とりあえずやってみる技術の表紙

とりあえずやってみる技術

NEW
無料

本書の要点

  • 新しいことを始めるときに不安を感じるのは、脳がリスクを懸念していることが原因である。変化をせずに今のままでいれば、行動によるリスクを負わずにすむと脳が判断しているのだ。

  • 小さな失敗を繰り返すことで、行動力や判断力を鍛えることができる。失敗は減らすよりも、失敗しても立ち直る仕組みを持つことが重要である。

  • 「やる気が出ない」のであれば、まずは体を動かしてみることが有効だ。体を動かすことで、後から意識がついてくる。

1 / 3

なぜ行動できないのか

脳はリスクに備えている

akinbostanci/gettyimages

最近の社会変化のスピードは、人間の脳がついていけるレベルを超えている。フロリダ州立大学のボーマイスターの研究によると、人は急な社会変化に直面すると「決断疲れ」に陥りやすくなる。選択をしなければいけない場面が頻繁に起こることで、判断能力が鈍り、大事な行動を避けるようになるのだ。それに加え、人は未来を予測できないと、動くことを本能的に避け、様子を見ようとする傾向がある。進化心理学的な観点から考えると、人間の脳は旧石器時代からほとんど変わっておらず、当時の危険に満ちた環境に適応したまま生きている。つまり、人間の脳は常に最悪のケースに備えて行動するように設計されているのだ。新しいことを始めるときに不安を感じるのは、脳がリスクに反応していることが原因である。変化をせずに今のままでいれば、リスクを負うことはないと脳が判断しているのだ。「ネガティビティ・バイアス」といって、人間は危険を避けるために、ネガティブな情報に注目する傾向がある。もちろんリスクを避けるために慎重になることは大切だ。しかし、過剰なほど慎重になるとチャンスを逃してしまう。行動して失敗するリスクに対し、行動しなかったことで得られなかったものは、認識しづらい。提案していたら通ったかもしれない企画や新たなスキルを得られたかもしれない誘いなど、行動しなかったことで何かを失っているかもしれない。そう考えると、行動しないことにもリスクがあるといえる。そんな心理的なリスクと致命的なリスクを区別し、見極めることが重要だ。

「やらない後悔」は後を引く

やったほうがいいとは思うものの、先延ばしにしてしまった経験がある人は多いだろう。変化はエネルギーや不確実性を伴う。その懸念から、人間の脳には現状維持しようとする「現状維持バイアス」がある。人には本能的にできるだけ少ない負荷とエネルギーで行動をしようとする「最小努力の原理」と呼ばれる傾向もある。人がいつも通りの行動をしようとするのは、こうした働きによるものだ。

もっと見る
この続きを見るには...
残り3684/4538文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.10.15
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
AI分析でわかった 仕事ができる人がやっている小さな習慣
越川慎司
増補改訂版 フィードバック入門
増補改訂版 フィードバック入門
中原淳
愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?
愛される書店をつくるために僕が2000日間考え続けてきたこと キャラクターは会社を変えられるか?
ハヤシユタカ
決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣
決定版 「稼げる営業」と「ダメ営業」の習慣
菊原智明
「就職氷河期世代論」のウソ
「就職氷河期世代論」のウソ
海老原嗣生
教養主義の没落
教養主義の没落
竹内洋
子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
精神科医さわ
現代語訳 福翁自伝
現代語訳 福翁自伝
福澤諭吉齋藤孝(編訳)

同じカテゴリーの要約

ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
悩まず、いい選択ができる人の頭の使い方
小川仁志
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
なぜ、あの人との会話は嚙み合わないのか
米澤創一
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
精神科医が教える! 心がスッと軽くなる93の処方箋
樺沢紫苑
社会は、静かにあなたを「呪う」
社会は、静かにあなたを「呪う」
鈴木祐
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
DIGITAL STANCE スマホに支配されない生き方
ピョートル・フェリクス・グジバチ
不機嫌を飼いならそう
不機嫌を飼いならそう
藤野智哉
時間・自己・幻想
時間・自己・幻想
マルクス・ガブリエル大野和基(インタビュー・編)月谷真紀(訳)
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
不条理な世の中を、僕はこうして生きてきた。
宮下友彰
無料