

トレーニングをすればするほど成長する――そう信じるトレーニーは多いものだ。
だが実は、トレーニングは、筋繊維に微細な損傷を与える行為にほかならない。もしそのまま放置すれば、それは単なる破壊で終わる。真に強くなるためには回復のプロセスが欠かせない。
この回復を体系的に取り入れた理論が、筋トレ業界で知られる「超回復理論」である。筋トレ後に適切な休養を取ることで、筋肉は元の状態を超えて強化される。一般的に回復に必要な時間は48~72時間とされ、2~3日おきのトレーニングが推奨されるのはこのためだ。
さらに、超回復理論を発展させた考え方が「フィットネス-疲労理論」である。これは、トレーニングによる成長と疲労を天秤にかけ、両者の最適なバランスを見極めることでパフォーマンスを最大化するという理論だ。この理論では、鍛えた分だけ疲労は蓄積するが、十分な回復を確保すれば、結果としてより高いパフォーマンスを引き出せると考える。
これらの理論を踏まえると、成長を左右するのは「どれだけ鍛えたか」だけでなく「どれだけ適切に回復させたか」だと言える。必要なのは、疲労と正面から向き合い、回復の質を高める具体的なアプローチだ。
毎日7~8時間以上の質の高い睡眠、血流を促す軽い有酸素運動やストレッチ、タンパク質やビタミンなどの栄養補給、負荷と回復を両立させたオーバートレーニング防止の計画、そして精神を整えるオフの日の過ごし方――これらを意識的にデザインできる者こそ、長く強くあり続けられるのである。

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