商品を売るための「教育」
無知の層を「お客様」に変える

お客様が商品購入に至る流れは、大きく2段階に分かれる。
第1段階は「教育」である。お客様は、何かを見たり、誰かから聞いたりして、「この商品は素晴らしい」という情報を受け取る。
第2段階は「販売」である。教育によって商品の価値を理解し、買いたくなる。
人がなんの影響も受けずにモノを買うと決断することはほぼない。外部からの刷り込み(教育)を経て、商品を買おうと決める(販売)という流れが必ず存在する。
ここで重要なのが、教育の本質を正しく捉えることである。この理解次第で、これまで接点を持てなかった層や市場を一気に取り込める。
教育とは、「悩みを自覚していない人に、悩みを自覚させ、いますぐ行動させる」ことだ。「いま悩んでいる人」「いま困っている人」に対し、悩みを自覚している前提で商品を訴求することが教育だと捉える人もいるが、それだけでは足りない。
たとえばエステ店の場合、一般的には肌荒れという悩みを自覚したお客様が主な対象になる。しかし本来のマーケティングが取り組むべきは、そもそもエステに関心を持っていない層、つまり悩みの存在に気づいていない人へ気づかせることなのだ。
ここで紹介したいのが、スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授の提唱した「イノベーター理論」である。この理論では、新しい商品やサービスが市場に浸透していく過程におけるお客様の反応を5段階に分類している。
(1)イノベーター:情報感度が高く、新しいモノを積極的に採用する層(約2.5%)
(2)アーリーアダプター:イノベーターの次に動き、新たな商品・サービスを取り入れる層(約13.5%)
(3)アーリーマジョリティ:慎重さはあるが、新しいモノへの関心は高い層(約34%)
(4)レイトマジョリティ:新しいモノに懐疑的で、多数派が採用した様子を見て判断する層(約34%)
(5)ラガード:流行やトレンドに関心が薄く、一般化するまで採用しない層(約16%)
どんなお客様も最初は無知である。そこから商品やサービスを知り、購入に至るまでになんらかの「教育」を受ける。広告かもしれないし、知人のすすめかもしれないし、有名人の影響かもしれない。その積み重ねの末に、「エステをやったほうがよいのかな?」「美容に気を遣ったほうがいいのかな?」「よし私も行ってみよう」という判断をして来店に至るのだ。
マジョリティは市場の6割以上を占める。その多くはエステに興味すら持っていない、いわば「無知の層」である。
つまり、自社商品やサービスを広く浸透させられるか否かは、マジョリティをどのように動かすかにかかっている。必要性があるにもかかわらず悩みが顕在化していない層、イノベーター理論で言う「アーリーマジョリティ」と「レイトマジョリティ」に対し、「なぜ自社の商品やサービスが必要なのか」を腹落ちさせるための手法が求められるのだ。



















