本書の要点

  • ドラッカーは自らの仕事ぶりの評価を仕事に組み込んでいた。強みや得意分野に力を集中させ、そうでないものを省くことを重視したためだ。

  • ドラッカーを読む意味とは、本質的な視点を取り込み、原理原則に従いながら自己変革をすることである。

  • 自らの強みを社会のために生かし、経営者やマネジャーがその強みを公益のために結びつける必要がある。

1 / 5

仕事ぶりの評価を仕事に組み込む

「フィードバック分析」で得意分野を知る

ドラッカーの人生を変えた7つの経験から学ぶことは多い。そのうち1つを紹介する。ドラッカーは20代前半でドイツの有力新聞社の論説委員に抜擢されている。同社の編集長はドラッカーを含む若手を、毎週末と半年に一回の対話によって鍛えた。そこでは、「優れた仕事は何か」「一生懸命やった仕事は何か」「一生懸命やらなかった仕事は何か」という仕事ぶりに関する評価が行われた。

年二回の対話の締めくくりは次のような内容だ。「集中すべきことは何か」「改善すべきことは何か」「勉強すべきことは何か」。このプロセスがドラッカーの働きがいを育んでいくこととなる。自らを生き生きとさせ、成長を続けている人は、自らの仕事ぶりの評価を、仕事そのものの中に組み込んでいる(『プロフェッショナルの条件』)。

ドラッカーはその後、イエズス会の修道士などが行っていた意思決定の方法を取り入れて、フィードバック分析を生み出し、これを50年以上も続けた。それにより、自分の仕事ぶりを通して自分のことを知り、強みや得意分野に力を集中させ、そうでないものは省くことの大切さを学んだのだ。

優先順位より劣後順位

miniseries/gettyimages

ドラッカーはこう述べている。「本当に行うべきことは優先順位の決定ではない。(中略)集中できる者があまりに少ないのは、劣後順位の決定、すなわち取り組むべきでない仕事の決定とその決定の遵守が至難だからである」(『経営者の条件』)

もっと見る
この続きを見るには...
残り3619/4241文字

4,000冊以上の要約が楽しめる

要約公開日 2025.07.10
Copyright © 2025 Flier Inc. All rights reserved.

一緒に読まれている要約

40代がうまくいく人の戦略書
40代がうまくいく人の戦略書
藤井孝一
成長の書
成長の書
妹尾輝男
本を読む人はうまくいく
本を読む人はうまくいく
長倉顕太
組織と働き方の本質
組織と働き方の本質
小笹芳央
チームワークの大原則
チームワークの大原則
辻秀一
「伝え方」の本質
「伝え方」の本質
豊島晋作
詭弁と論破
詭弁と論破
戸谷洋志
ローソン
ローソン
小川孔輔

同じカテゴリーの要約

壁打ちは最強の思考術である
壁打ちは最強の思考術である
伊藤羊一
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
しんどい世の中でどうすれば幸せになれますか?
橘玲樺山美夏
とりあえずやってみる技術
とりあえずやってみる技術
堀田秀吾
無料
肩書がなくても選ばれる人になる
肩書がなくても選ばれる人になる
有川真由美
子どもが本当に思っていること
子どもが本当に思っていること
精神科医さわ
忘我思考
忘我思考
伊藤東凌
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科
堀田秀吾
ハーバードの心理学講義
ハーバードの心理学講義
ブライアン・R・リトル児島修(訳)
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
なぜあの人は同じミスを何度もするのか
榎本博明
1つの習慣
1つの習慣
横山直宏