スタートアップの立ち上げは常に「問題」からはじまる。なにかに不満を感じ、他の人達も同じ不満を感じていることに気づき、その不満を和らげる方法を探していく。もしそれが非常に大きな問題であるなら、解決策はたくさんの価値を生み、起業家に成功をもたらすことになるだろう。
起業は、長く、厳しく、つらい道のりになる。その困難に耐え抜くには情熱が必要だ。だからこそ、自分が解決しようとしている問題に恋をすること――それがスタートアップを立ち上げるのに最も重要なことなのだ。
運命の人を心に決めるまでにたくさんの人とデートを重ねるように、はじめはたくさんのアイデアを同時に追いかけるが、最終的にはその中からひとつを選んで取り組むことになる。
最初のころは、そのアイデアのことばかりを考え、問題やユーザー、ソリューション、ビジネスモデルなど、ありとあらゆることについて思いを巡らせることになるだろう。さながら恋に落ちたばかりのころに、大好きな人と時間を過ごしていたいと思うように。
十分に自信が持てる段階になったら、自分のアイデアを友人に聞かせる。するとたいてい「そんなのうまくいかない」と言われる。友人に初めて恋人を紹介するときは、だいたいそんなものだ。そのせいで友人と疎遠になってしまうことがある点も同じだ。
他人の意見も聞けなくなるほど恋をしているのは喜ばしいことだ。もちろん、友人やビジネスパートナー、投資家の意見に耳を傾けられないほど恋をしていることで、問題が生じることもある。しかしそれでもなお、スタートアップという旅を続けるには、恋をする必要がある。長く複雑で困難なジェットコースターのような道のりは、恋をしていなければとても耐えられるものではないのだ。
それを解決できたらよりよい世界になるだろうと思える、解決に値する問題を見つけたら、次に考えるのは「その問題を抱えているのは誰か」ということだ。答えが「自分だけ」なら、その問題に取り組むのはやめておいたほうがいいかもしれない。
その問題を抱えている人がたくさんいるなら、その人たちのところに行って話を聞き、問題をどのように認識しているのかを理解しよう。解決策を作るのはそれからだ。
特にその問題がもたらす苦痛――「ペイン」を捉えることが大切だ。ペインがどれくらい強いか、どのくらい頻繁に悩まされるかを考えてみよう。痛みが強く、一日に何回も遭遇する問題であるなら、それは重大な問題に目をつけたといえる。
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