世界はラテン語でできている

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世界はラテン語でできている
出版社
SBクリエイティブ

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出版日
2024年01月15日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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おすすめポイント

メルカリ、アリバイ、アウディ、エトセトラ、『ハリー・ポッター』の呪文「クルーシオ」……あなたはこれらの共通点がわかるだろうか? 答えは「ラテン語」だ。冒頭に挙げた言葉はいずれもラテン語か、ラテン語由来の言葉である。

本書によると、ラテン語は「イタリア半島中西部の、一都市の言語として産声を上げた言語」であり、フランス語やスペイン語の元になっただけでなく、英語の語彙にも多大なる影響を及ぼしてきた。たとえば英語の「push」はラテン語の「pulso」に由来している。見比べてみると、ふたつの単語がそっくりであることに気づくだろう。

現在、ラテン語を公用語とする国はバチカン市国のみで、そこでも日常会話はイタリア語でなされているという。つまり日常的にラテン語で会話する人は存在しないと思っていい。それでもラテン語は現代を生きる私たちのすぐそばに隠れているのだ。

本書の著者「ラテン語さん」は、X(旧Twitter)でラテン語の魅力を日々発信し、9.6万人(2024年6月時点)のフォロワーを抱えている。本書はそんなラテン語さんが、世界史、政治、宗教、科学、現代、日本という6つのテーマとラテン語のかかわりを解説した一冊だ。古代ローマで選挙の候補者が白い服を着ていた理由、「鳥占い」とラテン語、『ハリー・ポッター』に登場するラテン語など、興味深い話題が目白押しである。

本書はラテン語の知識をいっさい持たない人でも楽しく読み進められる仕立てになっている。要約を読んで少しでも興味を抱いたら、ぜひ本書を手に取り、ロマンあふれるラテン語の世界に飛び込んでみてほしい。

著者

ラテン語さん(らてんごさん)
ラテン語研究者。栃木県生まれ。東京外国語大学外国語学部欧米第一課程英語専攻卒業。ラテン語・古典ギリシャ語の私塾である東京古典学舎の研究員。高校2年生でラテン語の学習を始め、2016年から X(旧Twitter)においてラテン語の魅力を毎日発信している(アカウント名: @latina_sama)。研究社のWEBマガジンLinguaにて隔月連載中(シリーズ名: 名句の源泉を訪ねて)。ラテン語を読むだけでなく、広告やゲームなどに使われるラテン語の作成や翻訳も行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    ラテン語は古代ローマの勢力拡大に伴って通用する地域を広げていき、その後もヨーロッパの書き言葉に広く使われた。
  • 要点
    2
    ファシスト党の前身となったグループ「イタリア戦闘ファッシ(Fasci italiani di combattimento)」のfasci「ファッシ」は「束」を意味するイタリア語で、語源はラテン語のfasces「束」だ。
  • 要点
    3
    英語圏では、魔術師はラテン語を理解するものだという認識がある。『ハリー・ポッター』シリーズに出てくる呪文にラテン語の要素が含まれているのは、その認識に沿ったものだ。

要約

ラテン語ってなんだ?

実は身近なラテン語

ラテン語はイタリア半島中西部の、一都市の言語として産声を上げ、古代ローマの勢力拡大に伴って通用する地域を広げていった言語だ。その後もヨーロッパの書き言葉に広く使われ、現在のフランス語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ルーマニア語などの元になっている。

ルネサンス時代にはイングランドに住む文人たちがラテン語の多くの単語を英語に借用し、その結果ラテン語は英語の語彙にも影響を及ぼした。たとえばpush「押す」の語源はラテン語のpulso「叩く」だ。

我々は知らず知らずのうちにラテン語やラテン語由来の言葉に接している。最も頻繁に目にするのは、AからZの「アルファベット」と呼ばれる文字だろう。これは、ラテン語を書くために古代ローマで生まれた文字であり、正式には「ラテン文字」と言う。

さらに、午前を指すAMはラテン語の「正午の前に(ante meridiem)」、午後を指すPMはラテン語の「正午の後に(post meridiem)」の略だ。etc.と略される「エトセトラ」はラテン語のet cetera「~と他のものたち」が元になっているし、犯行時に現場に居なかった証明を指す「アリバイ」も、元はラテン語のalibi「他の場所で」である。

ラテン語と世界史

地名に残るローマ帝国の遺産
Trifonov_Evgeniy/gettyimages

ローマ帝国は、ラテン語について語るうえで欠かせない存在だ。

ローマという都市は、できた当初はイタリア中西部に位置するほんの小さな共同体に過ぎなかった。次第に勢力を増していき、イタリア半島を統一したのみならず周辺の国々を勢力下におさめて、アフリカから中東、バルカン半島、そして現在の西ヨーロッパの大部分が支配地域に入っていた時期もある。

現在イングランドとスコットランド、ウェールズがあるグレートブリテン島も、一時期はその大部分がローマ帝国の支配下に入っており、現在でもローマ帝国の痕跡が数々見られる。代表的なものが、「ウスター(Worcester)」や「マンチェスター(Manchester)」などの地名の後半にある-cesterや-chesterだ。これらの語源はラテン語のcastrum「城砦」で、地名に-cesterや-chesterが含まれる地には、かつてローマ兵の築いた城砦があったことを意味する。

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要約公開日 2024.07.10
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