世界で勝てない日本企業

壊れた同盟
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世界で勝てない日本企業
ジャンル
出版社
定価
2,640円(税込)
出版日
2021年12月10日
評点
総合
3.7
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
3.5
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おすすめポイント

カルロス・ゴーン逮捕の衝撃は、まだ記憶に新しい方も多いだろう。日産の業績をV字回復させただけでなく、ルノー・日産・三菱アライアンスを世界的な企業連合に押し上げたとあって、以前は名経営者と持てはやされていた。

それが、逮捕とともにバッシングの嵐にさらされることになる。ゴーンの信用は地に落ち、イメージは限りなく悪化した。さらに、保釈中に海外に逃亡するという離れ業をやってのけたことに、怒りを通り越してあ然とした方も少なくないのではないか。

しかし、映画のような一連の逮捕劇、逃亡劇は、一面的な見方かもしれない。本書が主張する、メディアで報じられない事実や偏見的な報道に対する批判は、知っておいて損はないだろう。カルロス・ゴーンの事件は、まだ終わっていない。むしろ、真実の追求はこれから本格化しそうだ。

バブル経済が崩壊し、以来長らく低成長にあえいできた日本。多くの企業の業績が落ち込む中、業績を回復させた日産、その立役者としてのゴーンの経営手腕は、どのようなものだったのか。何が問題だったのか。日本企業は、日本は、これからどうすべきなのか。考えさせられる一冊である。

なお、本書の記載内容はあくまでゴーンサイドによる主張であること、断定的な表現が含まれることに留意されたい。人名は本書に準拠して敬称略、肩書は当時とした。

ライター画像
香川大輔

著者

カルロス・ゴーン
2017年に世界最大の自動車メーカーとなったルノー・日産・三菱アライアンスの前会長。また、2005から19年までルノーで会長兼最高経営責任者を、18年まで日産と三菱で会長を務める。破産寸前だった日産が目覚ましい回復を成し遂げた立役者として知られ、自動車業界で最高経営責任者を最も長く務める。また当時初めて「フォーチュン・グローバル500」企業2社を同時に経営した。

フィリップ・リエス
世界最古の通信社であるフランス通信社(AFP)に30年近く勤務したジャーナリスト。パリでAFPのチーフエコノミクスエディターとして6年間勤務。1988~2003年に東京支局長を務めた後、08年に退社し世界初のオンライン調査ジャーナルであるMediapartの創設メンバーに。カルロス・ゴーンとの『カルロス・ゴーン経営を語る』(2003年)(原著『Citoyen du Monde』)を含む4冊の本を執筆。

本書の要点

  • 要点
    1
    逮捕され、勾留されたカルロス・ゴーンは、被疑事実に異を唱えている。
  • 要点
    2
    ゴーン逮捕の背景には、ルノーと日産、フランスと日本の両政府の間での駆け引きや猜疑心があった。両者の緊張が高まる中でゴーンは疑われ、内部調査が始まった。
  • 要点
    3
    ルノーと日産のアライアンスを主導したゴーンは、グローバル化を推し進め、業績が低迷していた日産をV字回復させた。

要約

【必読ポイント!】カルロス・ゴーン逮捕の衝撃

突然の逮捕劇

2018年11月19日、月曜日、日産本社の一室は、黒いスーツ姿の男女の一団に占拠された。エグゼクティブ・コミッティのメンバーが会議室に集まると、日産の当時の社長、西川廣人から、ルノー・日産・三菱アライアンス会長のカルロス・ゴーンが逮捕されたと伝えられる。現場には、何が起こったかわからないという空気が張り詰めていた。

同日の16時少し前、羽田に到着したプライベートジェットからゴーンは降り立った。ターミナルに向かい、入国審査を受けた際、係官から「パスポートに問題がある」と言われ、別室に案内される。そこで東京地方検察庁の男性が「ご同行願います」と言い、ゴーンは4、5人の男に囲まれて逮捕されたのだった。

さらに、アメリカ人の法律家で日産会長の執務室「CEOオフィス」を率いるグレッグ・ケリーも、日本に到着した際に逮捕されていた。ケリーの逮捕には、日産が検察に情報提供するなど直接的に関わった形跡がある。

日産本社は戦場のような様相を呈し、各所に衝撃が広がった。そうした中、西川が記者会見を開いた。西川は、ゴーンを攻撃し、検察の告発内容を繰り返し強調した。西川は事情を熟知し、ゴーンに不正があったと決めつけていた。

その後、世界中のコミュニケーターや弁護士たちによって、日々情報がリークされていく。ゴーンへの激しいバッシング・キャンペーンが繰り広げられていった。

劣悪な拘置所での130日間
Darrin Klimek/gettyimages

ゴーンは、東京の北東部、小菅にある巨大な拘置所に送られた。ここではフランスで基本的に禁じられている身体検査が行われ、ヒューマン・ライツ・ウォッチも問題視している。ゴーンは、ここで130日間、先の見えない日々を過ごすことになる。

説明もなく、弁護士を呼ぶことも家族に連絡を取ることもできなかったゴーンは放心状態となった。最初の面会者となった駐日フランス大使から西川の記者会見の要約が説明される。そこで初めて日産が告発者だったと知ることになる。

拘置所の環境は劣悪だった。単独室は寒く食事もひどい。冬だとシャワーは週2回のみ。家族の手紙を直接受け取れず、面会に来た大使らが代読した。抑圧的な措置は、自分が人間以下であると感じさせるために行われていたと知ってショックだった。「自殺に追いやるような勾留環境だ」とゴーンは語る。

勾留中のゴーンは、東京地検の検察官の取り調べを受けることが日常となった。毎日平均で4~6時間の取り調べが続く。ゴーンは、元東京地検特捜部長の大鶴基成を弁護士にする。保釈してほしいなら検察に協力するよう要請してくる大鶴を、ゴーンは次第に信用できなくなっていった。

取り調べが続く中、西川はゴーンが強欲な独裁者であるかのようなイメージを世界中に広め、バッシングを強めていった。しびれを切らしたゴーンは、弘中惇一郎と高野隆を中心とする弁護士の「ドリームチーム」と行動をともにすることにした。

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