明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上
明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上
「仕組み」で部下と顧客の心に火をつけろ!
明治製菓カカオ事業部 逆境からの下剋上
出版社
出版日
2025年10月06日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

不本意な異動、誰も期待していない事業、寄せ集めのメンバー。本書は、そんな逆境からの下剋上を果たしたチームの実話をいきいきと描き出している。

舞台は1999年の明治製菓。当時の社内には、「新規事業は失敗する」というジンクスがあった。そんな中、著者の山本実之氏は、花形部署に異動してわずか半年というタイミングで新規事業「カカオ事業部」の課長となる。周囲から「なんかやらかしたの?」と聞かれたほど、突然の異動だった。

カカオ事業部が与えられたのは、狭く暗いスペースと役職定年になった4人のメンバーたち。経験も知識もリソースも、もちろん実績もない中、カカオ事業部の伝説は幕を開けた――。

一冊を通して印象的だったのは、言葉の力だ。本書にはたびたび印象的なセリフが登場する。「仕事人生の最後にここで仕事ができて、本当によかったよ」「会社の金で新しいことして、失敗したってクビにならない。俺たち幸せだぜ」「そういうときも、人生にあっていい」「これはめったにできない経験だぞ」「ハイリスクハイリターン、いいじゃないか、望むところだ」「人生で最高のときにしよう」「Go to market 40」「絶好調!」「カカオ100」「俺たち、めちゃくちゃラッキーだぞ!」「Trust Me!」……こうした血の通った言葉を介して、人と人が、ビジネスとビジネスが結びついていく。その様子はまさに人間ドラマであった。

本書は単なるサクセスストーリーではなく、チームとして働くことの本質を提示している。置かれた環境を嘆くすべてのビジネスパーソンに、再び立ち上がる勇気と熱をくれる一冊だ。

著者

山本実之(やまもと みつゆき)
明治ビジネスサポート株式会社 元代表取締役社長/ナトラ合同会社 代表
1984年に、明治製菓に入社後、原料の輸入販売、製品輸出の業務で海外経験を積み、イギリスとの合弁会社で営業企画管理部長を経て、新規事業「カカオ事業部」の立ち上げのリーダー、営業部長として活躍。「売上0」から約10年で70億円の売上規模に拡大させる。その後、研修部長として人財開発を担当。
グループ会社の社長を経て独立。マネジメントに悩んでいたときに国内外の社長を歴任した師匠である新将命氏からデール・カーネギーのリーダーシップの教えを教わり開眼。マネジメントやグループ会社の経営で実践する。現在は、世界100カ国以上、900万人が受講するデール・カーネギー・トレーニングジャパン公認トレーナー、GCDF-Japan キャリアカウンセラーをはじめ国内外の人材育成関連の資格及びFP1級(ファイナンシャルプランニング技能士、国家資格)、CFP資格等を数多く有し、PHP研究所研修講師・人財開発コンサルタントとして大手企業から中小企業まで人財開発を指導。また、社長のメンターとしても活躍している。ミッションは「世界中の人々に愛とゆめと勇気を与えること」。

本書の要点

  • 要点
    1
    著者は1999年、明治製菓の新規事業「カカオ事業部」の課長に就任した。この部署は、既に業界ナンバーワンであった「商品」ではなく、「原料」の市場を開拓するチームとして結成された。
  • 要点
    2
    2004年頃には、前年の売上が約28億円だったにもかかわらず、「Go to market 40」(行くぞ、売上40億!)を合言葉とした。
  • 要点
    3
    2009年、最大の顧客が最大のライバル会社に買収され、年間売上の15%を失うことになった。そんな状況下でも、チームはピンチをチャンスに変えた。

要約

伝説の幕開け

突然の辞令

「『カカオ事業部』課長に任命する」

新規事業部への辞令が出たのは、花形部署に異動してわずか半年後、1999年のことだった。周囲からは「なんかやらかしたの?」という声が上がったが、明治製菓の人事は概して「予想外人事」なのだ。

チョコレート業界には「商品」と「原料」という2つの柱がある。新卒1年目から8年目まで他部署で原料事業に携わっていた著者は、この分野で取引されるカカオが業界の勢力図を左右することを知っていた。会社もその重要性を理解していたのだろう。ここを制することで、日本一のチョコレートメーカーへと近づける――そう踏んだのだ。

さらに、新規事業の成功にはもう一つの利点があった。チョコレート製品は夏場に売れ行きが落ちるため、工場は冬に繁忙を極め、夏は人も設備も持て余す。季節問わず需要のある原料事業が軌道に乗れば、この非効率を解消できるのである。

しかし当時、明治製菓は新規事業の立ち上げを不得手としており、成功例は皆無に等しかった。社内のだれもカカオ事業部に期待していない。それでも、毎日浴びせられる「どうせ」を必ず跳ね返してやると心に誓った。

衝撃の一言
Aleksandra Zhilenkova/gettyimages

ところが、営業メンバーとして集められた4人は全員すでに役職定年を迎えた人たちだった。もっと馬力のある人材はいくらでもいるはずで、この人選にも上層部の期待の低さが透けて見えた。

本人たちも突然の異動に戸惑っている様子だった。キャリアの終盤を穏やかに過ごそうとしていた矢先の配属だ。無理もない。しかも、上司にあたる著者は一回り以上年下である。

そんな中、あるメンバーから思わず耳を疑う一言が飛び出した。

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要約公開日 2025.11.28
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