IGPI流 DXのリアル・ノウハウ

未 読
IGPI流 DXのリアル・ノウハウ
ジャンル
著者
冨山和彦 望月愛子
出版社
PHP研究所
定価
979円(税込)
出版日
2021年06月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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IGPI流 DXのリアル・ノウハウ
IGPI流 DXのリアル・ノウハウ
著者
冨山和彦 望月愛子
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出版社
PHP研究所
定価
979円(税込)
出版日
2021年06月30日
評点
総合
3.8
明瞭性
4.5
革新性
3.5
応用性
3.5
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レビュー

DX(デジタルトランスフォーメーション)については、すでに多くの情報であふれており、さまざまな定義が存在するが、本書の定義はごくシンプルなものだ。つまり「デジタルで変わること」である。

ご存知のようにコロナ禍で、リモートワークが一気に進んだ。それを可能にしたウェブ会議システムやペーパーレスによるやりとりも、デジタルで仕事のやり方が変わったことを考えれば、間違いなくDXのひとつだ。DXは、もはやあらゆるビジネスパーソンが関わるものなのである。

本書はDXについて、短期と中長期というふたつの時間軸で考えることをすすめている。まず短期のアナログ情報のデジタル化で、既存事業のシェイプアップ(磨き込み)をスタートさせる。そこで効率化や利便性の向上といった成果をあげ、そこから捻出された人的・資金的なリソースをもとに、新たなチャレンジへつなげていく。さらにはデジタルを活用し、「新しい価値」の創出、業界の「ゲームチェンジ」を起こすというような大きなうねりをめざすというのが著者たちの提言だ。

DXは業務改革レベル、戦略転換レベル、事業モデル転換レベルへと徐々にスパイラルアップしていく、中長期的な活動である。しかしその道筋は一筋縄ではいかない。そこで本書の登場である。総論賛成・各論反対といった社内の抵抗をどういなすのかというところから、アウトソースの問題、人のアサインの仕方、お金のつけ方まで、具体的な道筋を提示している。まさにタイトル通り、「DXのリアルノウハウ」だ。

しいたに

著者

冨山和彦 (とやま かずひこ)
経営共創基盤(IGPI)グループ会長。
1960年生まれ。東京大学法学部卒。在学中に司法試験合格。スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、産業再生機構COOに就任。カネボウなどを再建。解散後の2007年、IGPIを設立し代表取締役CEOに就任。数多くの企業の経営改革や成長支援に携わる。2020年10月より現職。同年12月、地方創生を目的とした投資・事業経営会社「日本共創プラットフォーム」(JPiX)設立を発表、代表取締役社長に就任。パナソニック社外取締役。
『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(以上、文藝春秋)、『リーダーの「挫折力」』『IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ』(PHP研究所)など著書多数。

望月愛子 (もちづき あいこ)
経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー) 取締役CFO マネージングディレクター。
早稲田大学政治経済学部卒、公認会計士。中央青山監査法人にて監査業務に従事。IGPI参画後は、大手企業の事業ポートフォリオ見直し及び新規事業創出に関わる戦略立案~実行サポート、デューデリジェンス、M&Aアドバイザリー等に携わる。近年はCVCの立ち上げ及び運用に関するアドバイスやオープンイノベーションに関わる組織設計も数多く手掛けるとともに、IT領域から科学技術系テクノロジー領域まで、幅広い領域のベンチャーを立ち上げ時期からEXITまで数多く支援。

本書の要点

  • 要点
    1
    DXのプランニングは、(1)DXによってどのようなことを成し遂げたいのか、(2)どんなことが可能なのか、(3)何をしなくてはならないのかという3つの視点に、(A)短期、(B)中期、(C)長期という時間軸をかけ合わせて、3×3の9個のボックスを作って整理していく。
  • 要点
    2
    まずアナログ情報をデジタル化し、徐々にプロセスやビジネスモデルなどの仕組みもデジタル化していく。デジタル化(デジタライゼーション)は点を線に、線を面に広げていくように進めるべきだ。

要約

DXで何を実現するのか

デジタルで変わるということ

最近、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉を目にしない日はない。少し前に流行ったAI(Artificial Intelligence:人工知能)やIoT(Internet of Things:モノのインターネット)といった言葉を飲みこむ勢いである。

一般的に「DX」として取り上げられるのは、AIやIoT、ブロックチェーン、VR(Virtual Reality:仮想現実)・AR(Augmented Reality:拡張現実)の活用、はたまた自動運転や遠隔操作までさまざまだ。

これらの共通点は、文字通り「デジタルで変わる」という点である。DXとは、遠隔地からロボットを動かしたり、大量のデータから何かを予測したりするようなものだけではない。ペーパーレス化やリモートワークも、「デジタルで変わる」という定義に従えば、まぎれもなくDXに当てはまる。

既存事業の磨き込み
metamorworks/gettyimages

DXを推進するためには、「DXで何を実現するのか」をまず考える必要がある。それがなければ、どんなツールや技術も宝の持ち腐れだ。

どこから始めるかを考えるうえでは、短期と中長期に分ける必要がある。短期において成果が見込めるのは、「既存事業の磨き込み」だ。今まで行なってきたことを、DXを用いることで、より早く正確に行えるようにする。つまり過去の事実・データをもとに、より効率的に動けるような手助けをしてもらうのである。

そのためには既存の業務について、できるかできないかはいったん脇に置き、どこかに無駄はないか、人間よりデジタルのほうが正確にできそうなところはないか、あのデータをデジタル化したらもっと使えないか、といった視点で洗い直してみるべきだ。効率化や収益性向上の可能性を全社で洗い出すことが、短期的なDX推進のスタートとなる。

【必読ポイント!】 DX推進のリアルノウハウ

総論賛成・各論反対

これからの企業において、「DXは全社員に関わるものである」という考え方に、異論をはさむ人は少ないだろう。にもかかわらず、DXの推進活動はそう簡単に進まない。「何をするのかいまいちピンと来ない」「うちの部門は現場が納得しない」といったような不満の声が、あちこちからわき上がってくるはずだ。いわゆる、総論賛成・各論反対の状態である。

しかしながら、こうした混沌とした状況からのスタートは、むしろ当たり前だと思うべきだ。企業を変えるだけのインパクトがDXにはあるのだから、その可能性が大きければ大きいほど、社内に不安の声があがるのは当然である。

プロジェクトの立ち上げに際して全社員を集め、「DXにより今までなかった顧客体験を実現する」などとカッコよくまとめられたプレゼン資料を発表して、大きく打ち上げるのは賛成しない。かえって各論反対の声を大きくしてしまう可能性がある。

むしろ「まずは紙をなくす」「業務効率〇割アップ」

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