変な心理学
「心理学」に覚える違和感
心理学者であり、心理学が大好きな著者は、日常的に国内外の記事や論文に目を通している。そんな著者は、今の心理学は「変」だと感じている。
心理学の専門家・研究者として著者が接しているのは、学術分野として発展してきたアカデミックな心理学だ。著者の専門である「認知心理学」は、行動実験により心の仕組みを明らかにしていくというものだ。
一方、「無類の心理学好き」として接しているのが、大衆的な心理学である。大衆的な心理学では、自分や他者の心をコントロールしたり、それらを生活に生かすテクニックを手にすることが目的で、「心」の仕組みを明らかにすることは重要視されていない。実際、ビジネスや人間関係の改善など、人生を豊かにするために利用する人が多い。
以上のように、アカデミックな心理学と大衆的な心理学は「質的」にまったく異なる存在だ。にもかかわらず、同じ「心理学」と呼ばれることに著者は違和感を持っている。
本書では、大衆的な心理学とアカデミックな心理学を比較し、その関係を解説していく。
【必読ポイント!】カラーバス効果
アカデミックな心理学には存在しない?

大衆的な心理学用語の一つに「カラーバス効果」というものがある。自動的にアイデアの種を集められるテクニックとして知られている。
たとえば、「今日のラッキーカラー」が赤だったとする。すると「赤」が印象付けられ、普段なら気にもとめない赤い看板や赤いオブジェなどが目に入り、高頻度で「赤いもの」を見るようになる。カラーバス(color bath)とは「色を浴びる」という意味だ。
これは色に限らない。アイデアの要素をキーに設定することで、自動的に情報が集まってくるようになるのである。
Wikipediaでは、カラーバス効果は「心理学用語の一つ」と書かれているが、実はアカデミックな心理学には存在しない。著者も大衆向けウェブサイトで偶然見かけるまで、一度も聞いたことがなかったという。では、「カラーバス効果」という言葉は、いつ、どのようにして生まれたのだろうか?




















