直感と論理をつなぐ思考法

VISION DRIVEN
未読
直感と論理をつなぐ思考法
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直感と論理をつなぐ思考法
出版社
ダイヤモンド社

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定価
1,760円(税込)
出版日
2019年03月06日
評点
総合
4.3
明瞭性
4.5
革新性
4.0
応用性
4.5
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おすすめポイント

成功するプロジェクトとそうでないプロジェクトの違いは、そこに「妄想」を持った人がいるかどうか、その一点しかない――数々のイノベーションに関わるなかで、著者が確信したことである。「本当に価値あるものは、妄想からしか生まれない」のだ。それでは妄想(ビジョン)とは何か。著者によると、それは実現するかどうかわからない、未来に向けてのアイデアのことだという。

それは決して一部の天才のものではない。99%の凡人たる私たちにも、妄想を解き放つことは十分にできる。しかも妄想を妄想のまま終わらせることなく、「妄想」をビジネスの「戦略」にまで落とし込むこともできるというのが著者の主張だ。そのカギとなるのが、直感と論理をつなぐ思考法、「ビジョン思考」(Vision Thinking)だ。

ビジョン思考は一部の人間だけができるものではない。そこには確固たる「メソッド」が存在する。「手を動かして考える」「五感を活用する」といった原則にもとづきながら、「魔法の問いかけ」などの手法を実践することにより妄想を膨らませ、妄想→知覚→組替→表現のサイクルをまわしていく。

「人は何かを生み出しているとき、まさにその行為自体から幸福感を得ることができる」と著者は語る。ビジョン思考をマスターすることで、私たちはビジネスの世界のなかにありながら、創造という喜びにふれることができる。このメッセージこそ、著者から読者に対する最高のギフトというべきだろう。

ライター画像
しいたに

著者

佐宗 邦威 (さそう くにたけ)
株式会社BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー
大学院大学至善館准教授/京都造形芸術大学創造学習センター客員教授
東京大学法学部卒業、イリノイ工科大学デザイン研究(Master of Design Methods)修了。
P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務める。その後、ソニーに入社。同クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。
ソニー退社後、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を起業。BtoC消費財のブランドデザインやハイテクR&Dのコンセプトデザイン、サービスデザインプロジェクトが得意領域。山本山、ぺんてる、NHKエデュケーショナル、クックパッド、NTTドコモ、東急電鉄、日本サッカー協会、ALEなど、バラエティ豊かな企業・組織のイノベーション支援を行っており、個人のビジョンを駆動力にした創造の方法論にも詳しい。
著書に『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

本書の要点

  • 要点
    1
    人も組織も「これがやりたい!」があると強い。その原動力となるのは、根拠があるとはいえない「直感」、得体のしれない「妄想」である。
  • 要点
    2
    ビジョン思考とは、自分モードから生まれる「妄想」、イメージ脳を駆使する「知覚」、壊してつくり直す「組替」、プロトタイピングによる「表現」をまわしていく創造のサイクルである。
  • 要点
    3
    内発的な妄想を突き詰めていくと、往々にして社会的な問題解決という大きな流れにつながる。ビジョン思考は、間違いなく次の時代に求められるアプローチである。

要約

ビジョン思考とは何か

自分モードで考える
NiseriN/gettyimages

目の前の膨大な業務、チームのマネジメント、顧客対応、家事・育児・介護……ふつうに生きていると、いつの間にか私たちは、「自分がどう感じるか」よりも「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えてしまう。脳が「他人モード」に入ってしまうのだ。その一方で、日常で「自分モード」と呼べる時間がなかなか持てていない。このように自分モードのスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、私たちは次第に「何をしたいのか」を思い出せなくなってしまう。

じつは企業経営でもこれと同じことが起きている。売上・利益、株主、マーケット、競合……「外部」ばかりを見ているうちに、「自分たちの原点」=「そもそも何をしたかったのか」が見失なわれてしまうのだ。するとその組織からは少しずつエネルギーが失われていく。

圧倒的な結果を出し続けている会社やチームには、「これがやりたい!」という強い思いを持った人たちがいるものである。そうした思いの源にあるのは、ロジカルに説明しきれない「直感」であり「妄想」だ。

ビジョン・ドリブン

「ビジョン思考(Vision Thinking)」とは、「直感」を「論理」につなぎ、「妄想」を「戦略」に落とし込む思考のモードである。

現在のリアルなビジネスを主に動かしているのは、PDCAによる効率化を目指す「カイゼン思考」であり、マーケットを獲りにいく「戦略思考」だ。そこで重視されるのは論拠やエビデンスであり、論理に裏打ちされた戦略である。いわゆる「言語脳(左脳モード)」の領域だ。

それに対して、言語脳だけではなく「イメージ脳(右脳モード)」も活用しようという「両脳(ハイブリッド)」な思考法が「デザイン思考」である。デザイン思考のエッセンスは「手を動かして考える」、「五感を活用する」、「人間中心の共創プロセス」の3点に集約できる。

「ビジョン思考」もこのようなエッセンスを踏襲している。だがデザイン思考が「現前する課題(イシュー)」からスタートするのに対して、ビジョン思考は「内発的な妄想(ビジョン)」から発想する。「イシュー・ドリブン(Issue-Driven)」と、「ビジョン・ドリブン(Vision-Driven)」との違いである。

【必読ポイント!】 ビジョン思考のメソッド

余白をつくる
Graphic Designer/gettyimages

ビジョン思考をマスターするためには、それを「習慣化」することが必要である。そこで大切になるのが「スペース」と「メソッド」だ。

ビジョン思考のスペースとは、脳が「自分モード」を取り戻すための空間と時間の「余白」のことである。具体的なアドバイスは次の2つだ。

(1)いますぐ1冊のノートを買うこと(A6・無地のモレスキンノートがおすすめ)

(2)いますぐカレンダーに、毎朝15分、ノートを書くためだけの予定を入れること

そこに「そのときに感じていること」を毎日フリーに書いていく。「ジャーナリング」という手法だ。「手書き」「1カ月続ける」「人に見せない」――これらのルールを守りながら続けていくだけで、「直感と論理をつなぐ思考法」が身についてくる。そして次第に自分モードが戻ってくる。

妄想のメソッド

ビジョン思考の具体的なメソッドは、妄想→知覚→組替→表現のサイクルからなる。

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要約公開日 2019.04.19
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