カスハラの正体
カスハラの正体
完全版 となりのクレーマー
カスハラの正体
出版社
中央公論新社

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出版日
2025年04月10日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

居酒屋やファミレスで食事をしているとき、書店やコンビニで買い物しているときに、いきなり大声で怒鳴りつける人に出くわし、面食らったことがある人は少なくないだろう。ただの苦情ではなく、いじめや恐喝に近い言動が見られると、自分が責められているわけでなくとも変な汗をかいてしまう。

2025年、東京都でカスタマー・ハラスメント防止条例が施行された。ここではカスタマー・ハラスメント(カスハラ)が「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と定義されている。しかし実際は、具体的な対応内容や、そもそもカスハラとは何なのか、まともな苦情との切り分けといったことが、なかなか浸透していない。

著者は、西武百貨店で長年「お客様相談室」を担当し、その後立ち上げた会社で「苦情・クレーマー対応アドバイザー」を務める、苦情対応の第一人者だ。無理難題、理不尽なイチャモンというカスハラが受け手に与える精神攻撃について、「優位な立場の者による『いじめ』だ」と書く。「相手・自分双方にとっての『最良の結果』」を目指すことが、これに対抗するために重要となる。

「1人の苦情を言う人の背後には、26人の同じ苦情を持つ人がいた」というグッドマンの法則も意識しておきたい。対応によっては自分たちの価値を高めることにつながる。そのためにも、そして、自分の苦情が理にかなったものかを振り返るためにも、あらゆる人が読んで糧にできる本である。

著者

関根眞一(せきね しんいち)
1950年、埼玉県越生町生まれ。69年西武百貨店入社、八尾、宇都宮、つくば、池袋でお客様相談室を担当。難解な苦情・こじれた苦情・クレーマー対応を得意とする。2005年メデュケーション㈱を興す。苦情・クレーム対応アドバイザーとしては現役であり、これまでの難解苦情処理数は3000件を超えた。販売業・医療・省庁・行政・教育・保育園などの団体/個人向けに講演活動を行うほか、専用マニュアル作成も請け負う。ベストセラーとなった『となりのクレーマー』(中公新書ラクレ)、『日本苦情白書』(メデュケーション㈱)ほか著書多数。

本書の要点

  • 要点
    1
    自分の思いどおりにしようと、過剰な言動をとる人、明らかに販売員をいじめる目的で行動する人など、さまざまな「カスハラ」を行なう人物がいる。
  • 要点
    2
    問題の大きなカスハラには毅然とした対応をとる。一方で、こちら側に非がある場合は真摯に謝罪し、一般の苦情のすべてをクレーマーのものと決めつけて過剰反応しないようにすることも大切である。

要約

お客様相談室での出来事

婚約指輪
KMNPhoto/gettyimages

結婚を控えた女性、Aさんは以前からのお得意さまで、その日は婚約者同伴でペアリングを見に来ていた。すぐに2人の意見は一致し、婚約指輪にイニシャルを入れることにして、出来上がり予定日を書き入れた伝票を持ち帰った。

1週間ほどでサイズ調整も終わり、その旨を連絡すると、Aさんは「近日中に行きます」と答えたきり、なかなかお店に姿を見せない。そこで再度ご案内したところ、売り場のリーダーに向けて苦情の電話が来た。お相手は海外に出ていて一緒に取りに行けないという話を担当ともしていたはずなのに、2人で来てなどと意地悪なことを言うなら、説明しに来てほしいとのクレームだ。婚約者とケンカをしたのかとも思いつつ、訪問での謝罪に向けて日程を確認すると、「明日の夜9時にしてください」と少し常識外な時間を指定してくる。

女性の係長と著者の2人でAさん宅に赴くと、玄関先で自分だけイスに腰掛け、延々2時間半、同じクレームの繰り返しと、自分の勤める会社の自慢ばかりして、販売業従事者を下に見る態度もとる。その場では、失礼をお詫びしたうえで、後日に来店していただくこととした。

Aさんが来たのは、来店予定から遅れること3日後、しかも一人だった。不思議と機嫌がよく、婚約者の分はフランスにいる彼のもとへ送り、Aさんの誕生日に同時に指にはめるという。販売員は、男性用と女性用で見分けがつくように、袋を分けて、保証書も同封して渡した。

しかしその2週間後、フランスの彼に送ったものは女性もののほうだったとのクレームの電話がくる。誕生日が台無しになったと狂乱気味で、「そちらが保証書の入れ間違いをした」と主張する。紙袋に同封した保証書の内容を信じて、Aさん側の箱の中身を確認することもなく送ったという。販売員だけでなく、係長も課長も疑っていたが、そのような間違いを故意にしてもお客さまにはなんの得もないはずと考え、彼女の手違いを証明できない以上、信じることを前提とした対応をすべきだと判断した。

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要約公開日 2025.11.24
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