リーン・スタートアップ
ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす

未 読
無 料
リーン・スタートアップ
ジャンル
著者
エリック・リース 井口耕二(訳)
出版社
定価
1,800円 (税抜)
出版日
2012年04月16日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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リーン・スタートアップ
リーン・スタートアップ
ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
著者
エリック・リース 井口耕二(訳)
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定価
1,800円 (税抜)
出版日
2012年04月16日
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レビュー

「このアイデアなら大丈夫だ」「きっと成功できる」という自信や期待がなければ、誰もスタートアップを立ちあげて不安定な状況にみずからを追いこもうとはしないだろう。だが市場調査にもとづいたすぐれた計画やしっかりした戦略とともに、準備万端で起業したにもかかわらず、スタートアップのほとんどが大失敗に終わるのはなぜだろうか?

その原因は、不確実性が大きいスタートアップにおいて、旧来のマネジメント手法が役に立たない点にあるという。顧客の顔が見えず、どんな製品・サービスを作るべきなのかさえわからないスタートアップにとっては、起業に適したマネジメント手法が必要となる。

その手法こそが、本書で紹介されているリーン・スタートアップだ。最初から完璧なものをめざすのではなく、サービスには改善や方向転換が不可欠という前提で作られたこの手法は、遠回りであるように見えて、実はもっともムダのない起業プロセスでもある。

リーン・スタートアップは、著者がこれまでの数々の反省をもとに練り上げたということもあり、非常に骨太な理論だ。大きな指針ばかり示して、各論が不足しているということもない。きわめて実践的な一冊であり、起業を志している人にとってはもちろん、何か新しいことにチャレンジしようとしている人にとっても、得られるものは大きいはずだ。まだ本書を読んだことがないのであれば、ぜひ騙されたと思って一度本書を手にとってみていただきたい。それに見合うだけの価値はまちがいなくある。

石渡 翔

著者

エリック・リース(Eric Ries)
アントレプレナーとして「スタートアップの教訓(Startup Lessons Learned)」というブログを執筆。New Context 社ゼネラルパートナー。彼にとって3社目の起業であるIMVUには、共同創業者として、また、CTO(最高技術責任者)として参画した。最近はビジネス関係のイベントで講演することが多く、さまざまなスタートアップや大企業、ベンチャーキャピタルに事業戦略や製品戦略のアドバイスを提供している。ハーバード・ビジネス・スクールのアントレプレナー・イン・レジデンスでもある。本書のテーマであるリーン・スタートアップという手法は、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォルストリートジャーナル、ハーバード・ビジネス・レビュー、ハフィントン・ポスト紙、さまざまなブログなど多方面で取り上げられている。サンフランシスコ在住。

本書の要点

  • 要点
    1
    スタートアップの目標は、できるかぎり早く、顧客が欲しがり、お金を払ってくれるモノを突きとめることだ。リーン・スタートアップはそのためのマネジメント手法である。
  • 要点
    2
    仮説を組み立てたら、できるだけ早く実用最小限の製品を作りあげるべきである。
  • 要点
    3
    スタートアップには、それ専用の会計手法が必要になる。一般的な管理会計は役に立たない。
  • 要点
    4
    当初の戦略から方向転換をするかどうか、できるだけ素早く決断しなければならない。1つでも誤りを見つけたら、根本から見なおして、新しい戦略的仮説へ移る勇気も必要である。

要約

リーン・スタートアップとは

起業とはマネジメントである

スタートアップの構築は、組織の構築と同義である。つまり、起業をするうえではマネジメントを避けては通れない。しかし、これまでのアントレプレナー(起業家)は、一般的なマネジメント手法で問題に対処しようとしてきた。スタートアップは特殊な状況であり、これではうまくいくはずがない。20世紀に大きな成功を収めたこれまでのマネジメント手法は、スタートアップが直面せざるをえない混乱や不確実性とは相性が悪いのだ。

革新的なベンチャー企業には、革新的なマネジメントパラダイムの確立が必要不可欠であり、それこそがリーン・スタートアップなのである。

誰も欲しがらないモノを作らないために
level17/iStock/Thinkstock

リーン・スタートアップという名前は、トヨタで大野耐一と新郷重夫が開発したリーン生産方式にちなんだものだ。リーン生産方式には、作業員がもつ個人的な知識や創造性の活用、バッチサイズの縮小、ジャスト・イン・タイムの製造と在庫管理、サイクルタイムの短縮などの要素が含まれている。このような考え方を起業に適用し、他社とは異なる基準で自社の進歩を測るべきだとするのが、リーン・スタートアップである。リーン・スタートアップは、「検証による学び」を単位として進歩を計測する。そしてスタートアップの足を引っ張る無駄を発見し、根絶するのだ。

スタートアップは誰も欲しがらないモノを作ってしまうことが多い。その場合、予定どおりに完成できたとしても、あまり意味がない。あくまでスタートアップの目標は、できるかぎり早く、顧客が欲しがり、お金を払ってくれるモノを突きとめることである。リーン・スタートアップはそのためのマネジメント手法だ。

過去の失敗から学んだこと

苦労して作ったのに誰も使ってくれない
Ingram Publishing/Thinkstock

著者がかつての体験から学んだことについて紹介しよう。著者がIMVUという企業の立ち上げに関わったときのことだ。創業メンバーは、「何を誰のために作るのか」、「どの市場ならいまから参入して支配的立場になれるのか」「競争でむしばまれることのない永続的な価値をどうしたら作れるのか」ということを中心に話し合った。その結果、IM(インスタントメッセージ)をターゲットにすることに決めた。

創業した2004年当時、IM市場は一部の企業による寡占状態だった。マーケティングによほどの資金を投入しないかぎり、新しいIMネットワークの参入は難しいと考えられていた。そこで著者たちは、ユーザー1人あたりの収益が大きい3次元のビデオゲームと仮想世界を、IMと組み合わせたらどうだろうと考えた。

また、新しいIMを立ち上げることは不可能に近いと思っていたため、既存ネットワークにつなげるIMアドオンを用意した。これなら、使っているIMを乗り換えなくてもよくなる。新しいユーザーインターフェースに慣れる必要もないし、一緒にやってくれるように友だちを説得する必要もない。

最高技術責任者だった著者は、目標に定めていた6カ月後の納期になんとか間に合わせようと必死で働きつづけた。こうしてできた最初のバージョンは悲惨だったが、なんとか期限内に製品の発表をすることができた。

しかし残念ながら、結果は散々なものだった。

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