ADHDの僕が苦手とされる事務にとことん向き合ってみた。
ADHDの僕が苦手とされる事務にとことん向き合ってみた。
著者
ADHDの僕が苦手とされる事務にとことん向き合ってみた。
出版社
出版日
2025年08月01日
評点
総合
3.5
明瞭性
4.0
革新性
3.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

見積書や契約書の作成、複数メンバーの日程調整、経費精算など、どんな仕事やプロジェクトにも「事務」はつきまとう。得意な人には想像しにくいかもしれないが、それらがネックとなり、仕事の効率が落ちている人もいるだろう。本書は「事務」を「すべての仕事に共通する『足元を固める仕組み』」と捉え、それが苦手な人に向けてノウハウや考え方を伝授する。

著者の小鳥遊(たかなし)氏は、総務や法務など管理部門での勤務経験を活かし、現在は「仕事術」をテーマに執筆や発信を行っている。ただし、大人になってからADHD(注意欠陥・多動症)の診断を受け、本人曰く「抜け漏れは日常茶飯事、優先順位はつけられない。段取りが下手で、マルチタスクには頭が真っ白」という状態であった。当然、事務作業をこなすのは難しく、実際にうまくいかず休職に追い込まれたこともあったという。

だが、復職後は一念発起し、自らの特性と向き合いながら事務仕事を進める工夫に取り組んだ。その根幹となったのが、本書で紹介される「3つのギモン」を用いた仕事術である。どんなに複雑な業務も、自分ができるレベルまで小さく「分解」し、期日と担当者を明確にする。きわめてシンプルだが、この仕組みを取り入れてから気持ちが軽くなり、仕事のスピードは格段に上がったという。

本書では、現場で直面しがちな「事務仕事の悩み」を取り上げ、「事務が苦手な人」に向けて一つひとつ丁寧にアドバイスしていく。読むことで、心の重荷がすっと下りるような感覚を味わえるだろう。

ライター画像
矢羽野晶子

著者

小鳥遊(たかなし)
タスクデザインラボ代表。発達障害の一つADHD(注意欠如・多動症)の診断を受ける。会社員として、総務や法務で勤務し始めるも、「事務仕事」と「自身の傾向」との相性の悪さに直面。仕事の抜け漏れや段取りの悪さなどから自分を責め、抑うつなどの適応障害を起こし、休職や退職を余儀なくされる。その後、自身の障害傾向をカバーするためにExcelで仕事管理ツールを自作し、独自のタスク管理手法を編み出したことで、安定的に働けるように。その経験やノウハウ化につながる。また、自作ツールを、誰にでも簡単に使えるようクラウド化し、を伝えるイベントを継続的に共催したところ、毎回満員の好評講座となり、書籍社会福祉法人SHIPの協力のもとタスク管理習得支援ツール「タスクペディア」として無料提供している。現在は会社員からフリーランスへ転向し、書籍執筆、ウェブ記事ライティング、個人/企業へのコンサルティングや研修・就労移行支援事業所での講師など、同じような傾向や悩みを持つ人たちへ、自身の経験や事務のノウハウを伝える活動を、精力的に行っている。著作に12万部のベストセラーとなった「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑』(サンクチュアリ出版)の他、「メンタルを守る仕事術&暮らし方」(ナツメ社)、「発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術」(SBクリエイティブ)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    「どうやる?(分解)」「いつやる?(日付)」「だれがやる?(担当)」の「3つのギモン」を繰り返すことで、落ち着いて「事務」に取り組むことができる。
  • 要点
    2
    何から手を付けていいかわからない仕事は、小さなステップに分けると取りかかりやすくなる。
  • 要点
    3
    ADHDの人は計画や段取りが苦手な傾向がある。計画を立てる際は「正しさ」にこだわらず、自分なりの手順に分解してひとまず始めてみるといい。
  • 要点
    4
    できそうにない仕事に直面したら、「できる自分」を目指すのではなく「できる仕事」に変えることだ。

要約

事務には「型」がある

事務を動かす「3つのギモン」

「事務」には「型」がある。事務を動かすには、「3つのギモン」を使うといい。

ギモン1「どうやる?」:仕事を小さな手順に分ける(分解)

ギモン2「いつやる?」:手順に日付を入れる(日付)

ギモン3「だれがやる?」:手順ごとの担当者を決める(担当)

最初のステップでは「どうやる?」と自問し、仕事を「できると思えるサイズ」まで小さく分解する。こうすることで大きくて手を付けづらい仕事も、取りかかりやすくなる。

次は、分解した仕事それぞれに日付を入れて、「いつやるか」を決めていく。これをすることで、「今日やるべきこと」が自然とわかるようになる。

最後は、それぞれのタスクの担当を決める。「だれがやるか」がわかっていれば、ひとりで仕事を抱え込まずに済む。

以上の「3つのギモン」を使いこなせば、落ち着いて仕事に取り組むことができ、「自分にもできる」と思えるようになるだろう。

次からは「3つのギモン」を使いながら、現場で直面するさまざまな悩みを解決していく。

【必読ポイント!】つい先送りしてしまう

そもそも、何をすればいいのかわからない
kabu/gettyimages

著者は社会人になりたての頃、先輩社員から「フロアの席替えを仕切る」仕事について説明されたが、まったく理解できず呆然としてしまったという。

このようなケースには、「何から手を付けていいのかわからない」「やるべき作業が明確にされていない」といった戸惑いが潜んでいる。前に進むためには、「今すぐできる小さなことは何だろう」と自問することがその一歩となる。

先述の「フロアの席替えを仕切る」であれば、次の手順が思い当たる。

・営業部の移動を確認

・システム部に移動指示

・システム部の移動を確認

・技術部に移動指示

このように小さなステップに分けると、行動に移しやすくなる。「わからない」「どうしよう」となったら、まずは「分解」してみることだ。

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要約公開日 2025.11.20
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