『週刊文春』と『週刊新潮』 闘うメディアの全内幕

未 読
『週刊文春』と『週刊新潮』 闘うメディアの全内幕
ジャンル
著者
花田紀凱 門田隆将
出版社
定価
968円(税込)
出版日
2017年01月05日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
3.5
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『週刊文春』と『週刊新潮』 闘うメディアの全内幕
『週刊文春』と『週刊新潮』 闘うメディアの全内幕
著者
花田紀凱 門田隆将
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定価
968円(税込)
出版日
2017年01月05日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
4.5
応用性
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おすすめポイント

週刊新潮に25年間勤め、特集記事を800本近くも執筆した門田隆将氏。そして、週刊文春の名物編集長として同誌を総合誌ナンバーワンの座に押し上げた、業界の代表と呼ぶべき花田紀凱氏。この両氏による本音炸裂の対談をまとめたのが本書だ。

近年、芸能スクープ(特に不倫)が目立つ週刊誌。そもそもなぜ週刊誌が芸能スクープを取りたがるのか。なぜテレビは週刊誌のスクープに注目するのか。それには構造的な問題があるという。こうした点を含め、週刊誌の過去、現在、そして未来について、両誌の巨頭OBがどのように考えているのかが、率直かつわかりやすい言葉で書かれている。『週刊文春』『週刊新潮』という二大週刊誌の実態や内幕、メディアの役割、今後のジャーナリズムの展望。どのトピックを切り取っても、面白いの一言に尽きる。

週刊誌がこれまで社会の中でどのような役割を担ってきたのか。何とどう闘い、それにはどんな意義があったのか――。こうしたことを実例とともに学べる貴重な一冊だ。週刊誌=芸能スクープといったイメージが定着している読者にとっては、かなり新鮮に映るだろう。

本文中に、かつての『週刊新潮』を指して、「知的好奇心に応えてくれたり、自分を高めてくれたり、会社で部下や同僚に一席ぶつときの材料になったりする、そういう特集記事やコラムがあった(p134)」という箇所がある。この言葉はそっくりそのまま本書に当てはまる。ジャーナリズムとは何かを教えてくれる熱い一冊だ。

ライター画像
山田宗太朗

著者

花田 紀凱 (はなだ かずよし)
1942年、東京生まれ。東京外国語大学英米語科卒業。66年、文藝春秋入社。88年、『週刊文春』編集長に就任。6年間の在任中、部数を51万部から76万部に伸ばす。96年に文藝春秋を退社後、数々の雑誌の編集長を歴任。現在、月刊『Hanada』編集長。近著に、『「民意」の嘘』『「正義」の嘘』(櫻井よしこ氏との共著、産経新聞出版)など。

門田 隆将 (かどた りゅうしょう)
ノンフィクション作家。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部政治学科卒業後、新潮社に入社。週刊新潮編集部に配属され、記者、デスク、次長、副部長を経て、2008年4月に独立。週刊新潮時代は、特集班デスクとして18年間にわたり、800本近い特集記事を執筆。近著に『奇跡の歌』(小学館)、『日本、遥かなり』(PHP研究所)など。

本書の要点

  • 要点
    1
    ジャーナリズムには主に報道型、論評型、告発型の三つの種類がある。近年、新聞は報道型ジャーナリズムとして正しく機能していない。週刊誌は告発型だが、構造的な問題から芸能スクープ偏重となっており、方針転換すべき時期に差し掛かっている。
  • 要点
    2
    『週刊文春』と『週刊新潮』はどちらも、新聞やテレビが報じようとしないうわべの正義や偽善と闘ってきた。
  • 要点
    3
    両誌が培ってきたジャーナリスト育成のノウハウは残さなければいけない。

要約

『週刊文春』と『週刊新潮』の作り方

テレビ局が週刊誌スクープに群がる理由
Bet_Noire/iStock/Thinkstock

近年、『週刊文春』が衝撃的なスクープを連発し、数あるメディアの中でも際立った存在感を示している。そのスクープは影響力の大きさから「文春砲」と呼ばれるほどだ。『週刊文春』が何を報じるかが、テレビのワイドショーの重大な関心事となり、そのスクープがタダで勝手にパクられていた。

そこで、現在編集長を務める新谷学氏は、『週刊文春』の記事をテレビで使うときは、記事使用料を支払うことをシステム化した。この動きに『週刊新潮』も続いている。

テレビ局が週刊誌のスクープに群がるのには理由がある。それは、自前で取材班を出すよりも、週刊誌が撮った映像や音声を買った方が安価であり、クオリティーの高いネタが入手できるからである。

『週刊新潮』と『週刊文春』のはじまり

『週刊新潮』が創刊されたのは1956年のことだ。同誌は、結論をあえて書かなくてもいいというスタンスで、関係者の証言などから事件全体を描いてみせる「藪の中スタイル」を作り上げた。週刊誌の取材記者は、自分の目と耳をフルに使って、取材対象そのものを全部描いていく。これは、新しいジャーナリズムの礎を築いたといえる。

また、新聞が翌日、翌々日に何を書くかを想像し、別の視点で事件を捉えることによって独自性を出した。たとえば全日空下田沖墜落事故が起きた際、新聞各紙は亡くなった人たちについて報道した。一方『週刊新潮』は、乗客のキャンセル名簿を入手して、生き延びた人の視点から「私は死神から逃れた――7時35分をめぐる運命の人々」という記事を書いた。花田氏は、それが読者の嗜好に合っていたのだと語る。

『週刊文春』は、常に『週刊新潮』を参考にして、部数を伸ばしていった。草創期は連載小説で読者を増やしていった。最初に多くの読者を掴んだのは、司馬遼太郎氏の小説『燃えよ剣』だったといわれている。

アンカーマン・データマンシステム

『週刊新潮』の強みは、「アンカーマン・データマンシステム」にある。デスクに指示された対象者を徹底的に取材して、データ原稿を書く記者を、データマンと呼ぶ。そして、それを原稿にまとめるデスクのことをアンカーマンと呼ぶ。新卒の記者に取材記事(データ原稿)を書かせて、どのように取材すべきか、どういう視点を持つべきかを、何年にも渡って学ばせる。そして、文章力や分析力に長けた、選ばれしデータマンのみをアンカーマン(デスク)にさせる。

このように役割分担し、教育制度を作ってきた。データマンに校了ギリギリまで取材を粘らせることによって、原稿がより充実したものになる。結果として、誌面全体の内容・文章が一定水準の高さを保てるため、週刊誌としての質が担保されるというわけだ。

一方、『週刊文春』にはそのような明確な役割分担や教育制度がない。あまり経験のない記者でも、いきなり原稿を書かされる。逆に言えば、若手であっても、ネタを見つけて来た人が、特集記事を担当することもある。そのネタに対する強い思い入れが、『週刊文春』自体の勢いにもつながるという考えのもとだ。しかも、社員編集者は2年ほどで異動になっていく。よって、現場ではフリーの記者たちの力が物を言う。

また、スクープがとれるかどうかは編集長の資質にかかっているところが大きいというのが、花田氏の見解である。門田氏によると、『週刊文春』の現編集長、新谷学氏は、デスク、取材記者のモチベーションを上げるのがうまいという。

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