リモートマネジメントの教科書
リモートマネジメントの教科書
無料
リモートマネジメントの教科書
出版社
クロスメディア・パブリッシング

出版社ページへ

出版日
2021年03月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.5
要約全文を読むには
会員登録・ログインが必要です
本の購入はこちら
書籍情報を見る
本の購入はこちら
おすすめポイント

出社回帰か、ハイブリッドワークか。コロナ後の働き方に揺れる今、「リモートマネジメント」の本質に迫る本がある。

もともと出社前提の職種に就く方々に感謝したうえで、要約者は、様々な業界のマネジメント層からこんな声を聞いてきた――「リモートワークだとマネジメントが難しい」と。

たしかにリモートワークは、メンバーに高い自律性を求める。その分、自律性を引き出す仕組みを構築できたとしたら、通勤時間短縮、働きがいの向上といった効果が期待できる。地方在住者、育児・介護などを抱える人々の能力発揮の機会をつくるうえでも、重要な選択肢の1つとなっている。

一方で、その実現には課題も伴う。リモートワークを取り入れながら、組織として成果を生み出し続けるマネジメントとは何だろうか? そのヒントを、理論と実践の両面から体系的に提示してくれるのが本書だ。

著者は、リクルートマネジメントソリューションズで多くの企業のリモートワーク導入を支援してきた。リモートでの「自由」と「責任」のバランスを保つための工夫を、豊富な事例とともに解説してくれる。印象的なのは、3つの「こ」――「個として立つ」「心の距離が近い」「ここがいい」の意図的な支援がいかに重要かという点だ。これらを実現するための10のポイントは、実践的なアクションに落とし込まれている。

本書に通底しているのは、「マネジャーに心身健やかに過ごしてほしい」という著者の願いだ。理想論ではなく、現場から生まれた「等身大のヒント」が詰まった一冊を、マネジメントに悩むすべての方におすすめしたい。

ライター画像
松尾美里

著者

武藤久美子(ぶとう くみこ)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタント/主任研究員。2005年株式会社リクルートマネジメントソリューションズ入社。組織・人事のコンサルタントとしてこれまで150社以上を担当。「個と組織を生かす」風土・仕組みづくりを手掛ける。専門領域は、働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョン、評価・報酬制度、組織開発、小売・サービス業の人材の活躍など。働き方改革やリモートワークなどのコンサルティングにおいて、クライアントの業界の先進事例をつくりだしている。小売業の「店長の在宅勤務制度」や、高度な機密情報や個人情報を扱うため当時導入が難しいと言われていた金融企業へのリモートワーク導入を支援し、実現。業務改革、風土改革、人材育成を同時実現する手法を得意とする。働き方改革やリモートワーク、人事制度関連の寄稿多数。自身も2013年よりリモートワークを積極的に活用するリモートワークの達人。早稲田大学大学院修了(経営学)。社会保険労務士。

本書の要点

  • 要点
    1
    リモートワークがもたらす「自由」と「責任」を理解し、メンバーの自律性を支援することが重要である。​
  • 要点
    2
    メンバーの「個として立つ」「心の距離が近い」「ここがいい」という3つの「こ」を意図的に支援することで、効果的なリモートマネジメントが実現できる。​
  • 要点
    3
    リモートマネジメントの10のポイントを実践することが、メンバーの自律性と組織の一体感を高めてくれる。

要約

リモートワークがもたらす「3つの変化とチャンス」

3つの変化

リモートワークは3つの変化をもたらす。それは、(1)ワークライフバランスからワークインライフへの移行、(2)組織や個人の生産性やパフォーマンスの低下への懸念、そして(3)リモートワークのソロワーク化である。

(1)については、家という生活空間に仕事が取り込まれた。これはいわば「ワークインライフ」であり、メンバーには仕事に集中できる環境を自ら整える責任が生まれた。

(2)では、マネジャー、メンバーがリモートワークを生かせる状態になることが大事である。同時に、自組織における生産性や成果を定義し、把握できる状態が求められる。

(3)でのソロワークとは、社内の人との関わりが少なく、他者の存在や組織の所属意識が薄いまま働く状態を指す。そこで、オフィスへの出社を通じて感じていた組織とのつながりを他の方法で感じてもらう、メンバーがすべきことの方向性や成果を伝えて確認する、といったことが必要となる。

「リモートか対面か」という二項対立ではない
insta_photos/gettyimages

リモートワークは、人事領域や働き方をアップデートする3つのチャンスをもたらす。

1つめは、オンラインミーティングによるフラットなコミュニケーションの実現である。全参加者が同等に画面に表示されるため、対等な関係性が築きやすい。

2つめは、働きやすさの意味の変化だ。リモートワークにより、「働きやすさ」と「働きがい」は対立せず、両者がつながる関係性になりつつある。これは優秀な若手が重視する価値観に合致し、マネジャーの環境改善にもつながる。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3804/4464文字

3,400冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.06.05
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.
一緒に読まれている要約
超鬼速PDCA
超鬼速PDCA
冨田和成
「なまけもの」のやる気スイッチ
「なまけもの」のやる気スイッチ
内藤誼人
言葉にならない気持ち日記
言葉にならない気持ち日記
梅田悟司
NEW
最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣
最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣
堀田秀吾
世界標準の採用
世界標準の採用
小野壮彦
2030年の不動産
2030年の不動産
長嶋修
対話のトリセツ
対話のトリセツ
黒川伊保子
フラット登山
フラット登山
佐々木俊尚
0%