科学的根拠に基づく最高の勉強法

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科学的根拠に基づく最高の勉強法
出版社
出版日
2024年02月15日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

忙しい中でせっかく勉強するなら、時間をムダにしたくない。そこで「どんな勉強法がいいんだろう?」「学生時代の勉強法をアップデートしなければ」と考えてさまざま調べてみるものの「どれが正しいのかわからない、もう嫌だ」と放り出す。もしくは、自分流の勉強法で一生懸命頑張ってみたけれど、全然成果が出ない――。そんな事態に陥りたくないなら、本書をぜひ手に取ってほしい。

本書の著者、安川康介氏はアメリカで活躍する医師だ。慶應義塾大学医学部で学び、実習しながら日本とアメリカ、2つの国家試験の勉強を同時並行で行った。日本語と英語、それぞれ数千ページある教科書を読み、数千問ある問題集を解く超多忙な日々だったが、アメリカの医師国家試験には上位1%以内という成績で合格したという。渡米したのちも、医療の最前線で活躍しながら、家事育児の大部分を担いつつ、数々の試験に上位1%~10%で合格している。医学的な情報を中心に発信するYouTuberとしても活動中だ。

本書では、著者自身の経験・勉強法と数々の研究データをバランスよく織り交ぜつつ、「科学的に効果が高い勉強法」がまとめられている。あわせて「科学的に効果が高くない勉強法」も提示されているが、どれも多くの人たちが「効果がある」と信じてきたであろうものばかりで、衝撃的だ。

人生は短い。貴重な時間をムダにすることなく、これからの人生のために勉強したい人は、まず本書を読んでみてはどうだろう。「科学的に効果が高い勉強法」を知っているかどうかで、勉強やリスキリングの効率は大きく変わってくるはずだ。

著者

安川康介(やすかわ こうすけ)
2007年慶應義塾大学医学部卒。
日本赤十字社医療センターにて初期研修後、渡米。米国ミネソタ大学医学部内科研修、テキサス州ベイラー医科大学感染症研修修了。米国内科専門医・米国感染症専門医。南フロリダ大学医学部助教。

本書の要点

  • 要点
    1
    ただ繰り返し読む、書き写す・まとめる、ハイライトするといった従来の勉強法は比較的効果が低い。
  • 要点
    2
    アクティブリコールと分散学習を組み合わせた学習法が、現代の学習の科学的根拠に基づく、誰でも実践可能で効果の高い方法だ。
  • 要点
    3
    似ているけれども異なった複数のスキルや勉強のトピックを交互に学習する「インターリービング」や「なぜ?」と問いかける精緻的質問などは科学的に効果が高い勉強法だ。

要約

科学的に効果が高くない勉強法

繰り返し読む(再読)
pablohart/gettyimages

本書ではまず「科学的に効果が高くない勉強法」が4つ紹介される。

1つ目は「ただ繰り返し読む(再読)」だ。

今まで行われた再読に関する複数の研究において、再読した学生と1回だけ読んだ学生の成績を比較したところ、再読に大きな学習効果はないことを裏付ける結果がある。なお、「繰り返し読む」の学習効果は、どれくらいの間隔をあけて読むかによって変わる。同じ日に繰り返し読むより、間隔をあけて読むほうが記憶に定着しやすいことがわかっている。

「ただ繰り返し読むこと」に、学習効果があまりないと考えられる一つの理由として、同じ文章を2回目に読む時のほうが、文章に慣れてすらすら読めて「分かった気になってしまう」ので、さらに理解を深めたり覚えたりするといった深い情報処理が新たに行われにくくなることが考えられる。

こうして表面的に情報が処理しやすくなったことで、実際には内容を記憶し深く理解していないのに覚えた気になってしまう、理解した気になってしまう心理的な現象は、「流暢性の錯覚(幻想)」(the Fluency Illusion)と呼ばれている。私たちの脳は、実際にはしっかり記憶したり深く理解したりしていないのに、自分の知識や習熟度を過大評価してしまうことがあるため、気をつけなければならない。

過去の学習に関する膨大な研究をまとめたダンロスキー教授らの報告書でも、「今ある科学的根拠に基づき、再読の有用性は低いと評価する」とまとめられている。

ノートに書き写す・まとめる

2つ目は「ノートに書き写す・まとめる」だ。

教科書や参考書の内容を、綺麗な字でノートに書き写したりまとめたりしているのに、あまり内容を覚えていない、理解していないという人は意外と多いかもしれない。参考書のポイントだと思う箇所や英単語帳から英単語をノートに丁寧に書き写したりまとめたりすることは、それだけで達成感があり、「勉強した気」になってしまう行為だ。

アメリカの高校生180人を対象に、ノー トの取り方についての学習効果を調べたある研究では、文章をそのまま書き写したグループの生徒の成績は、ただ文章を読んだグループの学生の成績と変わらなかった。

内容をノートにまとめることは、そのまま書き写すよりも効果が期待できるものの、要約するのがうまい人とそうでない人では効果が違うことがわかっている。どれくらいの基礎知識があり、どこの部分を重要と判断し、どれくらいの量の情報をどれくらいの文章にまとめるのかなど、要約する能力と要約した情報の質にはかなり個人差があるためだ。学習に関するダンロスキーらによる報告書でも、「今ある科学的根拠に基づき、要約の有用性は低いと評価する」とされている。

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要約公開日 2024.05.14
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