flier_logo
ゴールドプランなら4,000冊以上が全文読み放題! 7日無料体験はこちらから
資本主義と、生きていく。の表紙

資本主義と、生きていく。

歴史と思想で解き明かす「構造的しんどさ」の正体

NEW

本書の要点

  • 「追われている感覚=しんどさ」の正体は、時間、成長、数字、労働、お金、消費の「6人の追手」だ。これらは、個人の性格や能力からではなく、資本主義の構造から生まれている。

  • 時間に追われる感覚は、キリスト教の「直線的な時間感覚」と関係している。

  • 「成長の呪い」の起源は、中世ヨーロッパの哲学にある。その後、科学技術の発展や産業革命を経て、「人類は成長し続ける」という進歩史観的な価値観が定着していった。

  • 資本主義社会で自分を見失わずに生きるためには、距離感をほどよく調整するスキルが必要だ。

1 / 3

【必読ポイント!】私たちを苦しめる「追手」の正体

6人の追手

私たちが常に感じている、何かに追われている感覚。その正体は、時間、成長、数字、労働、お金、消費の「6人の追手」である。

「6人の追手」は個人の性格や能力からではなく、社会の仕組みそのものから生まれている。そのため、小手先のスキルを使っても問題は解消されず、形を変えて繰り返し迫ってくる。

私たちのしんどさはどう形づくられて、どう人間を苦しめてきたのか。本書ではその構造を、歴史と思想から明らかにしていく。本要約では「6人の追手」のうち、時間、成長、お金を取り上げる。

時間 〜なぜいつも時間に追われているのか?

Yutthana Gaetgeaw/gettyimages

現代人は常に時間に追われている。便利な家電やスマートフォンに囲まれているのに、なぜ「時間が足りない」という感覚になるのだろうか。歴史をたどって「時間の流れ」の変遷を見ていこう。

時は紀元前6世紀ごろの古代ギリシア。都市国家が誕生し、ソクラテスやプラトンなどの哲学者が登場したこの時代、時間の流れは今とまったく違っていた。古代ギリシア人にとって時間とは、季節や星座のように「永遠に繰り返すもの」。彼らの時間感覚は「循環的」であったのだ。

それを変えたのが、キリスト教である。キリスト教の偉人の一人であるアウグスティヌスは、3世紀前半に記した著作『神の国』の中で、循環的な時間感覚を「ばかげた空虚なもの」と一蹴している。その代わりに示したのが、世界には「始まり」と「終わり」があり、人類は「最後の審判」が行われる「終わり」に向かって一直線で進んでいくという歴史観――すなわち「直線的な時間感覚」である。時間は「ぐるぐる回る円」から、「目的地に向かって進む矢印」に変わったのだ。

この時間感覚は、キリスト教の普及とともにヨーロッパ中に広がった。中世の修道院では「神への奉仕」の名のもと厳格に時間が管理され、産業革命後の近代では労働者を管理する道具として時間が使われるようになった。現代は「時間管理」があらゆる場面を支配している。

とはいえ、私たちの中には「自然と一体となった循環的な時間感覚」も残っている。両者に挟まれて窒息しそうになっているのが、「便利になっているのに忙しい」というしんどさの原因ではないだろうか。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3317/4249文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2026.05.17
Copyright © 2026 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

起業家のモノサシ
起業家のモノサシ
藤田田
大暴落前夜
大暴落前夜
ジム・ロジャーズ花輪陽子(監修)アレックス・南レッドヘッド(翻訳)
生成AIが変える世界を紐解くINFRA MECHANISM
生成AIが変える世界を紐解くINFRA MECHANISM
江崎貴裕
「この型」を使って〇〇をわかりやすく説明してください。
「この型」を使って〇〇をわかりやすく説明してください。
深谷百合子
なぜ、あなたは時間に追われているのか
なぜ、あなたは時間に追われているのか
吉川ゆり
体力おばけへの道 超ハードモード編
体力おばけへの道 超ハードモード編
澤木一貴國本充洋 (監修)
聞き出せる人が、うまくいく。
聞き出せる人が、うまくいく。
荒木俊哉
1日ごとに差が開く 天才たちのライフハック
1日ごとに差が開く 天才たちのライフハック
許成準

同じカテゴリーの要約

考えてはいけないことリスト
考えてはいけないことリスト
堀田秀吾
上手に「指示できる人」と「できない人」の習慣
上手に「指示できる人」と「できない人」の習慣
鶴野充茂
ミニマル脳習慣
ミニマル脳習慣
菅原道仁
服捨て
服捨て
昼田祥子
「気が利く」とはどういうことか
「気が利く」とはどういうことか
唐沢かおり
無料
「頭」を使える良問
「頭」を使える良問
高松智史
誰とでもうまく「話せる人」と「話せない人」の習慣
誰とでもうまく「話せる人」と「話せない人」の習慣
松橋良紀
IKIGAI シンプルに、豊かに生きる
IKIGAI シンプルに、豊かに生きる
エクトル・ガルシアフランセスク・ミラージェス長澤あかね(訳)大岩央(編・監修・解説)
無料
グズを直す本
グズを直す本
名取芳彦
耐えない思考
耐えない思考
なーすけ