自己効力感:自分にはできると思える感覚

・自己信頼感:自分を信じられる感覚

・自己決定感:自分で決定できるという感覚

・自己有用感:自分は何かの役に立っているという感覚

これら「6つの感」は、互いに影響し合いながら、自己肯定感のバランスを保っている。

たとえば、自尊感情と自己受容感が満たされている人であっても、大切な仕事で失敗した直後には自己効力感や自己信頼感が傷つき、一時的に自己肯定感が揺らぐことはある。ところが、自尊感情と自己受容感が満たされていれば、やがて傷は癒え、再び前を向くことができるのだ。

習慣化と自己肯定感の関係

新たな習慣を身につけ、定着させるまでには、6つのステップを踏む必要がある。理想の自分を思い描き、それに近づくための行動を試し始める種まきの時期があり、習慣化が途切れそうになる反発期や忍耐期、成長期などのステップを踏んで、習慣が定着・持続する開花期、達成期に至るのだ。

そして、この6つの習慣化ステップは、前述の「6つの感」と密接に関係している。それぞれの段階を乗り越えるためには、特定の「感」が大きな助けとなるからだ。その対応関係を見てみよう。

(1)習慣の種まき期:目指す姿を思い描き、どの習慣に挑戦するかを考えるフェーズ。この時期を支えるのは、「自分には価値がある」と思える自尊感情である。

(2)習慣の反発期:現状維持を求める無意識の反発が起こり、「なんでこんなことをしているんだろう?」と疑念が湧く時期。この迷いを乗り越えるためには、ありのままの自分を認められる自己受容感が必要となる。

(3)習慣の忍耐期:継続が危うくなる習慣を、なんとか持続させる時期。「自分にはできる」と思える自己効力感がエネルギーとなる。

(4)習慣の成長期:うまくいく日もあれば、そうでない日もある。こうした波のある期間を支えるのが、自分を信じる自己信頼感である。

(5)習慣の開花期:行動が自然と継続できるようになる時期。自ら選び、続けてきたという実感が、自己決定感を高める。

(6)習慣の達成期:定着した習慣により、成果を手にする時期。得た成果や成長した自分が周囲に役立っているという感覚で自己有用感が満たされ、次なる挑戦への活力が湧いてくる。

要約では6つのステップのうち、1つ目と2つ目を取り上げる。

【必読ポイント!】 自尊感情が欠かせない「習慣の種まき期」

自尊感情と習慣化の関係
sasirin pamai/gettyimages

1つ目のステップは「習慣の種まき期」だ。

たとえば、転職によって仕事のストレスが増え、毎晩ビールを2缶、スナック菓子を1袋食べるようになったとしよう。これは、仕事にも健康にもマイナスとなる悪習慣である。ストレスが引き金となって、悪い種をまいてしまったと言える。

こうした悪習慣が定着すると、朝から胃や頭が重く感じられ、仕事のパフォーマンスは落ち、体重も体脂肪も増えて不健康な体になる、という実を収穫することになる。種まき期に自身の願望と異なる種をまいてしまうと、習慣は挫折するか、理想とはかけ離れた結果を招いてしまうのだ。

いい種を選ぶためには、自分自身を冷静に見つめる視点と、そっと背中を押すような優しさが必要だ。だからこそ、「自分には価値がある」と思える自尊感情を満たした上で、習慣化に取りかかることが重要なのだ。

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要約公開日 2025.06.16
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