人間関係のストレス
思い出すだけでざわつく
仕事のストレスは、苦手な上司、合わない同僚などの人間関係、集中できないなどの脳内物質不足、そして、仕事が合わないことの3つに集約されるという。そうしたストレス源があると、危険を察知する脳内の扁桃体が「警報ボタン」を押し、ノルアドレナリンやアドレナリンが分泌されることで闘争・逃走状態となり、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが身体全体に流れて、胃痛や思考力の低下などを招く。ストレスをため込んだままだと、脳疲労状態に陥り、判断ミスの頻発や感情制御の崩壊、離職リスクの増大といった、取り返しのつかない状況に追い込まれてしまう。したがって、そもそも「ストレスを『脳に入れない』」ことが大事になるのだ。
まずは人間関係で考えてみよう。苦手な上司や同僚がいると、扁桃体は警報を鳴らしてしまう。大勢の前で叱責された経験などへの強い恐怖、屈辱が「生存に関わる重要情報」として脳内に永久保存され、その人物を思い出すだけでアラートが発せられるようになるのだ。すると、ドーパミンやオキシトシン、セロトニンといった「幸せを司る脳内物質」(本書ではこれを3つの頭文字をとって「DOS」と呼ぶ)が出にくくなり、集中力や心の安定などが失われてしまう。この状態では、せっかくの休日も楽しめない。
苦手な人を脳から追い出す

「苦手な人が自分の脳に侵入できないよう強力なバリアを張る」ことと、「自分の力でDOSのバランスを整える」ことによって、苦手な人から脳を自由にすることができる。本書ではその方法がいくつか紹介されているが、ここでは2つピックアップしよう。
まずは、「ネームチェンジ法」だ。携帯やスマホなどの対象者の登録名を記号やアルファベットに変え、扁桃体を反応させないようにする。たった1分で、どこでもできる「簡単かつ非常に強力な方法」である。脳科学には、「相手の名前を呼ぶことで親近感を抱かせる」というネームコーリング効果と呼ばれるものがあり、これを利用して逆に、「もっとも『何の感情も湧かない』文字や言葉」を登録名にするのだ。
具体的に「田中部長」といった名前になっていると、その文字を見ただけで相手の怒鳴る声などがすぐに想起されてしまう。それが「B」のような文字になっていれば、脳もワンクッション置く必要がある。名称は「インデックス(見出し)」として脳に利用され、表情や感情までも連合記憶としてひもづいている。一方で「B」という記号は、どの情報にも結びついておらず、マイナスなものに過剰に注目してしまう「注目バイアス」も働かない。




















