自分をたいせつにする本

未読
自分をたいせつにする本
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未読
自分をたいせつにする本
出版社
出版日
2021年07月10日
評点
総合
3.5
明瞭性
3.5
革新性
3.0
応用性
4.0
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おすすめポイント

近年、セルフケア、セルフラブをテーマにした書籍、記事をよく見かけるようになった。「あなたは自分をたいせつにしていますか?」という質問に、読者ならどう答えるだろうか。食事や睡眠は十分取っているし、楽しみな趣味もある、といった意味ではイエスという回答になるかもしれない。ただ、食事や睡眠は十分でも、日々どこかモヤモヤや生きにくさがわだかまっていないだろうか。

本書での「自分をたいせつにしている」状態とは、「自分を心から愛している」「今の自分の居心地がいい」状態を指している。著者は、10代から20代の多くを不調の中で過ごし、自信がなく、過度にプライドが高い若者であったという。大病も経験したのち30代になってようやく、自分と向き合い、たいせつにすることを始めていった。それに基づいて、自信のあり方や自分に対する眼差しの変化と、実際に行ってみてからだとこころの健康に効果があったワークを数多く紹介している。

著者は、自分の不得意なことや嫌いなものはそのまま認めることで、「ダメなところも含めた自分を愛する」ことを目指している。その試行錯誤はいつまでも終わらない旅のようだ。

本書の手法は年齢や性格などに関係なく行えるため、本来の自分を素晴らしいと思うことは誰にでも可能であると勇気づけられる。何か特別な心構えは不要だ。お風呂に入ったり、おいしいものを食べたりしながら、自分と向き合いつつ、ゆっくり読み進めてみてほしい。

ライター画像
菅谷真帆子

著者

服部みれい(はっとり みれい)
文筆家、詩人、『murmur magazine(マーマーマガジン)』、詩とインタビューの本『まぁまぁマガジン』『murmur magazine for men(マーマーマガジンフォーメン)』編集長。育児雑誌の編集者を経て、ファッション誌のライティング、書籍などの編集、執筆を行う。2008年に『murmur magazine』を創刊。あたらしい時代を生きるためのホリスティックな知恵を厳選して発信。代替医療に関する書籍の企画・編集も多数手がける。著書に、『あたらしい自分になる本 増補版 SELF CLEANING BOOK』『自由な自分になる本 増補版 SELF CLEANING BOOK2』『わたしの中の自然に目覚めて生きるのです』(ちくま文庫)、『うつくしい自分になる本 SELF CLEANING BOOK3』(筑摩書房)、『わたしが輝くオージャスの秘密』(蓮村誠=監修、ちくま文庫)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人は、生まれてから子ども時代を経て、他人の価値観を衣服のようにまとっていき、本来の自分の姿がわからない「着ぐるみ状態」となる。人生の変化や問題をきっかけにこの着ぐるみを脱いでいくことで、より輝きを増した本来の自分に移行していく。
  • 要点
    2
    ほんとうの意味で自分をたいせつにするために、「からだ」「こころ」「わたし」の3つの視点によるワークを続けてみよう。これらを通して、自分でいることの居心地をよくすることができる。

要約

「自分風」からの脱却

「自分をたいせつにする」とは何か?
Mykyta Dolmatov/gettyimages

これからの時代、ひとりひとりが自分をたいせつに扱い、自分を本当の意味で愛していることが、生きる上で重要になる。ここでの「自分をたいせつにする」とは、自分勝手、利己的とは異なる。

著者は、「ひとりひとりが自分をたいせつにして、ほんらいの自分に戻ることが、自然やまわりの人をたいせつにすることにつながる」という。自分を本当の意味で愛せた時、自分の周囲の人や地球環境をも愛すことができ、結果として世界をより平和に、幸福なものにしていくことができる。現代社会は、地球環境が危機的状況にあり、社会がさまざまな問題を抱えている。世界が大転換期にある今こそ、自分をたいせつにすることで、自分の土台をつくるチャンスなのである。

自分のことを愛しているかどうか、ほんとうに突き詰めて考えてみたことがある人は、ほとんどいないであろう。そもそも自分というのは、よくわからない存在である。人生とは、「気づいたらマラソン大会に出ることになっていて気づいたらもう走り始めていたランナーみたいなもの」だ。

子ども時代を経てできあがる、「自分ってこんな感じ」というイメージを、「自分風」と呼ぼう。これはまだ揺らいでいて、家族を中心とした他人の価値観や地域の信念といった衣服をまとっているようなものだ。この状態においては、自分をたいせつにできているかは本当の意味ではわからないだろう。何が好きか、何がしたいかも他人の影響を受けており、本来の自分の考えではない可能性がある。

「自分風」と「着ぐるみ状態」

子ども時代にいったんできあがる「自分風」に一番影響を与える親の価値観は、あなたよりも前の時代の価値観だ。一生懸命がんばって努力し、成功して、安定した仕事と、豊かな経済力を持つことを考えていた。その中で、やりたくないこともがまんしてやっていると、自分をたいせつにすることは後まわしになる。

同時に、恐れ、不安、心配といった感情や意識、および「〜するべき」といった善悪についての思い込みを、衣服のようにどんどん着込んでいく。そこにはもちろん、一般的な情や優しさといったものも含まれる。子ども時代に受けた傷を隠すために、仮面や色眼鏡もかけていく。

こうしてできあがった「自分風」は、本来の自分の姿がわからなくなった「着ぐるみ状態」だ。親も含め世の中には、この「着ぐるみ状態」の人が溢れている。そうした人々は「外側」の情報に振り回され、利己的で自己中心的に、お金儲けや日々生きることに必死になってきた。

人生の中で変化や問題が起きると、着ぐるみを脱ぐ、あるいは剥がされるタイミングがやってくる。何かの道を極めたり、旅をしたりする中で脱いでいくこともある。マラソンにたとえれば、最初の頃の「なんとなくこんな感じ」という走りが通用しなくなるのだ。何度もトライしながら、自分らしい走りをするようになり、いつしか走ること自体が喜びに変わる。

こうして「自分風」から本来の自分に移行すると、生まれた時の素っ裸の自分よりも輝きが増す。「自分自身でいるだけで心地よく、気分がいい状態」で、何があっても大丈夫と思える。自然と自分をたいせつにできている状態になれるのだ。

自分をたいせつにするヒント

どうせ類友なら
DigtialStorm/gettyimages

著者が自分の体験や本から学んだ「自然の法則」は、自分をたいせつにするためのヒントになる。いくつか紹介しよう。

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要約公開日 2023.04.20
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