失敗のしようがない 華僑の起業ノート

未 読
失敗のしようがない 華僑の起業ノート
ジャンル
著者
大城太
出版社
日本実業出版社
定価
1,512円
出版日
2015年05月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
4.0
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失敗のしようがない 華僑の起業ノート
失敗のしようがない 華僑の起業ノート
著者
大城太
未 読
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ジャンル
出版社
日本実業出版社
定価
1,512円
出版日
2015年05月01日
評点
総合
4.0
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
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レビュー

巷にあふれるビジネスやマーケティング論で主流なものはユダヤ人やアメリカ流のものである。その中で珍しく、本書は華僑流の起業の成功論だ。大企業やエリートが対象の理論は、0から立ち上げるベンチャービジネスに当てはまらないことが多いと著者は語る。さらに日本人にとって華僑流が良いのは、西洋の法社会ではなく東洋の倫理社会を基盤にした論理が納得しやすく、かつ同じ黄色人種で白人の優位性を享受できない点も条件的に似通っているからだと説く。前書きでいきなり目から鱗を落とされるわけだが、実際、本書の内容は小気味よい驚きに満ちている。日本人としての「常識」を疑うこと、思考を変えることでビジネスの可能性は大いに広がると思わせてくれる。

昨今、より注目を浴びるグローバルビジネスだが、華僑はいわばその走りと言えよう。主要な都市で目にする中華街は、他国に打って出てビジネスの手腕で根を張った華僑の成功の印とも見える。本書もまた、成功まで故郷に帰らない覚悟で背水の陣を敷いた華僑だからこそ伝授できる起業論となっている。この歴史的な実績に裏打ちされた「成功法則」を門外不出のノウハウとして本書は惜しみなく教授する。

著者は読者に対し起業とは敗者復活戦で、起業家は実力勝負の「体育会系」で成り上がるのだと言い切る。刺激的なセリフだが、その覚悟があれば本書は必ず役に立つだろう。最初は驚き、非常識に思えた内容が、読み終わる頃には腑に落ちてしまうのも本書の面白さだ。ぜひ華僑の強靭さを習得して起業を成功に導いてもらいたい。

著者

大城 太
学生時代から「社長になってベンツに乗る」という目標を掲げ、外資系保険会社、歯科用医療機器メーカーにて営業スキルを磨いた後、独立・起業。起業するにあたり、華僑社会では知らない者はいないと言われる大物華僑に師事。不良債権の回収やリヤカーでの物売り等の過酷な修行を積みながら、日本人で唯一の弟子として「門外不出」の成功術を直伝される。独立後、医療機器販売会社を設立し、社長1人、アルバイト1人で初年度より年商1億円を稼ぎ出す。その後、中国人パートナーを得て医療機器メーカーを設立。現在は華僑の教えを学び実践する「知行道場」の師範代として、「知行道」の普及にも務める。また、ベンチャー投資も活発に行っている。著書に『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』(日本実業出版社)がある。
株式会社前仲原物産代表、株式会社SDメディカル代表、宋太医療機器有限公司薫事長、SD international co.,ltd代表、コンシェルジュサービス株式会社代表、一般社団法人20代30代応援プロジェクト協議会代表、「チーム大城」副代表。

本書の要点

  • 要点
    1
    日本人の常識を覆す華僑流の成功法則が「起業ノート」形式で綴られる。著者自らが華僑に弟子入りして得た門外不出のメソッドを惜しみなく開示している。
  • 要点
    2
    華僑流のビジネスの基本は「トライアングル経営」で、「お金を出す人」「アイデアを出す人」「作業をする人」の3つの役割を兼任しないことが鉄則だ。事業を拡大する時も事業数を増やす時も必ず「トライアングル」で考える。
  • 要点
    3
    東洋思想と合理主義が合わさって華僑独自のビジネスマインドを生み出している。起業家や社長の所作の指南書として活用できる内容が具体的に書かれている。

要約

世の中の原理原則を抑えることが華僑の本質

華僑流起業の心構えを知ろう
Ingram Publishing/Thinkstock

通常、事業を失敗すると信用を失うと思われがちだが、中国では倒産や廃業の経験者はその未経験者よりも優遇されるという。また、華僑は最後には必ず成功するという強い意志があるため、「途中経過」の失敗を問題視しない。グローバル時代の現在、可能性にかけてスピードで制するほうが成功に近づきやすい。途中の計画修正をミスと捉えず、修正に気づくのは成長の証と前向きに受け取りたい。

そして「富と貴(=お金と地位)」が欲しいとはっきり認めること。親族に恥をかかせない商売をして、社会にお金を回すのが商人の価値と華僑は考える。彼らは時給の高い3Kの仕事で貯金して、粗利額の大きい「儲かる」ビジネスで基盤を作り、その後初めてやりたいビジネスに着手する。また、粗利益は知識による付加価値が源泉となるため、知らない分野をビジネスにしないことがセオリーだ。

このように華僑にとって「お金は自分の能力の証」である。その原動力となるハングリー精神はリアルな目標が支える。今後の人生に必要な金額を具体的に算出してイメージし、理想と現実のギャップを仕事で埋めるのである。「イメージできないことは永遠に実現しない」ため、自分で自分を「その気」にさせることが良い。

また、経営資源とされる「ヒト・モノ・カネ・情報」だが、起業当初は自分の頭と体しか持っていないもの。そんな時こそ外へ出て「人に使って」もらい、自分の価値を認めてもらうことでチャンスとお金を得るのが華僑流だ。また、起業当初は時間とお金の価値を等しく考え、ハイペースで長時間も厭わず「人がお金を使っている時にお金を稼ぐ」のも華僑らしさである。成功の鍵は最初のスピードアップ。事業基盤ができる2年間に勝負をかけることで軌道に乗せ、あとは慣性の法則で事業が回るという考えだ。

したたかな華僑流処世術

人脈と交流は華僑流で乗り切ろう
monkeybusinessimages/iStock/Thinkstock

人付き合いに損得は関係なく「偶然ではなく、すべて必然」で、天が計算してくれるという考えも華僑らしさだ。例えば、合わない人は相手にしないのが一番だが、敵に回さないために争わず譲るのが華僑だ。目の前の小さなお金や地位はさっさと譲り、その代り、その人の美点を盗んで自分に活かす方法は、感情に流されず論理的に割り切る華僑の合理性だろう。

新たな人脈作りには、数名の人脈豊富な人とWinWinの関係を築くのが早道だ。相手が自分よりレベルが高い場合、最初から対等を目指さず貸し借りを行って「借り」を作って返す機会を得よう。借りの返し方は相手の欲しい情報や人の紹介など様々であり、少しの工夫で関係性は長続きする。日本人なら借金は抵抗を覚えるだろうが、人から借りられることもまた信頼力と割り切り、堂々と借りてそれ以上に返す気概を持とう。

また、華僑社会では会食の場でいきなり見知らぬ人を紹介されるサプライズがある。初対面での質問責めは日本では失礼だが、中国では逆だ。相手に興味を持って訊き、その家族や親族、友だちの職業まで詳しく覚える姿勢を見習いたい。相手の周囲の人脈にまで気を配り、縁を大事に情報のストックを心掛けるのだ。

チャンスを逃さないためにも、スケジュールは埋めず、社内ミーティングや友人との会合等は時間変更が可能な「ゆるアポ」を心掛けよう。いつでも「偉い人に呼ばれる」ための余地を残しておくのがベターだ。

【必読ポイント】華僑のビジネスノウハウとテクニック

トライアングル経営で失敗知らず
David Selman/Fuse/Thinkstock

華僑流ビジネスには欠かせない三大要素は「アイデアを出す人」「お金を出す人」「作業をする人」で、この「トライアングル経営」で「プロジェクトごとに人材を集めてチームを作る」ことが大前提だ。日本では「自分の考えたビジネスプランを自己資金で起業し、初期は実務作業も自分でやる」パターンを多く目にするが、華僑にいわせれば「間違いなく失敗する最悪のパターン」だという。

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大城太
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