あなたの会社の「大課長」
管理職とは何か

「課長よりも上のポストにあるにもかかわらず、課長と同じような仕事をしている人たち」を「大課長」と呼ぶ。では、そもそも、課長と部長のあいだにはどのような違いがあるのだろうか。
管理職とは一般的に、課長以上の役職にある者を指す。部長・本部長クラスと課長との違いは、マネジメントの期間が長期か短期かで分類することができる。日々の進捗確認と目標達成に向けたサポートを行なう短期の業務推進や、メンバーのモチベーション維持、心理的安全性の構築に従事する短期のチームビルディングは、課長の役割だ。一方、抜本的な発想を伴った長期的な価値向上施策を推進する戦略策定や、それを踏まえた人材育成・採用活動などが求められる長期的な組織設計は、部長・本部長の役割となる。
したがって、現場にいちいち口を出すようなことは部長以上がすべき仕事ではない。「大課長」は、「一貫して短期的なことを気にしている部長・本部長」なのである。
1990年代初頭までの日本は生産年齢人口比率が高く、既存の事業の磨き込みで業績を伸ばしていけた。部長であっても目の前の業務の監督をしていればよかったし、終身雇用制度のなかで社員のコンディションにそこまで気を配らなくても問題なかった。この構造や社会のスピードが変化したことで、新規顧客・事業の開発などが求められ、転職が一般化し、管理職の役割がさらに多様になっている。管理職の人数が減少するなか、組織改変のトレンドによって課長の業務範囲が広がり、上場企業に属する課長の実に99.5%がプレイング・マネジャーになっている、との試算もある。
この状況で現場のメンバーがDXの必要性を訴えても、「リソースが割けない」などと及び腰になり、社外の人に頼ろうにも「外の人には、うちのことはわからない」と言ってのけ、新たな試みを潰してしまう。そうした「大課長」は、「今後の会社を伸ばしていくための戦略」に考えが及ばず、コスト削減などの縮小均衡に終始する。そこに待っているのはジリ貧の結果だ。
「大課長」の特徴
そんな「大課長」のあるあるのパターンをいくつか紹介しよう。
長期的な視野が求められるはずなのに、「今月の数字や成果のことばかりを気にしている」。だから、「今月終了のプロジェクトは滞りなく進んでいるか?」といったように、目先のことに囚われがちになる。しかも、人手不足を理由に「現場がすべき実務を抱え、各論に口を出している」ことも多い。そのなかには現場大好きのプレイヤー型もいて、だいたいは「よかれと思ってやっている」のが特徴的だ。「今いる人たちだけで業務を何とかしようとしている」ので、組織体制の見直しに向かわない。
サービスの拡充や新規事業の提案など、より高い視座で考える必要があるのに、「自分の過去の成功体験を振りかざし、現在の延長線上で未来を語っている」。不確実性の高いビジネス環境では、若いころの現場の武勇伝などなんの意味もない。一方で、「経営層の意向ばかりを優先した意思決定」や「さらに上に相談する」という決められない発言もみられる。経営層が任せきれていないことにも問題があるだろう。また、現場から新しい提案があれば、「失敗したときのリスクばかりを指摘する」。リスクを下げようとすれば、事業インパクトの可能性の芽も摘まれてしまう。「チャレンジしないリスクには、目が向かない」のだ。
引き起こされる問題

「大課長」は実際にどのような弊害を生み出しているのだろうか。本書ではこれを5つに分類している。1つずつみていこう。



















