究極の筋トレ休息法
休み方を変えると筋肉・脳・メンタルが整う
究極の筋トレ休息法
著者
NEW
究極の筋トレ休息法
出版社
出版日
2025年07月22日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.0
革新性
3.5
応用性
4.0
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おすすめポイント

「トレーニング後、達成感に浸ってぼんやりと一日を終える」「トレーニングを休むことに罪悪感があるので、とにかく毎日、寝る直前まで追い込む」――そう考えている限り、真の成長は訪れない。本書は、トレーニング後の休息を「攻めの行動」として捉え直す、新しい視点を提示する一冊である。

著者の岡田隆氏は、ボディビル世界王者であり、日本体育大学教授としてスポーツ科学を探究する研究者だ。科学者としてデータを扱いながら、自らの肉体で実験を重ねてきた。また、YouTube「新・バズーカ岡田チャンネル」をはじめとするSNSの総フォロワーは約50万人で、理論をわかりやすく伝える手腕に定評がある。

本書の主張は明快だ。筋肉は「鍛える」ことで壊れ、「休む」ことで成長する。回復というフェーズを軽視すれば、努力が逆効果になりかねない――。

岡田氏は、最新の科学的知見と現場での経験を融合し、睡眠・栄養・ストレス管理・入浴など、あらゆる角度からリカバリーを体系化している。どれも実践しやすく、読後すぐに実践したくなるリアリティがある。

本書は、筋トレの成果を最大化したいと願う人にぜひ読んでほしい。本当に成長を続けるために必要なのは、がむしゃらに頑張ることではなく、休息も含めて日々をデザインすることなのだ。読むほどに、休息もまた努力の一部であると理解できるだろう。

著者

岡田隆(おかだ たかし)
日本体育大学教授/博士(体育科学)/理学療法士/ボディビルダー(WNBFプロマスターズ世界一)/骨格筋評論家(バズーカ岡田)
1980年愛知県田原市生まれ、東京都練馬区育ち。東京都立西高等学校、日本体育大学卒業、同大学院体育科学研究科修了。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。トレーニング科学、スポーツ医学を専門的に学び、身体づくりのスペシャリストとして活動している。究極の実践研究としてボディビル競技を続けており、2023年にはWNBF世界選手権プロマスターズ部門で優勝を果たす。
指導者としては、2012年から日本オリンピック委員会強化スタッフ(柔道)、柔道全日本男子チーム体力強化部門長を務め、2016年リオデジャネイロオリンピックでは、史上初となる柔道男子全7階級メダル制覇、2021年東京オリンピックでは史上最多5個の金メダル獲得などに貢献。これまで、文部科学省スポーツ功労者顕彰、日本オリンピック委員会奨励賞、讀賣新聞社日本スポーツ賞など受賞多数。
また日本の国力を底上げすべく、身体づくりの啓発活動に尽力している。フジテレビ「ホンマでっか⁉TV」など様々なメディアに「骨格筋評論家バズーカ岡田」として出演し、YouTube「新・バズーカ岡田チャンネル」などSNS総フォロワーは約50万人。さらに、開成中学校、灘高等学校、横浜国立大学、三菱商事、レノボ・ジャパン、東京都など、受験生やビジネスパーソンに向けて、心身そして脳のパフォーマンスを高める方法の講演も精力的に実施している。
『除脂肪メソッド』(ベースボール・マガジン社)、『無敵の筋トレ食』および『最高の除脂肪食』(以上、ポプラ社)、『世界一細かすぎる筋トレ図鑑』(小学館)など著書多数。累計で100万部を超えている。休息、休養、回復(リカバリー)をテーマにした著者は本書が初となる。

本書の要点

  • 要点
    1
    筋肉の成長を左右するのは「どれだけ鍛えたか」だけでなく「どれだけ適切に回復させたか」である。疲労と正面から向き合い、回復の質を高めた者こそが、長く強くあり続けられる。
  • 要点
    2
    真のリカバリーを実現するためには、運動・栄養・休養(睡眠)をワンサイクルとして捉える視点が欠かせない。
  • 要点
    3
    睡眠改善においては、まずは1日あたり10分、睡眠時間を増やすことから始めよう。毎月10分ずつ増やしていけば、1年後には2時間の増加となる。これは、わずか1年で一生の健康と生産性を得られる、非常に効率のよい投資だ。

要約

【必読ポイント!】 成長の鍵は「回復」にあり

回復の質を高めた者が勝つ
piotr_malczyk/gettyimages

トレーニングをすればするほど成長する――そう信じるトレーニーは多いものだ。

だが実は、トレーニングは、筋繊維に微細な損傷を与える行為にほかならない。もしそのまま放置すれば、それは単なる破壊で終わる。真に強くなるためには回復のプロセスが欠かせない。

この回復を体系的に取り入れた理論が、筋トレ業界で知られる「超回復理論」である。筋トレ後に適切な休養を取ることで、筋肉は元の状態を超えて強化される。一般的に回復に必要な時間は48~72時間とされ、2~3日おきのトレーニングが推奨されるのはこのためだ。

さらに、超回復理論を発展させた考え方が「フィットネス-疲労理論」である。これは、トレーニングによる成長と疲労を天秤にかけ、両者の最適なバランスを見極めることでパフォーマンスを最大化するという理論だ。この理論では、鍛えた分だけ疲労は蓄積するが、十分な回復を確保すれば、結果としてより高いパフォーマンスを引き出せると考える。

これらの理論を踏まえると、成長を左右するのは「どれだけ鍛えたか」だけでなく「どれだけ適切に回復させたか」だと言える。必要なのは、疲労と正面から向き合い、回復の質を高める具体的なアプローチだ。

毎日7~8時間以上の質の高い睡眠、血流を促す軽い有酸素運動やストレッチ、タンパク質やビタミンなどの栄養補給、負荷と回復を両立させたオーバートレーニング防止の計画、そして精神を整えるオフの日の過ごし方――これらを意識的にデザインできる者こそ、長く強くあり続けられるのである。

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要約公開日 2025.11.16
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