宇宙へ
星空に出かけてみたら

あなたは最近、星を見ただろうか。空を見上げる余裕のない夜もあるかもしれない。それはあなたのせいではない。忙しい毎日と街の明るさのせいもあって、星どころか、空の存在感が大きくはないのだから。大丈夫、今から一緒に見てみよう。
天文学者である著者は、仕事柄、日常のちょっとした場面で星を見るための工夫をしている。たとえば、目に入る街灯の光を避けるために、空を見る前に何歩か歩いてみる。それでもダメなら手で街灯を隠してみる。人工の光を目に入れないようにすると、目の感度が上がり、実際に見える星の数が増えることがある。都会でもちゃんと星空は見えるのだ。
想像力をふくらませて、夜に草原に寝そべり、夜空を眺めているところをイメージしてみよう。一面に広がる、見たこともない満点の星空。風が吹き、草木の音が聞こえ、草と土の匂いがする。時おり、流れ星がスーッと流れては消えていく。光と光のあいだの暗闇は、どこに続いているのだろうか。
私たちはその場所を「宇宙」と呼ぶ。今度はその暗闇に思いを馳せてみよう。高く上がるほど、あなたがいた場所はどんどん小さくなっていく。重力も大地もなく、風も音も匂いもない。この漆黒の空間で、今度は振り返ってみる。青く輝くどっしりとした球体、地球が見える。地球を心の目で眺めてみると、宇宙空間からは見えない、命の一つひとつが感じられるはずだ。
この文章を読んでいるあなたも、無数の命のひとつとして、悠久の宇宙の時間の中で、今青い惑星に暮らしている。想像上の宇宙空間に旅してみると、そのことが実感できる。
地上の星空
夜空に描くイラスト
星座は夜空に描かれた人類最大のイラストだ。昔の人たちは明るい星を想像の線で結んで、人や動物や神様に見立ててきた。



















