お客様相談室での出来事
婚約指輪

結婚を控えた女性、Aさんは以前からのお得意さまで、その日は婚約者同伴でペアリングを見に来ていた。すぐに2人の意見は一致し、婚約指輪にイニシャルを入れることにして、出来上がり予定日を書き入れた伝票を持ち帰った。
1週間ほどでサイズ調整も終わり、その旨を連絡すると、Aさんは「近日中に行きます」と答えたきり、なかなかお店に姿を見せない。そこで再度ご案内したところ、売り場のリーダーに向けて苦情の電話が来た。お相手は海外に出ていて一緒に取りに行けないという話を担当ともしていたはずなのに、2人で来てなどと意地悪なことを言うなら、説明しに来てほしいとのクレームだ。婚約者とケンカをしたのかとも思いつつ、訪問での謝罪に向けて日程を確認すると、「明日の夜9時にしてください」と少し常識外な時間を指定してくる。
女性の係長と著者の2人でAさん宅に赴くと、玄関先で自分だけイスに腰掛け、延々2時間半、同じクレームの繰り返しと、自分の勤める会社の自慢ばかりして、販売業従事者を下に見る態度もとる。その場では、失礼をお詫びしたうえで、後日に来店していただくこととした。
Aさんが来たのは、来店予定から遅れること3日後、しかも一人だった。不思議と機嫌がよく、婚約者の分はフランスにいる彼のもとへ送り、Aさんの誕生日に同時に指にはめるという。販売員は、男性用と女性用で見分けがつくように、袋を分けて、保証書も同封して渡した。
しかしその2週間後、フランスの彼に送ったものは女性もののほうだったとのクレームの電話がくる。誕生日が台無しになったと狂乱気味で、「そちらが保証書の入れ間違いをした」と主張する。紙袋に同封した保証書の内容を信じて、Aさん側の箱の中身を確認することもなく送ったという。販売員だけでなく、係長も課長も疑っていたが、そのような間違いを故意にしてもお客さまにはなんの得もないはずと考え、彼女の手違いを証明できない以上、信じることを前提とした対応をすべきだと判断した。




















