はじめる力
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出版社
サンマーク出版

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出版日
2025年04月15日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

夢に向けて新たな一歩を踏み出したい。でも、失敗が怖くて動けない。自分は「ファーストペンギン」タイプではない――。そんな思いを抱く人に、著者の安野貴博さんはこう語りかける。「行動に必要なのは、才能でも性格でもなく技術だ」と。

安野さんのキャリアは「はじめる」の連続だ。AIスタートアップを2社創業後、M-1グランプリに出場。SF作家、起業家、エンジニアとして活動しながら、2024年には都知事選に立候補し5位へ。その後デジタル民主主義を掲げ、新党「チームみらい」を結成し、2025年の参院選では初議席を獲得した。

新たな挑戦を体現する安野さん自身が、本来は「石橋を叩いて渡るタイプ」というから驚きだ。それでもリスクを取れるのは、後天的に「はじめるための技術」を身につけたからだという。

本書では、その経験をもとに、どのようにゴールを描き、不確実性や失敗と向き合いながら動き出すかを解説する。これからの時代は、やりたいことを見つけて仲間を集めれば、テクノロジーがその挑戦を後押ししてくれる。

安野さんは、YouTube「flierチャンネル」でも「リスクを正しく見積もり、取れるリスクなら打席に立ち続ける」と語ってくれた。これは、本書からも一貫して伝わってくる応援のメッセージだ。

歴史の一ページは「はじめた人」がつくる。本書を読めば、きっと試してみたかったことを、はじめてみたくなるだろう。

ライター画像
松尾美里

著者

安野貴博(あんの たかひろ)
合同会社機械経営代表。AIエンジニア、起業家、SF作家。開成高校を卒業後、東京大学へ進学。内閣府「AI戦略会議」で座長を務める松尾豊の研究室を卒業。外資系コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループを経て、AIスタートアップ企業を2社創業。デジタルを通じた社会システム変革に携わる。未踏スーパークリエイター。デジタル庁デジタル法制ワーキンググループ構成員。日本SF作家クラブ会員。2024年、東京都知事選挙に出馬、デジタル民主主義の実現などを掲げ、AIを活用した双方向型の選挙戦を実践。著書に『サーキット・スイッチャー』『松岡まどか、起業します』(ともに早川書房)、『1%の革命』(文藝春秋)。

本書の要点

  • 要点
    1
    達成したいゴールを見つけるためには、解像度の高い未来をイメージすることが大事だ。「未来のはじめ方」の勝ちパターンは、発想のジャンプ × 論理的推論 × 物語化である。
  • 要点
    2
    ゴールまでの戦略とストーリーを考える際には、リスクの種類を見極め、小さな実験をくり返す。
  • 要点
    3
    仲間を集めてチームをつくる際には、スピードと心理的安全性がカギとなる。

要約

変えられる未来は今ここにある

「はじめる」ときに重要な3つのステップ

何かを「はじめる」ときには、重要な3つのステップがある。

ステップ1:達成したいゴールを発見する

ステップ2:ゴールに至るための勝ち筋を見出す

ステップ3:仲間を集めてチームをつくる

これからステップごとに解説していく。

発想のジャンプ × 論理的推論 × 物語化

まずステップ1で達成したいゴールを見つけるためには、解像度の高い未来をイメージすることが大切だ。SF作品の制作でも起業でも、未来を具体的に想像することを大事にしてきた著者は、「未来のはじめ方」の勝ちパターンを次の公式で表す。

発想のジャンプ × 論理的推論 × 物語化

公式の最初である「発想のジャンプ」とは、発想の原点となる仮説をつくることだ。仮説を思いつく確率を上げるには、次の3つが役立つ。(1)みんなの予想の逆をいく、(2)極端な使い方をしている人の予想を参考にする、(3)変な人を脳内に飼う、である。たとえば(3)については、イーロン・マスクだったらどう言うかなどと想像すると、発想が飛躍しやすくなる。

論理的推論
ALLVISIONN/gettyimages

公式の2つ目にあたる「論理的推論」とは何だろうか。ジャンプした発想をより現実的に考えるには、「その未来が起こった後は何が起こるのか」(ジャンプした発想の後)と、「なぜ、発想したような未来が起こるのか」(ジャンプした発想の前)を考える必要がある。前者は「論理的予想」、後者は「バックキャスト」の手法を用いる。

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要約公開日 2025.10.19
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