本書の要点

  • 就活を前にノイローゼになっていた僕を癒してくれた彼女。僕が一年の海外インターンに行く間、待っていてくれると信じて疑わなかったが、メッセージ一つでフラれ、女性不信になった。

  • 初恋を引きずり、結婚する踏ん切りがつかない僕の前に、再び現れた彼女はあろうことかフェミニストになっていた。

  • 彼女となんとかヨリを戻した僕は、彼女にフェミニストをやめさせるべく奮闘する。

1 / 3

終わった初恋の再燃

彼女こそが運命の人だと信じてた

大学4年に再履修したフランス語の授業で、僕は彼女と出会った。変わった子だなという興味はすぐに好意へと変わり、懸命なアプローチの末、僕らは恋人になった。彼女は僕の胸をときめかせ、就活の不安とノイローゼに苦しむ僕を包んでくれもした。交際1年の記念日を迎える直前、僕はインターンのために渡米することになった。就活に苦戦していた僕に訪れたチャンスを誰もが応援してくれたが、彼女だけが行かないでと言い、僕らは涙にくれた。出国の日、離れていても心は一つだと誓い合い、空港でキスを交わすはずだった。だけど、彼女はメール一つで「別れよう」と告げてきた。離れていられる自信がないから、と。アメリカにいた1年の間、多くの女性と付き合ったけれど、愛とか、もうどうでも良かった。あんな一通のメッセージで終わってしまう程度のものなのだから。

初恋の彼女は、メガルになって現れた

Maria Voronovich/gettyimages

帰国して大企業に就職し、3年目になった「僕」ことスンジュンは、知人から紹介された年下の女の子と3回目のデートをしていた。女の子らしく、よく尽くし、子育てもちゃんとやりそうで、セックスも悪くなさそうだ。結婚相手には申し分ない。だけど、思い浮かぶのは終わった初恋のことだった。これまでも悪くない子はたくさんいた。ほとんどが結婚を望み、周囲も結婚を期待し、僕にも結婚したい気持ちはある。でも、どうにも行動できなかった。なんで「今後の関係」は、男から切り出さなきゃならないんだ?デートを終え、人通りの多い交差点を歩いていると、若い女性の集団がデモ集会をやっていた。「私の生命が大切だ!」「妊娠中絶合法化!」という横断幕があちこちに見える。あれが噂に聞く「メガル(韓国でフェミニストを一括りにして揶揄する呼称)」だろうか。男が嫌いすぎて頭がおかしくなった、こじらせまくった女たち。何かにつけては「ハンナム(家父長的で女性を蔑視するミソジニー的な考えの男性を批判する呼称)」と男はみんな犯罪者予備軍かのように罵っているらしい。とはいえ、僕の周りの女性たちはみんな「まとも」だったから、実際にメガルを見るのははじめてだ。さりげなく覗き見ていると、一人の「メガル女」と目が合った。不気味な黒ずくめの女は近づいて僕の顔をじっと見つめてくる。言いようのない恐ろしさに全速力で駆け出すと、女も追ってくる。人通りを掻き分け、建物に入り、男子トイレに逃げ込もうとしたところで、小さな手が肩に乗った。「よ、キム・スンジュン。久しぶりじゃん?」メガル女は彼女だった。4年前、僕を裏切った初恋の人は「メガル」になって現れた。

もっと見る
この続きを見るには...
残り1945/3039文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2022.10.06
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.Copyright © 2019 Min Ji Hyoung All Rights Reserved. <br>本文およびデータ等の著作権を含む知的所有権はMin Ji Hyoung、株式会社フライヤーに帰属し、事前にMin Ji Hyoung、株式会社フライヤーへの書面による承諾を得ることなく本資料の活用、およびその複製物に修正・加工することは堅く禁じられていす。また、本資料およびその複製物を送信、複製および配布・譲渡することは堅く禁じられています。

一緒に読まれている要約

歴史思考
歴史思考
深井龍之介
「頑張る」をやめてみる
「頑張る」をやめてみる
根本裕幸
ウクライナ戦争は世界をどう変えたか
ウクライナ戦争は世界をどう変えたか
豊島晋作
LIFE SCIENCE(ライフサイエンス)
LIFE SCIENCE(ライフサイエンス)
吉森保
終止符のない人生
終止符のない人生
反田恭平
ファンに愛され、売れ続ける秘訣
ファンに愛され、売れ続ける秘訣
和田裕美佐藤尚之(さとなお)(アドバイザー)
なぜ、TikTokは世界一になれたのか?
なぜ、TikTokは世界一になれたのか?
露久保由美子(訳)マシュー・ブレナン
ほっこり
ほっこり
伊藤裕

同じカテゴリーの要約

大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる
大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる
井堀利宏
忘我思考
忘我思考
伊藤東凌
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明
すばらしいクラシック音楽
すばらしいクラシック音楽
車田和寿
すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる
すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる
荒俣宏
教養主義の没落
教養主義の没落
竹内洋
現代語訳 福翁自伝
現代語訳 福翁自伝
福澤諭吉齋藤孝(編訳)
町の本屋はいかにしてつぶれてきたか
町の本屋はいかにしてつぶれてきたか
飯田一史
君たちはどう生きるか
君たちはどう生きるか
吉野源三郎
なぜ働いていると本が読めなくなるのか
なぜ働いていると本が読めなくなるのか
三宅香帆