部下論

上司に評価される20の法則
未読
部下論
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上司に評価される20の法則
未読
部下論
出版社
東洋経済新報社

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出版日
2015年05月14日
評点
総合
3.7
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

著者、江口克彦は、松下幸之助に20年以上仕え、その後松下電器の経営を担った。その名を知る方は多いのではないだろうか。著者は、松下の部下として真剣に、「命懸け」で過ごしながら、部下としてどう在るべきか、日々模索した。その思考と実行から得られた果実を記したのが、本書である。

「上司に評価される法則」として、「熱意とやる気がある」「誠実である」「明るさがある」など、20の項目が提示されているが、書かれている内容はただ上司に評価されることを目的としているものではない。いかにすれば上司の思いを汲みとり、期待を受け止め、結果を出しながら、成長していくことができるのか。そして、いかにすれば、上司とともに大きな仕事を成し遂げられるのか。そうしたことを可能にするための振る舞い方や心構えが書かれているのが本書である。人間としての正しい道が商売繁盛のための正しい道であると説いた、松下の教えを引き継いだ著者の言葉には、ずるさや見せかけのごまかしは一片たりとも存在しない。光に満ちた道をゆくように指し示す言葉はときに厳しくもあるが、それらを実行してこそ力がつくということだろう。

巻頭で著者は、仕事をうまく成し遂げるためには、上司も優れた上司でなければならないが、部下もまた優れた部下でなければならない、と述べている。上司とともに大きな仕事をすべく、部下の役割を一生懸命に務めようではないか。現在「部下」である全ての方にお薦めしたい。

ライター画像
熊倉沙希子

著者

江口克彦
参議院議員。経済学博士。
1940年2月1日、名古屋市生まれ。PHP総合研究所元社長。松下電器産業(株)元理事。慶應義塾大学法学部政治学科卒、愛知県立瑞陵高等学校卒。23年間、松下幸之助の下で過ごす。松下哲学、松下経営の伝承者と言われ、著書、講演多数。「地域主権型道州制」を提唱、内閣官房道州制ビジョン懇談会座長等を歴任。平成22年参議院議員選挙に当選。

本書の要点

  • 要点
    1
    部下には熱意が必要だ。上司が部下に任せる大きな仕事や、多量の仕事は、部下の能力を見込んで伸ばすためのもの。なんとか成し遂げようという熱意を持てば、創意工夫が生まれ、試練を乗り越えられる。
  • 要点
    2
    部下はうまく叱られよう。素直に謝り、叱られた後少し時間をおいてから上司にフォローを入れることで、叱られたことをプラスに転換できる。
  • 要点
    3
    部下は与えられた仕事をこなすだけでなく、自分の目標を立ててそのために懸命に仕事をしよう。そうすることで着実に成長することができる。

要約

熱意とやる気がある

熱意こそが成功の可能性を拓く
Dirima/iStock/Thinkstock

ぜひとも成功させたい、という熱意があればこそ、創意や工夫が生まれる。現代では、楽しく仕事をするということが盛んに言われるが、仕事は基本的に地道で厳しいものである。熱意を持って厳しさを乗り越えてはじめて、仕事の充実感、すなわち楽しさを手に入れることができるのだ。

上司に一段高い仕事、もしくは同時にいくつもの仕事を任されることもあるだろう。そんなとき、逃げ出してはいけない。やってみなければできるかできないかもわからないし、たいていの場合、上司は部下の能力より少し高いくらいの水準の仕事を任せ、部下を伸ばそうとしているものだ。

仕事が重なってくるとさばききれないという人もいるが、たいていの場合、段取りを良くすることで解決できる。手際よく仕事を進めるための要素は、順番、時間、充実。著者は、頭の音をひろって、「3J」と呼んでいる。まず、仕事の優先順位と取り組むべき順番を決める。次に、それぞれの仕事にかける時間を決め、厳守する。最後に、指示されただけの仕事でなく、与えられた以上に充実した仕事をする、というわけである。

「3J」の原動力となるのもまた、なんとか成し遂げたいという熱意である。

明るさがある

明るさは仕事も評価も生み出す

本来の気質はどうあれ、職場という場に関しては「明るい振る舞い」をすべきだと著者は言う。

上司が仕事を頼みやすく感じる部下は、明るさのある部下だ。明るさには勢いが感じられ、頼めば望む以上の結果を出してくれるのでは、と上司は思いやすくなる。また、「この仕事を積極的に受けとめてくれるだろうか」という上司の一抹の心配を吹き飛ばしてくれるのが、部下の明るさだ。

話しかけやすい部下には仕事が集まり、信頼が集まる。そして結果として、自然と実力も評価も高まってゆくのである。

暗いこと、話し下手であることを性格のせいにせず、会社という舞台の上では明るく振る舞う努力をしていくべきである。

これからは女は愛嬌、男も愛嬌
Ingram Publishing/Thinkstock

著者は、松下幸之助が松下政経塾を創ったとき、一期生の採用面接をすることになった。採用基準を聞くと、「運の強い人がいい。それに」と続けて「愛嬌のある人を採ってくれや」と言ったという。

人から話しかけられやすい人のところには仕事も、情報も集まってくる。高度情報化の時代には、いかに自分で情報を集めるかでなく、いかに多くの人に情報を持ってきてもらえるようにするかが大切だ。

明るい人、表情のいい人との会話は、話がふくらみ、ときに思いがけないアイデアが生まれることもある。部の雰囲気が暗ければ、ぜひ率先して自分自身が明るくしよう。若い人の明るさや元気を年長者の知恵がサポートするような組織が、仕事の成果を上げていく。

すぐに行動する

素早い行動が上司の信頼を得る

21世紀は超高速超複雑な時代である。多くの会社が同レベルの技術力を持っている中で、発展の成否を分けるのはスピードである。これからの仕事の能力として必要なのは、即断即決即行であり、若いうちから意識してその力量をつけねばならない。

素早い行動をとる部下に、上司は能力と安心を感じる。

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要約公開日 2015.07.14
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