「放っておく」という言葉には少しネガティブな響きがある。やるべきことを果たさず放置する、不正から目をそらす、やりっ放しでフォローしない……そうしたことを連想し、無責任な感じがするからかもしれない。
しかし世の中には、放っておいたほうがいいことがたくさんあるのも事実だ。現代において、私たちのまわりには情報が多すぎるし、人間関係が複雑になりすぎている。そのすべてにきめ細かく対応するのは難しい。
だからこそ「放っておく力」が必要になる。この力はもはや「生きる能力」「生きる技術」といってもいいほどだ。上手に生きていくために、「放っておくべきもの」と「放っておくべきではないもの」を見極められるようになろう。
職場では人のプライベートに立ち入らないほうがいい。そのほうが、人間関係はうまくいく。
いまはドライであることが求められる時代だ。関係性がウェットになりすぎると、ハラスメントに発展する可能性もある。
プライベートな話題は、あくまで話したい人が話すだけにしよう。自分から根掘り葉掘り聞き出すのは避けるべきだ。
常に相手の立場に立って考え、行動することは大切である。ただ、それが相手を思ってのことではなく、自分の評価が下がるのを恐れてのことなら、やめたほうがいいだろう。卑屈になって、相手の顔色をうかがう必要はない。
相手といってもいろいろな人がいる。それぞれに合わせていては疲れてしまうし、逆に相手に不信感を持たれてしまう。本当の信頼関係を築きたいなら、誰にでも裏表なく接することのほうがよほど重要だ。
不安は「いくら考えてもわかるはずのないことをわかろうとする」ところに生まれる。その最たるものが「未来への漠とした不安」だ。
どれだけ多くのデータをそろえ、どんなに時間をかけて考えても、未来を正確に予測することはできない。ならば未来のことを心配するよりも、いまできることにエネルギーを注いだほうがいい。そうすれば、心配していた未来がよりよい方向へと変わる可能性もある。
平均より下だと不安になり、上だと安心する――。
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