姫野ノートの表紙

姫野ノート

「弱さ」と闘う53の言葉


本書の要点

  • 8万人の大観衆によるアウェーを体感した時は「ヤバかった」。その歓声に圧倒され、惨敗した。ラグビーとはメンタルを削り合うスポーツだ。逆にメンタルが伴っていれば、フィジカルでは勝てない相手に勝ちうる競技でもある。

  • ラグビーはプレーする人数が15人と非常に多い。だからこそ、チームに全てを捧げる献身性が求められるし、選手たちの信頼関係は何よりも大切なのである。

  • 姫野ノートには自分の弱さと向き合うための、ありのままの言葉が並んでいる。自分を知ることで、自分を成長させる。そして、行動をするためのモチベーションに繋げていく。

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ラグビーという競技

自分のことを知るためにつける「ノート」

著者がプロのラグビー選手になってから始めたもの、それが「ノート」だ。ノートにその日の反省点や修正点を書き留め、プレーを振り返る選手は多い。著者はトヨタ加入1年目からキャプテンを務めているので、リーダーとしてのノウハウもこのノートに詰まっている。著者のノートの変わったところは、悩みや欲望、泣き言まで、本音を書き連ねていることだ。これによって著者は自分と「対話する」。書きなぐった言葉の節々から「弱い自分」、そして「本当の自分」が見えてくる。著者がこの「姫野ノート」を書く理由。それは自分という人間を知るため……これに尽きるだろう。私たちは自分のことを知っているようで知らない。自分のことを知っていれば、その時の気分や行動に流されずに、自分の行動に一貫性を持って突き進むことができる。自信を持って行く道を決める生き方は、アスリートだけでなく、すべての人の人生を意義深いものにするはずだ。

相手の心を削り切ったほうが勝つ競技

South_agency/gettyimages

2022年11月12日のことだ。著者はイギリスロンドンのトウィッケナム・スタジアムに立つ。この8万人を収容するスタジアムで、ラグビー日本代表はイングランド代表とのテストマッチに挑んだ。怒涛の歓声はあらゆる音を飲み込み、味方の指示すらも聞こえなくなる。にもかかわらず、日本代表がボールを持つと途端にスタジアムは静まり返る。観衆が叩きつけてくる圧は、それだけでプレーを消極的にさせる。結果、日本代表は惨敗だった。ラグビーはフィジカルの力比べだけで勝敗が決する競技ではない。1つ1つのプレーがメンタルに左右される。互いに心を削り合い、いかに相手に普段通りのプレーをさせないかが重要になってくる。だから、ラグビー選手は試合中に弱みを見せない。どれだけ疲れていても、「前を向き、胸を張って呼吸をする」。ラグビーに関わるものは皆、そうした精神性を叩き込まれるのだ。

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要約公開日 2023.10.06
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