心療内科医が教える本当の休み方

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心療内科医が教える本当の休み方
出版社
定価
1,540円(税込)
出版日
2023年09月13日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

仕事から帰ってきて、疲れて何もやる気が起きない。にもかかわらず、ついついスマホでSNSや動画を観ているうちに、すっかり寝る時間が遅くなる。そういった経験はないだろうか。休んでも疲れが取れないことには原因がある。休みの日にひたすら眠ったり、ダラダラ過ごしたりしても、心身の状態が改善するとは限らない。個性や、その時の心身の状態によって、「本当の意味で心や身体を癒やすことができる休み方」は異なるのだ。

著者は、身近な人の死をきっかけに、医療職のメンタルヘルス支援活動を始め、さまざまな「生きづらさ」を抱える人々の話を聴いてきたという。ストレス反応と自律神経の関係は一般的に知られているところだが、本書では専門家の観点から、自律神経に関する最新の論文や学説を根拠に新しい考え方を展開している。

複雑化した情報にさらされ、コミュニケーションにさまざまな困難を抱える我々現代人のストレス反応を読み解き、臨床的にも学問的にも根拠のある「本当の休み方」を知ることができるはずだ。「自分は大丈夫」と思って走り続けているうちに、突然身体がいうことを聞かなくなり、休職や治療が必要になる前に対処しなくてはならない。

休みたいのに仕事が忙しくて休めない、会社から帰ったらエネルギーを使い果たして何もする気力がない、家族サービスや翌週からの仕事の準備などに追われ、自分の疲れを癒やす間もなく週末が終わってしまう——そんな方におすすめしたい一冊だ。

ライター画像
鈴木えり

著者

鈴木裕介(すずき ゆうすけ)
内科医・心療内科医・産業医・公認心理師。
2008年高知大学卒。内科医として高知県内の病院に勤務。研修医時代に経験した近親者の自死をきっかけに、メンタルヘルスに深く携わるようになる。一般社団法人高知医療再生機構にて医療広報や若手医療職のメンタルヘルス支援などに従事。2015年よりハイズ株式会社に参画、コンサルタントとして経営視点から医療現場の環境改善に従事。2018年、「セーブポイント(安心の拠点)」をコンセプトとした秋葉原saveクリニックを開院、院長に就任。身体的な症状だけではなく、その背後にある種々の生きづらさ・トラウマを見据え、こころと身体をともに診る医療を心がけている。その実践で得た知見をより社会に活かすために起業し、企業のメンタルヘルス対策のコンサルティングや執筆・講演活動も積極的に行っている。主な著書に17万部を突破した『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム刊)がある。
Twitter:@usksuzuki

本書の要点

  • 要点
    1
    人がうまく「休む」ためには、休みが必要な状態だと自覚し、休むことができる環境を確保した上で、自分の状態にとって適切な休養活動を選択する、というプロセスが必要だ。
  • 要点
    2
    心身の健全なゆらぎを保持するには自律神経が深く関わっている。その自律神経について、交感神経優位、背側迷走神経優位、腹側迷走神経優位の3つの状態に分けるのが、ポリヴェーガル理論だ。
  • 要点
    3
    腹側迷走神経は、環境の変化に応じて交感神経系・背側系の自然な切り替わりを保ち、健全なゆらぎのバランスをキープしてくれる。

要約

疲れたけど休めない人へ

いつまでも疲れが取れない理由

「休みたくても休めない」「休みをとっても、心や身体が休まらない」「疲れが取れない」という悩みを抱え、常に心身がくたびれている人は少なくない。「多少休まなくても大丈夫だ」と思っていたのに突然体調不良に陥り、心身が追い詰められていたことに気づいた人もいる。

疲労は目に見えないし、実感を伴わないこともある。だから身体が先に悲鳴をあげて、急に朝、起き上がれなくなったりするのだ。

その原因は、「休むこと」がいかに高等技術であるか、理解されていないことにあるという。うまく「休む」には、「休みが必要な状態だと自覚」し、「休むことができる環境を確保」した上で、「自分の状態にとって適切な休養活動を選択する」というプロセスが必要だ。「テキトー」に休んでいては回復することはできない。

どうして「自覚」できないのか
elenaleonova/gettyimages

ストレスにさらされていると、その負荷に抵抗するために人体では、アドレナリンなどの「抗ストレスホルモン」が放出される。このホルモンは、血圧や血糖値を上げることで身体を「戦闘モード」にし、パフォーマンスを高める。その「ドーピングモード」は概ね3カ月続き、身体に蓄積するダメージをよそに、むしろ心身の調子を上げる。それに気がつかずに頑張り続け、ストレスホルモンが枯渇すると、一気に疲労感と、頭痛や腹痛、蕁麻疹、不眠といった身体症状が襲ってくる。腰痛にも、こうした「メンタル疾患」の一面がある。

ストレッサーが多様であることも、ストレスに気づけない要因だ。心にダメージを与える「心理的ストレッサー」について著者は、2つ挙げている。まずは、家族との死別や結婚・離婚、失業、引っ越しなどの「ライフイベント」だ。一般的にはポジティブと思われる出来事もストレスになることに注意したい。楽な環境への変化も含め、「変化とは、すべからくストレス」なのだ。ライフイベントストレスは「連発すると危険」であることを心得よう。

もうひとつは、満員電車や生活騒音、面倒な家事など、日常の些細な出来事を指す「デイリーハッスルズ」だ。個別には大した傷にならないからこそ厄介で、無意識にダメージを蓄積させる原因となる。「こういった誰もが頻繁に経験する些細なデイリーハッスルの積み重ねが、心身の健康状態にもっとも影響する」と言う研究者もいる。少しでももやもやを感じたら、それを逐一記録しておこう。特にコミュニケーションにおいては、小骨のような不快感を無視しないことが大切だ。

「休める環境」とは?

あなたは「自分が不調だ」と素直に言えるだろうか。心配や迷惑をかけたくない、評価を下げたくない、といったさまざまな心理が、「休みたい」と伝えられない要因になる。疲労によって思考力が低下し、合理的な意思決定や自己評価ができず、「ヘルプを求める」ことがリスクになってしまう。いざ休みに入っても、罪悪感で落ち着かなくなる。休む環境の確保は、「甚大な心理的コストを必要とする技術」なのだ。

こうなってしまうのは、周囲に配慮し、他者との調和を重視しすぎて常に気を張っている「過剰適応」状態にあるからだ。真面目な人ほど、他者のニーズを優先し、自分のケアを後回しにしがちである。

そうしているうちに、次第に感情が動かなくなり、生活に現実味がなくなって、あらゆる痛みに鈍感になる。これは、逆境への適応反応である「解離」だ。どれだけ酷い状況でも「つらい」と思わずにやりすごせてしまう「生ける屍」になる前に、「他者のニーズ」から大きく距離を取る必要がある。

しかしこれがなかなか難しい。他の人と同じように役割を果たすことは、「普通」であり「安心」を与えてくれるからだ。休んでいる間も「動けない」ことに「怒り」を感じる。それも含めて休むことを困難にしている「一連の症状」なのだ、と気づかなくてはならない。

自律神経の3つのモード

心身を癒す「自然なゆらぎ」
Maria Korneeva/gettyimages

「本当の休みをとる」とはどのようなことか。著者は、「自らの『身体のニーズ』を把握し、それに応えることで自分自身とのつながりを取り戻し、心身が安全・安心を感じられる状態にすること」だと定義する。そこで着目するのは、「ストレスと自律神経の関係」だ。

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要約公開日 2023.12.06
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