地頭力を鍛える

問題解決に活かす「フェルミ推定」
未読
日本語
地頭力を鍛える
地頭力を鍛える
問題解決に活かす「フェルミ推定」
著者
未読
日本語
地頭力を鍛える
著者
出版社
東洋経済新報社
定価
1,760円(税込)
出版日
2007年12月20日
評点
総合
4.2
明瞭性
4.0
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

コンサルティング会社の面接試験で出題されることで有名な「フェルミ推定」。「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」、「世界中で1日に食べられるピザは何枚か?」といった問いを耳にした方もいるのではないだろうか。こうした途方に暮れそうな問いの解決策を、概算によって導き出すのがフェルミ推定である。そして、このフェルミ推定で「考え方のプロセス」を問うことにより、「地頭力」が鍛えられる。

地頭力とは、「情報を選別して付加価値をつけていく力」であり、あらゆる思考の基本となる知的能力を指す。地頭力の高い人は、どんな難局に置かれても、知識や経験を活用して、環境の変化に対応しながら新しい英知を生み出していくことができるのだ。

地頭力は「結論から」考える仮説思考力、「全体から」考えるフレームワーク思考力、「単純に」考える抽象化思考力の3つに分解される。本書では、「日本全国に電柱は何本あるか?」といったフェルミ推定の例題をもとに、解決への思考プロセスを追体験しながら、地頭力の土台となる3つの力の本質と、その具体的な鍛え方を学んでいく。

AIや機械に人の仕事が代替されていく時代を生き抜くには、自分なりに考え抜き、問題解決を図っていくための地頭力が、ますます重要になることだろう。情報の洪水に飲まれず、周囲から一目置かれるような成果を出し続けたい方には必読の一冊だ。「地頭力トレーニング」の旅を存分に楽しんでいただきたい。

ライター画像
松尾美里

著者

細谷 功(ほそや いさお)
ビジネスコンサルタント。クニエ コンサルティングフェロー。
1964年神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティング、クニエの前身)に入社。製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業等の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定着化等を手がける。著書に『アナロジー思考――「構造」と「関係性」を見抜く』(東洋経済新報社)、『「Why型思考」が仕事を変える』(PHP新書)などがあり、思考力等に関するセミナーを企業や学校等で多数行っている。

本書の要点

  • 要点
    1
    地頭力とは、知的好奇心と論理思考力、直観力をベースとし、「結論から考える」仮説思考力、「全体から考える」フレームワーク思考力、「単純に考える」抽象化思考力の3つから構成された、あらゆる思考を支える知的能力である。
  • 要点
    2
    フェルミ推定は、とらえどころのない数量を、論理的に短時間で概算する方法を指し、地頭力を鍛える絶好のツールだ。
  • 要点
    3
    今後は、知識や経験をもとに、常に環境に適応しながら次々と新しい知識を生み出せる人、地頭型多能人(バーサタイリスト)をめざす必要がある。

要約

【必読ポイント!】 地頭力とは何か

地頭力の構成要素

世にいう「頭のよさ」には3種類ある。1つ目は記憶力に裏付けられた豊富な知識を持つ「物知り」タイプである。2つ目は対人感性が高く、人の気持ちをすぐに察知できるという、「機転が利く」タイプだ。そして3つ目は、数学者やプロ棋士のように思考能力が高いタイプであり、これを「地頭力が高い人」と著者は位置づける。

地頭力は、あらゆる思考のベースとなる知的能力だ。「問題を解決しよう」という知的好奇心を基盤とし、筋道を立てて物事を考える「論理思考力」と、ひらめきを伴う「直観力」を要する。これらをベースとしたうえで、「結論から考える」仮説思考力、「全体から考える」フレームワーク思考力、「単純に考える」抽象化思考力の3つから構成されるのが地頭力だ。

結論から、全体から、そして単純に考えることによって、圧倒的に生産性を上げ、コミュニケーション上の誤解を最小限にできる。さらには、少ない知識を応用して新しいアイデアを生み出しやすくなるという効果も期待できる。

現在は、誰でも膨大な情報にふれられ、情報の陳腐化が今まで以上に激しくなり、過去の経験が未来の成功に役立つとは限らない時代である。そのため、断片的な知識を豊富に有していることの重要性は相対的に低くなっている。一方、先述した効果をもたらし、未知の領域で問題解決を図る能力という点で、地頭力はますます重要度を増すといえよう。

ジアタマデバイドの時代を生き抜くために
bestdesigns/iStock/Thinkstock

インターネット黎明期には、情報リテラシーや技術インフラ所有の有無による二極化、デジタルデバイドが問題とされた。しかし今では、インターネットの膨大な情報や知識を活用して、考える力で増幅させる人と、情報に溺れる人の二極化が生じていく。これを著者はジアタマデバイドと名付ける。

ジアタマデバイドの時代に必要なのは、知識や経験をもとに、常に環境に適応しながら次々と新しい知識を生み出せる人、地頭型多能人(バーサタイリスト)である。

フェルミ推定とは何か

地頭力は日々の訓練によって鍛えられる。地頭力を鍛えるための強力なツールが「フェルミ推定」だ。フェルミ推定とは、「東京都内に信号機は何基あるか?」といった、とらえどころのない数量を、論理的に短時間で概算する方法を指す。物理量の推定に長けていたノーベル賞物理学者、エンリコ・フェルミにちなんで、このように命名された。

フェルミ推定が活用されている場面として有名なのが、コンサルティング会社や外資系企業の面接試験である。フェルミ推定では、明快かつ正解がない質問を問うことで、解答者の思考プロセスを純粋に評価することができるため、地頭力を試すのにうってつけだからだ。

日本全国に電柱は何本あるか?
jyapa/iStock/Thinkstock

ここでフェルミ推定の例題として、「日本全国に電柱は何本あるか?」という問いの解法を見ていこう。大事なのは、結果が正確であるかよりもどんな思考プロセスを経たのかという点だ。

まずは、アプローチ設定である。ここでは「単位面積当たりの本数を市街地と郊外(市街地以外)に分けて総本数を算出する」といった切り口を考える。次に対象をモデル化して、単純な要素に分解する。各エリアの「単位面積当たりの本数」と、それぞれの「総面積」を導き、掛け算すれば総本数が算出できる。ポイントは、こうしたうまい切り口を見つけて、推測可能となる適切な粒度に因数分解できるかどうかだ。

つづいて、数値の計算を行っていく。「単位面積当たりの本数」については、市街地の電柱の本数を市街地で「50m四方に1本」、郊外で「200m四方に1本」と仮定する。一方、「総面積」の算出については、新幹線の速度と所要時間から、日本全土の面積の近似値を出す。

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