鎌倉資本主義

未 読
鎌倉資本主義
ジャンル
著者
柳澤大輔
出版社
プレジデント社 出版社ページへ
定価
1,512円
出版日
2018年12月03日
評点
総合
3.8
明瞭性
3.5
革新性
4.0
応用性
4.0
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柳澤大輔
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2018年12月03日
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レビュー

本書は「面白法人カヤック」という一企業の活動を通じて、今後の資本主義社会を考えるものだ。キャッチーで派手なコンテンツに見えるが、彼らは本気だ。著者は大真面目に、徹底して「面白さ」を追求しながら、日本を変えようとしているのである。

経済的な利益ばかりを追求する資本主義が限界を迎えつつあることは、誰もが肌で感じているのではないだろうか。今後は企業も社会貢献や、個人の「幸せ度」を高めることにも取り組まなければならないだろう。だが経済的成長をあらわす指標とは異なり、「幸せ度」を表す明確な指標は存在しない。そこで本書では「鎌倉資本主義」という新しい資本主義のあり方を提唱している。

「鎌倉資本主義」は、地域の人と人とのつながりや、その地にある自然や文化などの環境を「地域資本」として定義し、新たな価値指標とするものだ。鎌倉資本主義では、今まで無視されてきた「数値化できない」ものを「価値=資本」として認め、増やしていくことを目標とする。そうすることによって従来の資本主義が抱える課題を解決できると著者はいう。

カヤックの活動の根底にあるのは「面白いことがしたい」という情熱である。「資本主義の限界」「新しい価値指標の創造」などというと堅苦しく感じられるが、シンプルに「みんなで面白いことがしたい」「どうやったら面白くなるだろう」と考え、活動しているのだ。何しろ「面白法人」である。そのシンプルさ、身軽さがテーマを身近に感じさせてくれる。構えずリラックスした気持ちで、経済や地方創生を考えられる一冊だ。

池田 明季哉

著者

柳澤 大輔(やなさわ だいすけ)
面白法人カヤック代表取締役CEO。
1974年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人とともに面白法人カヤックを設立。2014年に東証マザーズに上場。鎌倉に本社を構え、ゲームアプリ、キャンペーンアプリ、ウェブサイトなど、オリジナリティのあるコンテンツを数多く発信してきた。ユニークな人事制度、斬新なワークスタイルを導入し、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。2013年、鎌倉に拠点を置くベンチャー企業の経営者とともに地域団体「カマコン」を立ち上げ、地域コミュニティの活性化に「ジブンゴト」として取り組むための場を支援している。2017年10月に建長寺で「鎌倉資本主義を考える日」を開催。地域に根ざした新しい経済活動のモデルづくりに取り組んでいる。著書に『面白法人会社案内』(プレジデント社)、『アイデアは考えるな。』(日経BP社)、『この「社則」、効果あり。』(祥伝社)、『空飛ぶ思考法』(サンマーク出版)などがある。

本書の要点

  • 要点
    1
    国や企業はこれまでGDP(国内総生産)という単一の指標を追求してきたが、GDPでは測れない精神的な豊かさや幸福感を増やしていくことが重要になりつつある。
  • 要点
    2
    経済資本に加え、これまで軽視されてきた「人と人とのつながり」と「自然や文化」を「資本」と考え、それを増やすことを目的とするのが「鎌倉資本主義」である。
  • 要点
    3
    カヤックは、「まちの社員食堂」「まちの保育園」「まちの人事部」などといった取り組みを通じて鎌倉というまちを「応援」している。

要約

【必読ポイント!】従来の資本主義と鎌倉資本主義

「多様性」は「面白い」
Rawpixel/gettyimages

著者が設立した「面白法人カヤック」(以下、カヤック)は、面白い社会をつくることを目指している。彼らにとって「面白い」とは、自分たちが楽しんでいること、そしてそこに「オリジナリティ」や「個」があることだ。全員が同じでは面白くない。したがって、カヤックでは「多様性」を「面白さ」ととらえている。

近年は、東京に似た地方都市が増えている。東京がいくらすばらしくても、日本中が東京のようになってしまっては面白くない。

カヤックが考える「面白い社会」とは、「多様性が認められる社会」「一人ひとりが輝く社会」「一社一社が特徴的である企業社会」「地域ごとに特徴がある地域社会」だ。カヤックが本社を置く鎌倉は都心から離れており、不便だ。だからこそ面白いと考えている。

東京を目指すのではなく、その地の個性を残したまま繁栄する――それがカヤックの考える「地方創生」である。そして地方創生への取り組みがすなわち、資本主義が抱える課題への取り組みに直結すると考えている。

限界を迎えた資本主義

資本主義は大きな課題を抱えている。それは、「地球環境汚染」と「富の格差の拡大」の2つだ。その背景には、企業や国がGDP(国内総生産)という単一の指標を追求してきたことがある。GDPは経済活動の状況と経済的な豊かさを測る指標として使われ、GDPが成長し続けることがよいことだと考えられてきた。

だが、本当にGDPだけが豊かさの指標になるのだろうか。職住近接のワークスタイルを実現したり、地産地消の食材を楽しんだり、コミュニティでつながりが生まれて、金銭の介在しないプロジェクトによって自分のまちをよくしたりといった活動は、GDPの増加にはつながらない。むしろ、電車などで長距離移動したり、輸入した食材を食べたりしたほうが輸送にお金が使われ、GDPが増加するしくみだ。だが職住近接のほうが疲れないし、地元産の食材のほうが安くて新鮮である。こうした矛盾が積み重なり、大きな問題になってしまっているのではないだろうか。

もちろん経済成長は必要だが、それだけを指標にしていては面白くない。精神的な豊かさや幸福感を増やしていくことこそ、重要になってきているのではないだろうか。

新たな価値基準「地域資本」
gyro/gettyimages

GDPに代わる指標を探し続けてたどり着いたのが、地域を中心とした新しい資本主義のかたち、「鎌倉資本主義」だ。

鎌倉資本主義では、「地域資本」という考え方をする。地域資本は、「地域経済資本」(財源や生産性)と「地域社会資本」(人のつながり)、そして「地域環境資本」(自然や文化)の3つの要素で構成される。この3つをバランスよく増やすことが人を幸せにするという考え方だ。

従来の資本主義とは異なり、鎌倉資本主義では、お金で測れない価値を考えていく。地域資本という新しい価値を測ることによって、より持続的な成長を目指す。そしてその結果、地域が多様に発展し、従来資本主義の2つの大きな課題の解決が導かれる。鎌倉資本主義が目指すのは「持続可能な資本主義」である。本書で紹介されるのは、この3つの資本を増やす方法と、それを測るための指標だ。

著者らは鎌倉から地域資本主義を発信すべく「鎌倉資本主義」という名称を使っているが、今後は鎌倉に限らず、さまざまな地域でその地域ごとの地域資本主義が発信されるようになることを願っている。

GDPではない価値基準

「評価しない評価」サイコロ給

GDPが経済成長を測る指標であるように、会社は評価制度というモノサシを持っている。著者は、評価制度が社風をつくると考えている。

面白法人では「面白がる人」が高く評価される組織をつくっていきたいという思いがある。そこで採用されているのが「サイコロ給」だ。これは毎月「基本給×(サイコロの出目)%」が+αとして支給される仕組みだ。基本給が減ることはない。

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スキルアップ・キャリア リーダーシップ・マネジメント 経営戦略 起業・イノベーション 人事 産業・業界 トレンド
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