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本書の要点

  • 正義は自らを「一・五代目」だと形容する。事業を受け継いだ二代目ではないが、父・三憲から多くのものを受け継いだから一・五代目というわけだ。三憲は正義の最大の理解者・応援者であり、正義は誰よりも三憲のことを尊敬していた。

  • 三憲は勉強ができたが、窮する家族を養うために高校進学を諦めた。闇焼酎や養豚、お金の貸し付けなどさまざまな商売に従事した後、「九州一のパチンコ店」を経営するまでになった。

  • 三憲は正義にさまざまな訓えを残した。中でも「孫家の血を誇りに思え、何があっても、負けるな」が最も大切なメッセージである。

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負けじ魂

「僕は一・五代目だ」

孫正義は、誰よりも自分の父・三憲(みつのり)を尊敬していた。公の場で口にすることはないが、集中力と負けじ魂が世界中の誰よりも強い三憲は、正義にとって特別な存在なのだ。

三憲は1936年に生まれた在日韓国人二世である。貧しい家庭を助けるため、中学を卒業すると廃品回収業や焼酎の行商で働いた。やがてパチンコ店を兄弟で100軒あまり経営するほどの成功を収め、正義ら4人の息子を育て上げた。

正義は自らをこう形容する。「僕は一・五代目だ」。ソフトバンクを創業した起業家ではあるが、父から多くのものを受け継いだ。事業を受け継いだ二代目ではないが、一・五代目だ。父に対する尊敬の念が込められている。

正義は三憲から「勉強せよ」と言われたことは一度もなかったが、それがかえって、勉強したいという気持ちを起こさせた。そんな息子を見て父親は「お前は天才だ」と褒めちぎった。「親父は最高で偉大な教育者だ」と正義は振り返る。

三憲からは「知恵は脳みそがちぎれるほど絞れ、そうすれば湧いてくる」と何度も聞かされた。また、在日韓国人が日本人社会で生きるには「正しいことをやらんとこの国では認めてもらえん」とも。

正義にとって、父は最大の理解者であり、応援者であった。

虎は死して皮を残す、人は死して名を残す

hikastock/gettyimages

その三憲が病に斃(たお)れた。診断は、ステージ4の末期がん。2021年春、三憲は80代後半になっていた。年に一度の人間ドックを欠かさず、毎月、定期健診を行っていたのにもかかわらず、発見はかなわなかった。

病魔に侵されながらも、三憲は「やりたいことがある。まだ5年は生きたい」と強く願っていた。東京の病院に転院し、がん治療を行った。一時は薬が効いてがん細胞は縮小したものの、最後は病魔が勝った。

その死の間際、三憲はカッと目を見開いて「虎は死して皮を残す、人は死して名を残す」と言った。そして、眠るように息を引き取った。

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要約公開日 2025.12.05
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