半導体産業は多種多様な関連業界で構成され、グローバルな広がりの中、各業界は相互に絡み合っている。まずは半導体産業の全体イメージを掴むため、どのような業界があり、各業界がどんな役割を担っているのかを見ていこう。
○半導体メーカー(IDM )
半導体メーカーは、半導体の設計から製造、販売に至るまで、半導体の一貫工程をすべて自社で行う企業である。業界内では「IDM(Integrated Device Manufacturer)」と呼ばれており、有名企業にはインテルやサムスン、キオクシアなどがある。
○大手IT企業
グーグルやアップル、アマゾンなどの大手IT企業も半導体業界に属している。彼らは自社で使う半導体の設計のみを行い、製造を外部に委託している。
○製造装置業界
半導体の製造装置をつくり、その装置を半導体メーカーやファウンドリー(半導体の製造ラインを持ち、他社からの受託生産を行う企業)などに提供している。日本はこの業界に強く、東京エレクトロン、ディスコなどの有力企業が多数存在する。
○部品・材料業界
半導体の製造に必要な部品や材料を、IDMやファウンドリーなどに提供する。信越化学工業 、SUMCO など、多くの日本企業が活躍している。
○ファブレス業界
ファブレスとは、工場設備を持たず設計のみを行う企業を指す。製造は自社で行わず、ファウンドリーやОSAT(組立・検査の工程を受託する企業)に受託する。代表的な企業は、アメリカのエヌビディアやクアルコムなどだ。
○ファウンドリー、OSAT
ファウンドリーとOSATは、いずれも他社からの受託生産をする企業群だ。ファウンドリーは製造を行う「前工程」、OSATは組立・検査を担う「後工程」を受け持つ。ファウンドリーでは台湾のTSMCが世界シェア70%を占めている。OSATは台湾、中国に有力企業が集まっている。
○その他の業界
半導体の設計ツールを提供する「EDA ベンダー」、半導体の知的財産「IP」を提供する「IPプロバイダー」、そして半導体製品の仕入れ・販売を行う「半導体商社」がある。
以上のように、多数の異なる企業群が複雑に絡み合い、競合したり協同したりしているのが現在の半導体産業である。
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