チームの問題はなぜ起きるのか
軍事的世界観から、冒険的世界観へ

「何か意見はありませんか?」
ファシリテーターのその声に、参加者は目をそらし、誰一人意見を述べることはない。沈黙ばかりの「お通夜ミーティング」を経験したことは誰にでもあるはずだ。こんなときに、次のような問いかけをしたらどうだろう。
「この企画案、どこかひとつだけ変えるとしたら?」
「もし自分がお客さんだったら、この案に何点をつける?」
「まずはいま頭の中にパッと浮かんだことがあれば教えてくれません?」
「問いかけ」の技術を用いたこれらの質問をすると、話し合いの雰囲気はガラリと変わる。工夫された「良い問いかけ」を繰り返していると、ミーティングを重ねるごとにチームメンバーは自分の個性、すなわち「こだわり」を発揮することに喜びを感じるようになっていく。問いかけの技術は、周囲の人々の魅力と才能を引き出し、一人では生み出せないパフォーマンスを生み出すスキルだ。
職場のチームに目を向けてみると、お互いの才能を最大限に活かし合っているチームは稀だ。それは、これまでの経営やマネジメント論が「戦争」をメタファとした「軍事的世界観」に基づき、従業員は「戦略」を忠実に実行する「兵隊」として扱ってきたからだ。このような軍事世界観から脱却し、人間が本来持っている創造性を発揮できるチームづくり・組織づくりを目指すのが冒険的世界観のチーム論だ。
冒険型のチームでは、チームにおいて「こだわり」を見つけて育てることと、「とらわれ」を疑い問い直すことの両方が互いに循環することで、ポテンシャルが発揮されている状態を実現する。
問いかけとは何か
本書における問いかけとは、仕事のさまざまなコミュニケーション場面において「相手に質問を投げかけ、反応を促進すること」を指す。質問とは、相手に何かしらの反応を促すコミュニケーションだ。
「昨晩、何を食べましたか?」という質問は、相手に「記憶を思い出す」という反応を起こす質問だ。これを「1年前の今夜、何を食べていましたか?」という質問にしたら、相手は「記録を調べる」とか「お手上げ」という反応をすることになる。「人生で最も『豊か』に感じられた食事はなんですか?」という質問なら、自分の価値観について内省する問いになる。相手が悩み込んでしまったら、「いま頭に浮かんでいる、「豊か」に感じられた食事の思い出を、いくつか教えてもらえませんか?」と問いかけたら、いくつかのエピソードを引き出すことができるだろう。




















